Have a cup of tea

Have a cup of tea

主に英国に関する出来事を記録しています

先週、イギリスの大女優、マギー・スミスさんが89歳で亡くなったというニュースが、ソーシャルメディアに飛び込んできた。もうかなり高齢ということも知っていたので、その時は、いつかはやってくる・・と思っていたが、お亡くなりになって、とても残念で哀しい。

 

彼女が出演した作品を最後に観たのは、確か2年前の2022年、映画版の『ダウントン・アビー/新たなる時代へ』だったと思う(・・・と調べていたら、なんと映画版ダウントン・アビーの第3弾が来年9月に公開されるらしい!)。マギー・スミスさん、ここ20年くらいは映画『ハリー・ポッター』シリーズやドラマの『ダウントン・アビー』のレギュラー出演で欠かさず観ていたので、非常に親しみのある顔だった。2年前の映画版ダウントン・アビーでは、9月に英国の女王が逝去した後に観たため、ドラマの中でもマギー・スミスさん演じるグラニーのヴァイオレットが亡くなるのにショックを受けた思い出がある。人には寿命がある、命の灯がやがては消えるものだとわかっていても、ずっと長生きしてもらいたいと、無茶なことを願ってしまうものだ。そういえば、映画『ラベンダーの咲く庭で』でジュディ・デンチさんと老姉妹を共演していたけれども、あの時だって、自分からしたら、だいぶ高齢と思っていたけれど、あれから20年くらいずっと絶え間なくお仕事されていたと思うと、あらためて素晴らしい女優さんだったのだなと思った。

 

そんなお馴染みの顔だったスミス氏が出演している作品で、気になっていたけれどまだ未視聴だった『ミス・シェパードをお手本に』を観た。

 

 

これはイギリスの劇作家、アラン・ベネットが体験した実話に基づく舞台劇の映画版だそう。ベネットの住まいがあるカムデン地区の一角に、バン(ワゴン車)を住み家にしている変わり者の頑固な老女が流れ着き、アラン・ベネット(本人)とその老女との奇妙な交流を描いたストーリーである。

舞台劇で老女を演じたマギー・スミスとアラン・ベネット役アレックス・ジェニングスが同じ配役で、この映画でも演じている。監督はニコラス・ハイトナー。

 

時代は1970年、ロンドンのカムデン地区の芸術家や富裕層が住む地域にある劇作家のアラン・ベネットが住まいがある。その通りに、マギー・スミス演じる「ミス・シェパード」が古いバンを停めてそこで生活している。周囲の住人は、気にはしながらも追い払うわけでもなく、遠くから見守っている様子。彼らの会話の中には、画家のシッカートが出てきたり、作曲家ヴォーン・ウィリアムズの妻も登場する。ある夜、ミス・シェパードが車を停めて休んでいると、通りがかりの若者がバンを叩いて老女を怖がらせているのを見かねたベネットは、自分の家の空いている敷地内に車を停めるよう提案し、そこから、ベネットとミス・シェパードの交流がはじまる。

 

ベネットは、遠くに住む高齢の母親の元を時折尋ねるが、あまり関係が良くない様子。そのせいかわからないが、他人ではあるがすぐ近くにいる高齢のミス・シェパードのことが気になる。自分の仕事の良いネタになるという興味本位で接しているのか?それとも隣人を愛する思いやりからか?ベネット自身のなかの仕事人と生活者という二つの人格が議論を始めたりする。徐々にミス・シェパードの過去の体験が明らかになっていく。それは、冒頭のシーンで、第二次大戦中に軍で彼女が救急車の運転手をしていて、事故で人を死なせてしまったと思った体験や、音楽の道を志すが、修道院でピアノを弾くのを禁じられた体験など、苦しい思い出がフラッシュバックするのだった。

 

