「おおーっ、奇跡じゃミラクルじゃ。」とチンゲン斎は叫びました。
一同は息を飲んで次の言葉を待ちます。
「我々を包んでいるのが新聞紙ばかりと思っていたが、その間にある白い紙を見てみろ。」
白い紙を取り出して
「ほうれ、これじゃ。秘伝の料理指南書じゃないか。」
「なによそれ、あらそれはレシピって言うのよ。」
「ほんとね。この紙にはいろいろと私たちの美味しい食べ方がていねいに書いてあるわ。」
「ガッテン、その巻物を手渡すことが肝要でゴザル。」
「レシピって言うのよ。」
「しかし、これをどうやってコウジ君のママに渡すかじゃのう。」
「ここはコウちゃんに頼むしかないでゴザル。」
「あの坊主にか。心もとないのう。」
「コカブーバブバブ。」
みんなが話し合いをしていると、気付かないうちにコウちゃんが顔をのぞかせました。
「みんなどうしたの?」
「実はお願いの義がゴザル。」
「コウちゃんのママに、私たちの美味しい食べ方が書いてあるレシピを渡して欲しいの。」
「どうして?」
「このままだと拙者たちは、土から離れてしまっているので、時ともに朽ち果ててしまうのでゴザル。」
「どうか、この紙をママに渡して欲しいの。」
しばらく無言で考え込んでいたコウちゃんはボソッとつぶやきました。
「嫌だ。」
「えーっ、どうして?」
「だって、この紙を渡してしまうと君たちはいなくなるんだろう。せっかく友達になったのに寂しいよ。」
「ほれ見ろ。やっぱりこの坊主は役立たずじゃ。」
「コウちゃん、拙者後生のお願いでゴザル。仲良くなった友達との別れは辛いものでゴザル。
しかし、どのみちこのままでは腐って命がなくなってしまうのは必定でゴザル。
どうせなくなる命。役に立てたいのでゴザル。美味しく食べてもらって、
仲良くなったコウちゃんの血となり肉となれれば本望でゴザル。
どうかこの願い聞き届けてもらいたい。」
つづく


