Have a cup of tea

Have a cup of tea

主に英国に関する出来事を記録しています

(前の投稿の続き)鉄道運休のなか、だいぶ時間を要したが無事にグロスターからバースへ到着した。バース・スパ駅では、ロンドンから移動してきた友達と待ち合わせていた。到着予定時間よりも30分くらい過ぎてしまったが、無事に駅で友達に会い、一緒に予約した宿泊先へ向かった。そこは、旅行予約サイトで見つけた駅から徒歩5分のB&B。バースではThe Divine Comedyのコンサートを見る予定だったので、会場から近い宿を予約した。実際、本当に会場に近くて歩いて5~10分くらいだった。

 

宿のB&Bは昔ながらのスタイルで、道路に面したエントランスのドアを入ると細長い廊下の先に階段があり、階段手前の一角に受付用の小さいデスクがあり、部屋の鍵などもかかっていた。このB&Bは宿泊客が外出するときに、デスクの上においてあった紙に、出て行く時間と帰ってきた時間を書いておくように言われた。

 

部屋に荷物を置いて、さっそく街なかに出かけて行った。バースを訪れるのは約30年近く振りだった。前回は90年代でケント州にある語学学校に行っていた時に、クラスメイトと3人で訪れてB&Bに一泊した。その時は確か7月頃だったと思う。記憶があいまいだけど、宿は現地に到着してからツーリストインフォメーションに行って探してもらったか、街なかを歩いていて入口のドアなどに”Vacant”(空き室あり)という表示のある宿を探して入ったかも。ちなみに満室や空き室無しは”Occupied”だったような・・・。そんな言葉でさえ今は懐かしく感じる(笑)。当時はインターネットも携帯電話もなくて、事前に宿を予約するとしても、ガイドブックに掲載されている宿ならば電話をかけて事前に予約するしかなかった。そうでなければ、現地に到着したらまずはツーリストインフォメーションに行って空いている宿を探してもらい、電話で予約してもらったものだ。

 

話は逸れたが、B&Bから少し歩くとすでに観光名所の数々があった。30年振りのバース、エイヴォン川にかかるパルトニー橋や、その独特な形状の川はパンフレットなどでよく見るバースの象徴的な風景だ。今回は最初にその川の近くにある公園に行ってみた。するとジェーン・オースティン生誕250周年を祝うモニュメントが飾られていた。バースはジェーン・オースティンが家族と住んでいた街で、バースを舞台に書かれた作品もあり、ジェーン・オースティンセンターという博物館もある。

 

(上:ジェーン・オースティン生誕250年のモニュメント)

 

 

(上2枚:公園にあるバンドスタンド、そのステージの階段に書かれたシェイクスピア作品からのセリフの引用"If music be the food of love, play on!")

 

(上:道の上の方から見下ろした公園)

 

旅行前に、バースの歴史をちょっと勉強しておこうとVisit UKなどのサイトを見ていたら、バースにまつわるおとぎ話のようなものを見つけた。その伝説によると紀元前863年、当時不治の病とされたハンセン病を患ったために王国を追放されたブラダッド王子(Prince Bladud)が田舎をさまよっていた。王子は生活のために豚の群れを連れていたが、その豚たちも皮膚病にかかってしまった。王子と豚がバースを歩き回っていた時、豚が地面の湿った泥の上に身体をこすりつけていると、そこから湯気が出ているのに気づいた。また、その湯気の出ている湿った土を身体にこすりつけていた豚の皮膚病が治ってきたということから、王子と豚がバースで治癒効果のある温泉が湧き出ていることを探し当てたという言い伝えがあるそうだ。公式にはバースはローマ人が築いたと言われているが、伝説とされるブラダッド王子の名も多くの歴史的文献に登場しているという。参照サイトはこちら→ Visit Bath

 

そのブラダッド王子と豚さんの彫像が公園に立っていた(下の写真)。

 

 

 