ミス・シェパードがバンで生活していたのは10数年に及んだそうで、映画ではソーシャルワーカーが時折様子を見に来たり、最後の方では、高齢者のデイサービスでお風呂に入ったりして、なんだか頑固な性格もちょっと素直になってきて、同時に、徐々に体の自由もきかなくなってくる様子を見ていたら、老いと言うものがなんだか胸に迫ってきた。こういう作品、10年前、20年前に観たらまた感想は違ったかもしれないが、歳を重ね、自分もそういう状態に確実に近づいていると思うと、まぁ、いろいろと考えさせられるが、最後のシーンで、Last Laughという言葉が出て来たのが印象的だった。そういえば、昔そんなタイトルの二人芝居(マーティン・フリーマンが出ていた)を東京で観たのを思い出したり、Travisの曲のタイトルを思い出したり(Tha Last Laugh of the Laughter)、その意味は、最後に笑った者が勝ち、と言う感じだけど、人生の最後に、やりたいようにやってきてよかった!と笑えるのが一番なのかと思った。

 

晩年まで素晴らしい演技と存在感で女優の仕事を貫いたマギー・スミスさんのご冥福をお祈りする。

 

 

2024/08/17

 

先日、7年振りの来日となったBelle and Sebastian(以下ベルセバ)のライブを、サマーソニックの幕張メッセ会場に観に行った。

これまで数十年、国内や海外でコンサートに行ってきたが、フェスに行くことはまったく選択肢になかった自分が、なぜか猛暑の夏に開催されるミュージックフェスティバルに行くことになるとはまったく想像していなかった。とはいえ、一度だけ2000年代後半にTravisが出演するフジロックに行こうかどうか迷ったことはある。その時はかなり直前になってから迷い、宿泊先を検索したら、あることはあったけれども、民宿の4人相部屋とかしかなくて、結局行かなかったのだが。

 

今年の春先にサマーソニック(以下サマソニ)の出演者の発表にベルセバの名前が上がり、前回来日ライブを観たのは2017年の7年前だったこともあり、来日があればいつでも絶対に行きたいグループの一つだったので、フェス出演のほかに単独公演でサマソニExtraの方に出てくれたらと切に願っていたが、その発表はなかった。でもベルセバを観たい気持ちは強いまま、迷っているうちに、国内の超人気アイドルの追加出演が発表され、その後チケットはソールドアウトになってしまった。それを知り、チケットを買っていなかったことをひどく後悔したが、その後、未練がましくイープラスのサイトをチェックしていたら、再度一般発売の表示が出ていて買える状態になっていたので、その後悔した気持ちを思い出し、とりあえず購入しておいて、無理そうならばリセールもできるし後で考えようということに。ソールドアウトの発表後に一般発売が出たのは、期限までに支払われなかったチケットやどこかで余ったものが再販されていたのだと思う。

 

そしてサマソニ開催の週末が近づくと、今度は台風の影響が危ぶまれ、初めての夏フェス、本当に行けるのか?猛暑で大丈夫か?海のそばだから内陸より少しは気温が低いのか?と、落ち着かない気持ちでソワソワしながら当日を迎えた。結果的に台風は上陸を逃れたものの、台風一過後のフェーン現象で幕張は最高気温35℃の高温アラートの出る日となってしまった。

 

フェスなので会場には複数のステージがあり、多数のアーティストやグループが出演するのだが、ほかのアーティストも曲などをチェックしてみたけれども、時間的にベルセバに集中するのが無難だと思った。屋外のマリンスタジアムはもちろん選択肢にはなく、メッセ会場内はスタンディングの公演なので、熱中症の懸念もあり体力温存を重視して、午後4時半ごろに会場に到着するよう計画。駅に着いた時に構内の空いているカフェで腹ごしらえをして少し時間を潰していた。

 

 

 

 

そして駅から幕張メッセまで歩道を10分ほど歩いただけで、まるで学生時代の夏の部活のときのように全身汗かき、屋内といえども空間が広すぎてエアコンが効いているとは言い難い環境。人が行き交うロビーのベンチが空いていたので、少し座って落ち着いたが、暑さは変わらず。じっと待っていても暑いので、SNSで紹介されていたイギリスのロックバンド、Nothing But Thievesをマウンテンステージに観に行った。彼らは最初はもっと早い時間に予定されていたが、確か1組、ミュージシャンのキャンセルがあり、ちょうど自分が見やすい時間にずれてくれてラッキーだった。マウンテンステージはメッセで一番大きい会場だったが、すでにステージ前はたくさんの観客がいたものの、横の方はすいていて、大きいスクリーンもあって意外と近いところまで行けた。会場が広いせいか、最初だからか、後ろ半分はかなり空いているという印象だった。

