空が一段と深い青に染まり
クリームみたいなこっくりとした雲が
高く濃く浮かんでいる
質量を帯びたそのシルエットは
今年も胸を締め付けるくらいに
季節の訪れを私に魅せてくれる
この熱と湿度を好む私は
冷たい風を集めた君を
扉一枚隔てて夜を眺める
窓から吹き込む夜風に揺蕩う心
夜更けに淹れた紅茶とともに
ねむれない夜を幾つもまとって
赤い高速の雷雲とともに
夏はその気配をちらつかせる
つま先に触れた砂粒の一粒のように
僅かに感じる昨日とは違う感触
寒色の風がよく似合う昼下り
気化熱に奪われた花の揺れる先には
陽炎がゆらゆらと既視感を覚えて
僕らを夕凪へといざなう
うねる雲流に湿った土の匂い
落ちない花がゆらゆらと揺れている
感電した街は感覚を取り戻すまで幾星霜
気まぐれに奪われた喜びのかけらは
何度だって唇から生まれるから
微笑みながら落ちていく太陽に
再開の言葉を告げよう
また会いましょう
何度だって言うよ
また次の瞬間を迎える
ベルベットの斜陽を君に
そして僕らに永遠の約束を