写真のブタさんの耳が垂れている?と思ったら、割れて取れてしまったらしい。サイトにある写真では左耳はまだちゃんとついていた。

 

その後、近くの店でフィッシュアンドチップスを買って、公園のベンチに座って食べた。

 

 

 

 

昨年10月のイギリス旅行では、グロスターに滞在した後、バースに移動する予定を立てた。

計画していた春先に、グロスターからバースへの列車の経路やタイムテーブルを調べていたら、グロスターからバースまで乗り換えなしで直接行けることわかり、安心して旅程を立てていたのだ。が、しかし、旅程が近づいてきた夏頃に列車の時刻表などを再度チェックしていたら、どうも直通の時刻表が出てこなくて、おまけにロンドンからグロスターに行く列車もチェルトナムまではあるが、そこから代替バス(代行バス)の表示が出て来て、どうやらグロスター周辺の鉄道は工事のため運休になっていることがわかったのだ。スムーズに移動できると思って計画したが、やはり数ヶ月先の計画、鉄道工事など予測できないことが生じるのは仕方がないことだ。
 
バースに移動する前日、グロスターで鉄道のサイトをチェックすると、バースに行くには、Bristol Pakway駅まで代替バスが出るという情報が出てきた。当初は1本でバースまで行けるのだと安心しきって計画を立てていたが、バスと鉄道の乗り換えで行かねばならない。しかも、未知のルートで果たして無事につくのか不安がよぎった。
 
 
 
 
翌日、相変わらず重いキャリーケースを引きずってグロスター駅まで歩いていき(駅まではショッピングモール内を抜けて行けたのでフラットなフロアで、移動は比較的楽だったが、つくづくもうこんな大荷物の移動、次回はぜったいに避けたいと真剣に心に誓ったのだ)、駅のチケット売り場でバース(Bath Spa)までのチケットを買い、代替バスの発車場所と時間を聞いて、ついでに駅構内のトイレを借りた。トイレはプラットホーム内にあるので、改札付近にいた駅員に断り、ホームに入れてもらった。グロスター駅のホームは人もいなくて、電車の影もまったくなくひっそりとしていた。
 
 
グロスター駅前には、代替運行の大型バスが到着する停留所が設けられ、すでにバスが到着していた。それに乗るのかと思い係員に聞いたら、そのバスではなかった。ほどなくして、20人乗り位のミニバスが到着し、それが自分の行き先の代行バスだった。大型バスじゃなくてミニバス?と思ったが、乗車人数によって調整しているのかもしれない。そのミニバスに乗ると、車の芳香剤の匂いがきつかった。そして、なぜだかブンブンと重低音の音楽がかかっていて、このミニバスのドライバーの趣味だろうが?大丈夫かな?と少し不安がよぎったが、「イギリスあるある?」だと思い、過去何度も滞在しているし、これくらいで動じてはいけない‥と不安を振り払った。
 
そしてすべての乗客の乗車が終わるとミニバスは発車した。最初は住宅地の狭い道をうねうねと進み、住宅街のバス停のようなところで数人が乗車してきた。地域の住人も鉄道が使えなくて、代行バスを利用しているのか・・とローカルな気分になったものだ。
 
その後は緑地の多い田舎道のような道路を進んで行った。この辺りは丘陵が多いようでアップダウンのある風景が車窓から見えた。列車でスムーズに行けなくても、運休だからこそ、こうしたあまり行く機会がないような街なかのルートを通っていくのも悪くはないな・・と、好きな音楽をイヤホンで聴きながら、旅を楽しんだ。
また、どの辺を走っているのかと、グーグルマップを開いてチェックしたりしていた。

 