 

(下の写真はイギリス出身のロックグループ、Nothing But Thieves)

 

 

少し予習して聴いていたキャッチーなメロディのアップテンポな曲が1曲目で、その後3曲ほど聴いた。そして、先にトイレに行っておこうとホールの外に出て、長い列に並ぶ。15分くらい待った気がする。その後、またベンチに座って休憩し、 ベルセバ前のBleachersというバンドが終わる頃にソニックステージという会場に入った。ちょうど演奏が終わり、出て行くお客さんとは逆方向に前に進んで行ったら、ステージ向かって右側の前から2~3列目くらいの位置に立てたので意外だった。事前にフェスについて情報を読んだら、混んでいると入場規制がかかっては入れないこともあるらしくて、それでは困る!と思ったが、全くそんなことはなかった。人混みが苦手なのでラッキー!と思った。

 

そして、ベルセバのステージ替えで楽器やスクリーン映像のチェックをしていると、アニメのザ・シンプソンズ(The Simpsons)にカメオ出演して話題になっていた映像が音とともに流れて面白かった。思わず写真を撮ってしまった↓。

 

 

 

開演を待っている間、観客も徐々に集まって来て、空調つけているはずだけどまったく涼しくなくて、携帯用ファンが小さいながらも風があるとまだマシで持って行ってよかった。そして間もなく、ベルセバのメンバーが現れて、いよいよライブが始まった。

 

 

オープニングに聞き覚えのあるインスト曲が流れて、映画『バグノルド家の夏休み』サントラからの曲だった。1曲目は、I'm A Cuckooで軽快なテンポのメロディ、glad to see you~ と歌がはじまる、オープナーに相応しい一曲。歌い終わった後か記憶がおぼろげだが、合間のトークでフロントマンのスチュアートが、この曲の歌詞にもある原宿のことを言い出して、もうハラジュクに行くには自分は too oldと言っていた。それを聞いて思わず、me too!と心の中で言ってしまった(笑)。でもスチュアート、ステージ上では軽快なフットワークであの独特な踊りで元気に歌ってくれてよかった。

 

 

また、Get Me Away From Here, I'm Dyingも演奏してくれて、この曲は初期の方の赤いアルバム(If you’re feeling sinister)に収録されているが、先の『バグノルド家~』のサントラ用に歌を再録音したそう。思えば、サマソニにベルセバ出演という知らせを見て、単独だったら即決なのに、観に行きたくても暑い時期のしかもフェスで自分は行けなさそう、、ベルセバが来日するのに観に行けないのはほんと悲しい~と悲嘆に暮れていたときに、その映画を観たので、主人公が夏休みに楽しみにしていた予定がキャンセルになり、ふてくされて一夏を過ごすエピソードと、ベルセバのライブを7年ぶりに観れるチャンスだけど、フェスには行けなさそうな自分を重ねて、この曲を聞くと泣きたくなったのが思い出された。夏休みという季節感も相まって・・。

 

 

 

この日のセットリスト→ B&S at Summer Sonic Tokyo 2024

 

サマソニ公式ページのフォトギャラリー →Belle and Sebastian

 

フェスなので時間割り当てが1時間弱くらい、単独公演と比べて半分くらいのセットリストだったが、どの曲も馴染みのある曲でステージ上でメンバーが演奏してくれる姿を見ながら聴けて楽しかった。いちばん新しいアルバム(Late Developers)からも2曲演奏してくれた。来日前に、ファンとインタラクティブに交流するのが好きなスチュアートがソーシャルメディア(X)で、サマソニで聴きたい曲を募る投稿をしていたので、私も数曲リクエストしてしまったが、そのうちの1曲は大阪会場で演奏らしく、東京で聴けなくてちょっと残念だったけれども仕方ない。またの機会に、次はぜひとも単独公演を期待したい。

 

(最後の曲、Judy and the Dream of Horsesのときのステージ↓)

 

 