両側に木々や低木が生い茂る狭い道を走っているときに、突然、車体の下の方からガタン!という衝撃と大きな音がした。運転手がすぐに減速し車を道端に停めて、外に出て行った。車に何かに当たったような音だったが、よくわからない。運転手が車内に戻ってくると携帯電話でどこかに連絡し始めて、どうやら車が故障し、これ以上走れないと言っているようだった。残念ながら、別の代行バスに乗り換えることになった。代行の代行とは、ついてない!そして迎えに来る代替の大型バスがこの狭い道路に入って来れないので、広い道路まで少し歩いて移動しなくてはならなかった。そこはけっこうな上り坂で、重たいキャリケースを引きずって移動しなければならないとは!勘弁してよ~と思っていたら、乗客の荷物の中で一番重そうな自分のキャリーケースは運転手が持って行ってくれた(ラッキー!)。しかし、急勾配の坂道はもう一つの荷物のリュックを背負って歩くだけでも結構きつかった。
 
(下のマップは確かミニバスが故障した辺りで、写真はその周辺を走っていたときの車窓から)
 
 
 
そして無事に代替の大型バスに乗車できた。さて、次の難関は、Bristol Pakway駅で乗る列車だ。事前に調べた到着時刻だと荷物を持っていても余裕でバース行きの列車に乗れる待ち時間があると思ったが、車の故障で立ち往生してかなり遅れたため、到着が発車時刻ギリギリになってしまいそうだった。重たいキャリケースを持って走ることはできないし、もしかして乗れないかも?!と、また不安がよぎった。想定外で初めて通過する駅で、どの程度の頻度で列車が走っているのか未知の世界で、列車の運休も多いからスマホでチェックする時刻表もあてにならない状況。予期せぬ乗り換えやアクシデントもあったりと、なかなかスムーズに行かない。これはもう最悪、夕方までにバースに到着すればいいと思うしかなかった。
 
(上の写真は途中でバスが停車し乗客を降ろしたYate駅)

結局、Bristol Pakway駅に到着後、バスを降りて駅構内に入り足早にホームへ急いだが、ホームへ到着したと同時に、乗るはずだった列車は発車して動き始めたところだった!仕方なくスマホで次の列車の時刻を検索・チェックしてその時間にホームで待機していると、時間になってもバース行きという列車が現れず、代わりに別の行き先の列車が到着し停車していた。おかしいと思ってホームにいた駅員に、スマホでバースまでの直通列車が表示されている時刻表を見せながら聴いたら、キャンセルになったと言っていて、今ホームに停車している列車に乗ってBristol Mead駅でバース(Bath Spa)行きの列車に乗り換えれば行けるという説明だった。エー!と思って、またまた想定外の乗り換えにうろたえながらも、停車中の列車に乗車してみた、、、が、しかし、ここで自分のダブルチェック体質がふつふつと生じて来て、よせばよかったのに、乗り込んだ列車に乗っていた近くの乗客に、この列車でバースに行けますか?と聞いたら、その乗客は、「え、これはブリストルミード行きですけど、、バースに行けるかはわからないわ」との返事で、途端に不安になり、迷った挙句、その列車を降りてしまい、またホームにある時刻表モニターをチェックしに行っている間にその列車は発車してしまった。ホームを歩いていると、先ほど教えてくれた駅員さんと一緒にいた別の駅員さんが私を見て何か苦笑いをしているような表情だった。その後もモニターにはバース行きという列車は表示されず、やっぱりBristol Mead行きの列車に乗って、乗り換えてバースに行くしかないと納得し、次に到着した列車に乗り、どうにかバース駅に無事に着いたのだった。
 
(バース行きの列車の車窓) 


(バース/Bath Spa駅)

しかしBristol Pakway駅での駅員の言葉を信じずに(笑)、見知らぬ乗客にダブルチェックしてしまったことがミスだったかも。もともとバースまでは直通で1本で行けるという頭があったので、その考えに固執してしまった。大昔に一度訪れたことのあるバースでも当時はロンドンから列車で往復したのみだったので、その周辺のローカルな短距離線の乗り換えなど想定していなかったし、手元に路線地図も用意していなくて、どの路線がどうつながているのかを確かめる余裕もなかった。改めてイギリスの地方の主要駅でない街を列車移動するときは注意しないといけないと思った。以前、やはりDivine Comedyのコンサートツアーで、ロンドンからオックスフォード、そしてブライトンへ移動したときに特に問題がなく旅行できたので、その成功体験?からか、今回も容易に移動できると思って計画してしまったのだが、タイミング悪く鉄道工事で運休にあたってしまい、一筋縄では行かなかったのだ。
 
 
 

リック・アストリーと言えば、2020年3月の来日公演がコロナでキャンセルになって以来(当時、リックとツアースタッフたちはオーストラリア公演の後に来日していたが、急きょ東京公演がコロナ感染拡大のため延期(後にキャンセル)となり、すでに入国済みで信じられない様子だったリックは東京で観光している姿をSNSの動画や写真でシェアしてくれた)、いつか来日してくれるのでは?と期待し続けて早6年。その間、イギリスではバンドのBlossomsとのコラボでThe Smithの楽曲をカバーして話題を呼んだり、初のグラストンベリーフェスティバルに出演したり、アメリカツアーを成功させたり、毎年のようにイギリスや奥様の故郷の確かデンマークでコンサートを行ったりと、精力的に活動しているようだ。

 

今年は春先に、Reflection Tourというこれまでの自身の軌跡を振り返り、ライブではレアな曲も披露したというツアーをイギリスとアイルランドで行っていた。また今年は、私もリック再発見のきっかけとなったアルバム『50』の発売10周年ということで、そのツアーのロンドンO2アリーナで披露したアルバムからの3曲のライブ演奏をYouTubeの公式アカウントでシェアしてくれた。

 

 

 

 

個人的には『50』発売後にYoutubeで「Angels On My Side」のMVを見て、リックのアルバムを聴いていた90年代初め以来のいわゆる出戻りファンになったわけだけど、2017年にサマソニ・エクストラの単独公演情報を知りチケット入手して初めてリックのライブを見に行けたのはラッキーだった。そのときは、特に何もチケット会員になってなかったと思うが10列目くらいの席が取れて、ライブのオープニング曲のTogether Foreverのイントロの演奏が始まると、曲は昔から知っていても初めてライブで聴くTogether Foreverのイントロの高揚感、なんというか80年代のあの時代へとタイムスリップするようで、本当にこれはヤバい!という感情がこみあげてきたのを思い出した(笑)。2018年頃と言えば、当時はまだ過去をあまり振り返ることもなく、80年代を懐かしく思うこともなかったし、リックの新しいアルバムの曲でファンに出戻ったこともあり、まさか昔の曲(80年代レンタルで録音したダビングテープはずっと持っていたが)にそれほど心揺さぶられるとは正直予想外だったのだ。やはりライブ演奏の力って凄いなと思った。リック・アストリー、もし来日してくれたらもちろんまたコンサートに行きたい。近いうちに来日が叶うことを願うばかり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最近パソコンのブラウザ上(Firefox)のツールバーに今までなかったアイコンというか、「VPN」の文字が表示されているのに気づいた。調べたら、ある一定データ量まで無料で使える簡易VPN機能らしい。VPN接続、ずっと使ってみたいと思っていたので試しに使ってみた。

 

というのも、ここ数年、Youtubeなどで海外バンドが公開した公式ミュージックビデオ(MV)とか、以前はずっと観れた公式のMVなどが、ライセンスの関係か何かで「あなたの地域では公開されていません」と表示されてアクセスできなくなることが多くなってきたような気がして、さらに約1年前からはイギリスのBBCラジオ各局も、ワールドを除いてすっかり聴けなくなってしまって、以前は好きなバンドの出演するラジオ番組を聴いたりしていたので、つまらなくなってしまったなーと思っていたのだ。しかしVPNでネット接続すればそうした地域限定の放送やコンテンツにもアクセスできるらしいので、前々から気にはなっていた。