意外だったのがDear Catastrophe Waitressを演奏したことだった。スチュアートが、このアルバムのリリース時に初めて日本でライブをしたと言っていたように聞こえたが?、後で来日時のチラシをチェックしたら、Dear~のチラシは2004年の来日時だったので、私が初めてベルセバの来日公演を観たのは2001年、赤いアルバムの時が初来日だった?会場は赤坂ブリッツだった。
 

 

しかし、天気はその時の運なので仕方ないが、当日、猛暑で暑くて本当にどうなる事かと思った。幕張の予想最高気温は35℃くらいということだったが、家を出るときがちょうど一番暑い昼過ぎで、駐車場から最寄り駅までの5分~くらいの徒歩でも、体感温度は40℃くらいあったと思う。熱い空気の中を歩いているとくらくらして、息苦しい感じもしてなんだか危険を感じて、電車に乗っても先行き心配になり、行くのやめて家に引き返そうかと思ったほどだった(笑)。やはり、気温20℃~25℃くらいがアクティブな外出は一番快適だと思う。春や秋のもっと気候の良い時期だったら、もう少し他のアーティストのライブも楽しむ余裕があっただろう。でも、今回は唯一の大本命のベルセバが観れて本当に良かった。

 

サマソニライブに向けてベルセバの歴代アルバムを古い順番から聴き直していたが、どの曲もライブ映えする聴きたい曲ばかりだなぁと思った。ちなみに自分がリクエストした曲の一つはこちら↓だった。

 

 


日が経つにつれて、サマソニに行けたことも、ベルセバを観れたことも、貴重な体験だったとじわじわ思えてきた。しばらくはベルセバ祭りで、コロナ禍にリリースされた2枚組のライブアルバム、What to Look for in Summerでライブの余韻に浸りたい。まさにこのタイトルのように、夏に見つけたいことが見つかった気分で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

子どもの頃、通っていた幼稚園で販売して購入した絵本が家に何冊かあった。その中で記憶に残っている絵本は、幼い女の子がひとりで留守番をする話で、しんと静まり返った家の中で冷蔵庫のモーターの音が聞こえてきたり、おやつのケーキを食べようとするがフォークが滑って上手く食べられなかったり、お母さんが帰ってくるのを待つ女の子の心細い様子が描かれていた。本の題名はわすれてしまたったが、絵はおそらく、いわさきちひろさんだったような・・と思って探してみたら、おそらく以下の絵本かもしれない(投稿されているレビューを見ると、その可能性は高い)。

 

 

 

 

 

そして家にあったもう一冊が、『シャーロットのおくりもの』という絵本。これは絵本を読み聞かせの朗読が録音されたソノシート(薄い透明のレコード盤)が付いていたような、おぼろげな記憶がある。題名のシャーロットとは農場の納屋に住み着いている蜘蛛のことで、その納屋の一角には一匹の子豚が飼われていて、いずれは肉屋に売られてしまう運命にあるが、蜘蛛のシャーロットが機転を利かせて、蜘蛛の巣に細工をして子豚の命を助ける物語だ。その絵本を読んでいたのは自分は小学生低学年頃だったので1970年代半ば頃だが、その後、家の建て替え、引っ越しでそれらの絵本はどこかに行ってしまった。

 

しかし、5年くらい前にある出来事がきっかけで、この『シャーロットのおくりもの』の絵本を思い出し、調べてみたら、原作がE.B. ホワイトというアメリカの作家の書いた児童書であることを知った。むかし家にあったのは大きくてページ数も少ない絵本で、子供向けにだいぶ話が省略されていたものだったのだ。絵本に出てくる子豚の名前もすっかり忘れていたが、5年前にアイルランドのとある場所で、その子豚の名前と同じ名の大きな豚に会ったことや、その豚がいた場所の人々の活動などから、この絵本の物語を思い出した。早速Amazonで調べてみたら、児童書の洋書があり、Kindle本でサンプルを入手して最初の方を読んでみたら、先を読みたくなり、購入してみた。

 