 

手始めにVPN接続して、アクセスできなくなった海外ラジオを試してみたが、無料の簡易VPNのせいかアクセスできなかった。やはり無料のものは機能的に制限があるらしい。
 

気を取り直して、次に、YouTubeで見られなくなったMVを検索してみた。ひとつは、Kula ShakerのIndian Record Playerという曲のMVで、もともと日本からは見られなかったので、昨年渡英した時に現地では観れたMV。しかし、今回おかしなことにそのMV自体が出てこない。いろいろ調べてみると、おそらくMV自体が公式により削除されたか公開停止中になっているらしかった。

次に、約20年前にリリースされたThe Divine ComedyのDiva LadyのMV。こちらは数年前に久しぶりに思い出して観ようと思ったら、「あなたの地域ではライセンスの都合上公開されていません・・・」みたいな理由でアクセスできなかった。そして、今回YouTubeで検索したところ、こちらもビデオ自体が見つからなかった。やはり削除されたか公開停止にしたのかもしれないと思いつつ、念のためDiva Ladyをネット検索したら、Apple Musicで公開されていることがわかり、スニペットで少しだけ見られるようになっていた。Apple Musicをサブスクをすれば全部見られるということだ。Apple Musicは各種音楽配信の中ではミュージシャン側への収益還元率が高いというのを前にどこかで見たことがあるので、やはり公開する側も当然ながらプラットフォームを厳選しているのかもと思った。Apple Musicのサブスクはしたことないのだが(長年アップル製品に縁がなくて初めてアップル製品を購入したのが2020年代なこともあり)、現在、どの音楽配信もサブスクしていないので悩むところだ。歳のせいか最近音楽を聴く時間も減ってきて、サブスクしなくても所有しているCDをかけるだけで事足りる日々、有料サブスクはあんまり興味がないのだが、ただApple TVで見たい番組があるので、TVと音楽が両方セットになっているものがあったので(Apple Oneという月額1,200円のサービス)、期間限定でそれをサブスクしてもいいかもと思った。

The Divine Comedy - Diva Lady on Apple Music

 

 

 

 

 

 

 

 

5月は一度もブログ投稿していなかった。ネタはたくさんあるのだけれど(笑)、なかなかブログを開いて書き出すまでが億劫である。なんというか、思っていることを文章にするのがなかなか難しい。それに仕事があるとそちらでパソコン操作、文字入力もあるので、ずっとパソコンに張り付いているのも(座ったまま)身体によくないし、じっとしているのは眼も手も身体も疲れるので、おのずとブログ投稿が少なくなるのかも。あーあ、早く好きなことだけして過ごせる年齢になりたいものだと、すでにリタイヤした年上の友人を見て思うけれど、フリーランス人生なのでなかなか老後も悠々自適とはいかなそうだ。仕事も程よい量を続けられて、気力とモチベーションを維持して、頭を使って老化を阻止できればいいと思う。

 

先月は映画館で2本映画を観た。

 

1本目は、ケン・ローチ監督作品の『オールド・オーク』。

 

 

映画のサイト:オールド・オーク

 

ストーリーの舞台はイギリス北東部のかつては炭鉱で栄えたとある町。そこではシリア難民を受け入れていて、難民を乗せたバスが到着すると、町で活動しているボランティアが難民の生活の支援をしている。しかし、それを良く思わない地元住民もいて、彼らの到着に苛立ちを見せる。難民のなかに家族と逃れてきた一人の女性、ヤラがいた。彼女はある出来事から、その場にいた難民受け入れボランティアで、パブの店主であるTJと知り合う。TJのパブは地元住民の憩いの場であるがさびれた町の客の入りは少ない。そこに難民であるヤラが訪れると、怪訝そうな視線を投げる地元客もいた。パブのカウンター奥の部屋は、今では物置になっているが、かつて炭鉱労働者でにぎわった町の面影が伺える写真が飾ってあっり、その部屋も昔は客であふれていたようだ。