この物語は、ある牧場で未熟に生まれた子豚が、どこかに連れていかれそうになるところを、近くに住むファーンという女の子がその子豚を引き取りウィルバーと名付けて育てるところから始まる。いつもウィルバーと共にいたファーンは不思議なことに、納屋で子豚のウィルバーや蜘蛛のシャーロット、他の動物たちが話していることが聴こえてしまうのだった。絵本の記憶ではウィルバーとシャーロットだけが印象に残っていたが、他にもネズミや羊、ガチョウなどが登場し、それぞれの動物の特徴を捉えた行動や喋り方が面白く表現されていた。また、動物たちの話のほか、子豚のウィルバーに夢中になっていたファーンが、成長して同世代の男の子に興味を持ちはじめたり、避けられない別れがあったり、はたまた動物の品評会での出来事など、動物が喋るファンタジーだけでなく、現実的な出来事も描写されていて、ファンタジーとリアリティが共存する素晴らしい物語だと思った。児童書なので英語もわかりやすく、特に自然や動物たちを描写する英語の表現が詩的で美しい。

 

 

 

 

そしてこの本を読み終えたら、巻末に同じ著者の別の作品の冒頭がサンプルとして掲載されていて、試しに読んでみたら先を読みたくなったので、Kindle本で英語版を入手してみたのが、以下の『The Trumpet of the Swan』だった。

 

 

 

これは『白鳥のトランペット』というタイトルで翻訳された単行本が販売されているが、あらすじは、カナダのある湿地帯の近くのキャンプ場に父親と夏休みを過ごすために来ていた少年は、ひなが生まれたばかりの白鳥の家族を遠くから観察していた。ある日、少年がいつものように白鳥を観察しに行くと、ひなを狙った動物が背後から白鳥家族に近づこうとしていて、それを少年が阻止することで、白鳥と少年の交流がはじまる。生まれたひなの一羽は声を出すことができなかった。白鳥は鳴いて仲間とコミュニケーションを取り合うため、声が出ないひなのために、音を鳴らしてコミュニケーションできるよう、お父さん白鳥がトランペットを街の楽器店から盗んでくるという突拍子もないアイデアを思いつくのだった。思いもよらない展開になり、物語に引き込まれた。白鳥のお父さんはロマンチストでいつもポエムを語ったりするが、お母さんはしっかり者で現実的。でもいざとなったらお父さん白鳥は、自分の命の危険も顧みない行動に出てしまう。声の出ない白鳥は少年と知り合ったことで、少年の通う学校で文字を覚えて人間と話せるようになり、トランペットも吹けるようになる。そして、夏のキャンプ場で起床や消灯を知らせるラッパ吹きの仕事を得て、お父さんが盗んできたトランペットの代金を返すためにお金を稼ぐのだ。渡り鳥なので、カナダと北米を股に掛けた冒険物語のようでもあり、白鳥がトランペットや、人と話をするために黒板とチョークを首からさげて、その後、また次々と所有物が増えていくのだが、そうして荷物を首にさげてあちこちに飛んで移動していく様子を読んでいたら、なんだか旅行で荷物が多めな自分は、荷物の多い白鳥にひどく共感してしまった。白鳥と言えば身一つで越冬のために遠距離を移動するが、このトランペット他を所有した白鳥の行動は人間味を帯びている。ある時は、有名な高級ホテルのリッツに泊ったり、動物園で興行をして人気を集めたり、バンドのマネージャーにスカウトされてジャズバンドに参加したりと、まるで音楽家かミュージシャンのようだし、それにまつわる苦労も描かれている。白鳥が擬人化されているところは、先の『シャーロットのおくりもの』と同様であり、また、人間の家族にもあるような白鳥一家のエピソードも印象的だった。また、白鳥の実際の習性もよく描かれていて興味深かった。

 

この本の巻末には、作者のファンに宛てて書かれた手紙が掲載されていて、興味深かった。このほかに、『Stuart Little』(『スチュアート・リトル』という映画になっている)もサンプルで冒頭を読んでみたら面白そうだったので、後で読んでみたいと思う。

 

 

 

 

 

映画『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』を観た。

監督:グレッグ・バーランティ、主演はスカーレット・ヨハンソン、チャニング・テイタムほか。

 

予告編

 

 

 

近くのシネコンの字幕上映は1回目が午前9時前、2回目が夕方4時過ぎだったので、早起きして朝映画にいそいそと出かけて行った。猛暑日にエアコンの効いた涼しく快適な映画館のシートに座って映画を観ていたら、朝弱いせいか、冒頭部分にちょっとうたた寝しそうになったが、2時間くらいの長さのこの作品、娯楽要素もあって面白かった。

 

この作品のストーリーとなっているアポロ月面着陸が成功したのは1969年、その有名な映像は小さい頃から幾度となくテレビ番組などで紹介されていたので目にしたことがあるが、そこに至るまでの話はあまり知らなかった。うっすら聞いたことがあった最初のアポロ1号計画の発射直前の火災で乗組員3人が亡くなっていた悲劇なども、この物語のエピソードに含まれていた。

 

そんな月面着陸の試みや、現在も何人もの宇宙飛行士が搭乗しているスペースシャトルなどの宇宙計画も、映画を観て莫大な資金と労力を要するものだと改めて思った。アポロ11号の発射計画に伴う資金不足から、スカーレット・ヨハンソン演じるPRマーケティング担当のケリーはスポンサー集めに奔走し、手腕を発揮して次々と大手自動車会社や腕時計会社との契約を獲得していき、着々と計画の準備が進められていくところが爽快だった。また、アポロ計画における発射指揮責任者のコールを演じるチャニング・テイタムもなかなか良かった。チャニング・テイタムといえば、昨年か一昨年に見た映画『ザ・ロストシティ』で真面目なのにどこか面白い人というイメージがあったが、この作品でもそんな印象があったし、60年代の古めかしい衣装も似合っていた。NASAの施設も古めかしく、施設内にある昔の自販機や飲料など、そちらの方に興味津々になってしまった。また最初から出てくる黒猫も重要なキャラクターの一人?一匹になっていた。

 

そういえば、アポロ11号の乗組員の3人のうち、アームストロングと言う名前は聞いたことあったが、ほかにバズという名前を聞いて、もしかしてトイストーリーに出てくるあの宇宙飛行士人形のキャラクターの起源?と思ってしまった。トイストーリーをちゃんと見たことがないし内容もあまり知らないけれども、バズだけはどこかで印象に残っていたのだ。

 

また、この映画のタイトルを見て、まず最初に有名なジャズのスタンダードナンバーが思い浮かんだけれども、フィギュアスケートのプログラムでわりと頻繁に使用されている曲の印象がある。時代的にこのアポロ計画にインスパイアされてできた曲なのか?と思って検索してみたら、Wikiによると、曲が作られたのは60年代初め頃で、ちょうどアポロ計画が進行していたときだったそう。フランク・シナトラが録音したこの曲のテープはアポロ11号に積み込まれ、人類が月に持って行った最初の曲になったそうだ。

 

それほど宇宙や惑星に関してものすごく興味があるわけではないが、映画の中で観たアポロ発射の映像は、本物の映像かどうかわからないがとても迫力があった。スペースシャトルもそうだけれど、あんな巨大な船体を発射台に載せて宇宙まで飛ばすなんて、どれほどの技術とパワーが必要か考えると、気が遠くなりそうだ。そういえば、80年代末頃に米西海岸に行った時に、NASA関連の展示がある施設に行って、アポロ船体が展示してあり、中を覗いたりした記憶がある。茶色くなったものすごく古い船体(本物?)も展示されていたような・・アルバムに写真があったかもしれない。

また最近ではアルテミス計画という月面探査計画があるようだが、自分はどちらかというとギリシャ神話のアルテミスの方が馴染みがあるので(月の女神はギリシャ神話ではアルテミスと呼ばれ、ローマ神話ではダイアナと呼ばれる)、そんなにアルテミスに不躾に近づいたら彼女の怒りをかって何かの動物に変身させられるか、良くないこと起こるかもよ!と思ってしまう方だ(ギリシャ神話にそういうエピソードがあったので興味のある方は↓)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コロナ前は平均して年1回は渡英していたが、コロナ禍を経て2022年に渡英したものの、それ以降2年に一度は渡英する目標を立てている。そのペースだと、今年は渡英するはずなのだが、まだ予定がたっていない。ロシアのウクライナ侵攻による燃油高騰やロシア上空の飛行ルートが✖になり迂回で飛行距離が延びたことによる航空券の高値、世界的な物価の上昇、最近では円安になどにより、コロナ禍以前よりも旅費が少なくとも5割増しになっているので、以前のようにフットワークを軽く渡英・・というわけにはいかなくなってきている。