 

ケン・ローチ監督の作品は社会問題を取り上げているシリアスな内容がほとんどだと思う。以前何作か見たことがあるが、出演者に普通の人を起用しているようで、かといってドキュメンタリー作品とは違う感じで、映画としてストーリーの中に引き込まれてしまう。難民受け入れ問題は海外のニュースでも常日頃取り上げられている。日本も近年は外国人の居住者が増加し、難民とは違うが、自分の住む地域の近くの町も住人の何十人に一人が外国人という統計が発表され、ここ20年くらいでいつの間にか地方の片田舎がグローバル化していた・・・と気づいたものだ。やはり外国人を見馴れていない人は、この映画の住民のように外国人を良く思わない話も聞いたりする。

 

映画では、さまざまな立場の人々の感情が丁寧に描かれていて、分断気味だった住人たちが互いに理解し合いながらすこしずつ難民の人たちを受け入れ共生していく様子が描かれている。難民、地元民というラベル付けではなく、単純にみんな同じ人間なのだと気付くことが大事だと思わされる。地味で淡々としているが、観た後に静かな感動がある映画だった。

 

 

2本目は、『ザ・コラール 希望を紡ぐ歌』公式サイト

 


監督はニコラス・ハイトナー、脚本はアラン・ベネット、主演はレイフ・ファインズほか。また、イギリス刑事ドラマ『刑事モース~オックスフォード事件簿~』に出ていたロジャー・アラムも出ていて、ほかにも以前イギリス映画で観たことのある俳優が数人出ていた。

 

ストーリーの舞台は、第一次世界大戦下のイギリス北部ヨークシャー。町の小さな合唱団は、戦争の徴兵により団員が減り、存続の危機になっていたところ、新しい団員を集めて再建を図るべく、新たな指揮者にドイツ帰りのヘンリーが選ばれる。敵国で指揮していたことで周囲からは偏見の目を向けられる。合唱団ではバッハのマタイ受難曲を練習していたが、バッハは敵国ドイツ人だということで反対の声が。ほかの曲にしようと候補があがるもワーグナー、ブラームスと作曲家はみなドイツ人。イギリスに来ていたヘンデルの曲は?と言うが彼もドイツ人だった。とうとう最後に決まったのは、エルガーのオラトリオ「ゲロンティアスの夢」 だった。ロジャー・アラム演じる地元の市会議員は合唱団の責任者でもありテノールのソロパートを任されているが、ほどなくして戦争から戻った負傷兵で元合唱団員だった若者がヘンリーの目にとまり、ソロを担当することに。そのため、ヘンリーは若い兵士を主人公としてエルガーの曲を改変してしまう。合唱発表の当日、国民的作曲家のエルガーがリハーサルのさなか、いきなりその会場へ現れる。団員の一人がエルガーに曲を上演すると手紙書いたのだった。リハーサルを見て自分の曲が改変されて上演されることを知ったエルガ―は、改変は認められないと怒って帰ってしまうのだった。

 

しかしヘンリーは恐れずに、「芸術が芸術を生みだすのだ」というようなことを言って改変した曲を堂々と上演する。

確かにクラシック音楽では、ある曲を主題として編曲された別の楽器のための演奏曲があったりするので、そういうことかと思った。また作曲家も他の作曲家の作品にインスピレーションを受けて、新たな曲が生まれると言うこともあると思う。

エルガーはイギリスが誇る作曲家だから、映画の中でも威厳のある風体で登場していたのが印象的だった。

 

合唱団員も若者からシニアまで、それぞれ個性的でドラマがあった。これから未来のある若者が国のために戦うことを誇りに思い戦地に向かうのを見て、なんだか当時はどこの国も皆そんな感じだったのかと複雑な気持ちになった。

今の時代、どう考えても戦争は愚かなこととしか思えないが。