 

今年初め、8月末にDivine Comedyが英シェフィールドでの野外音楽コンサートに出演するという告知があり、念のためロケーションなどを調べたら比較的アクセスしやすい場所だったので、航空券をチェックしつつ(3月の時点でBA直行便で28万円~)、会場近くのホテルも比較的リーズナブル価格で、直前までキャンセル無料のブッキングコムで確保していたのだが、その後ちょっと事情があり、先行きが不透明になったので、その計画は頓挫してしまった。7月になった今にしてみれば、その事情もだいたい解決して、8月末に渡英できそうな感じだったが、航空券も購入していなかったし(最近検索したらBA直行便40万円以上とか!)、ホテルもキャンセルしてしまったので、今回はあきらめた。でも、もともとフェスのような野外イベントは、よほどのことがない限り行こうと思わないのだが、たまたまシェフィールドには一度も行ったことがなかったのと、友人が夏に滞在する街に近かったこともあり、観光しながらコンサートを観るのもいいかなと思いついたのだった。航空券でもホテル予約でも早ければ早いほどリーズナブルな価格で購入したり、部屋を予約できるものなので、経験からして、渡英に関しては決断の時期やタイミング次第で費用も変わってくる可能性がある。個人的にはハイシーズン(夏季)は観光客も多いし混雑するので、イベントが盛りだくさんなシーズンだけれども、その時期の渡英は、よほど行きたいイベントがない限り回避してきた。以前7月に旅行したとき、ヒートウェーブで爽やかなイギリスとは程遠く、エアコンのない地下鉄やバスがサウナのようだったし、B&Bも安い最上階の部屋をとったら、夜も気温が下がらず暑くて汗だくで大変だった経験があった。天気はその時次第なので運もあると思うが。本来、10月以降が自分にとって渡英のベストシーズンだと思っている。

 

直行便の費用を安くするため、乗継便を選ぶという手もあるが、BAと提携しているフィンエアーなどの乗継便も直行便より若干安いくらいで、あまり変わらないような?それならば直行便で行ったほうがいいかと思ってしまう(乗継便は、途中飛行機から降りて足を延ばせるから、意外と疲れないと言う人もいるようだが・・)。また、燃油サーチャージがかからないエアラインを選択するという策もあるが(カタールやシンガポール航空など?)、ずっとBAを利用していて値引きに使えるAviosポイントも残っているので、比較的ロイヤルなカスタマーになりがちな自分は、気軽に他の航空会社を試せない性質だ。乗継便も昔カナダに行った時に、旅程で最初にケベック州を回ってからトロントへ周遊するため、往路でどこかで乗り継いだ記憶があるけれども、到着したのが深夜近くで空港に人があまりいなくて、閉店時間のように一部のエリアしか電灯がついてなくて、タクシー乗り場も寂しい場所でちょっと心細かった思い出がある。

 

現在も渡英の機会をうかがっているが、正直なところ、どうしても行きたいと思う、航空券を取る弾みになるイベントがまだないので、今年はこのまま、来年に持ち越しになるかも。10月以降に開催されるちょっと興味のあるコンサートやイベントは複数リストアップしているものの、1回の旅費が国内旅行のそれとは比較にならないため、本当に心底飛行機に乗ってお金かけてまで観に行きたいかどうか?と言われたら・・・Yesとすぐには答えられない状態かもしれない。

自分のUK Visit History(←旅行記録のファイル名(笑))を見ると、前回は20回目の渡英でちょうどエリザベス2世女王時代の終焉に居合わせたので、次回はチャールズ3世国王時代、そしてイギリス政府が労働党のスターマー新首相になって初となる21回目の渡英の日が来るまで、いろいろと策を練ってその時を待ちたいと思う(首相は変わる可能性があるかもしれないけれど、自分の渡英がそんなに遠い将来ではないことを願うばかりだ)。