靴下も履いた方がいいですか?
ドリームの業務においては、月に数件のご依頼があります
いろいろな病院の中に堂々と入り込めるのは、とても興味深いものです
チラチラと横目で、ナース室の中や病室内をチェックして
「看護師多いなぁ~ こんな吸引器使ってるのか~ 建物古っ」 などと
いろいろなことを勝手に思いながら患者さんをお迎えに行きます。
「〇○さんの受診お迎えに参りました!」 と病棟内に適度にひびく声で
ストレッチャーを押していくと、看護師か介護員が病室まで移乗の手伝い
に来てくださる(くださらない所もあるが)
今日は1人の女性介護員がすぐベッドサイドに手伝いに来て下さった。
ベッドからストレッチャーへ移乗し終わると、その女性介護員が
「靴下も履いた方がいいですか?」 と尋ねてきた
そう聞かれたのは初めてだった
こちらから 「靴下はないですか?履物はないですか?」 と尋ねることは
よくあるが、この介護員はごくフツーの感覚を持ち合わせた方だと思った
今日は外の気温が下がり、少し肌寒い。だからストレッチャーに乗った
患者さんも病院の出入りの際は寒く感じるだろう
そういった想像力をもったスタッフに巡り合えて、とても気分が良かった
「そうですね、じゃ履いていきましょう」 と答えると
「はいっ」 と手際よく靴下を履かせてくださった
寝たきりの患者さんに対しても、私たちと同じ感覚で対応できるスタッフは
たくさんいそうで なかなかいない
理想的な「自宅での看取り」
研修のため、2日間勤務を外れていた。
ターミナルの患者さんを受け持つと、訪問しない日は冷や冷やする
特に地元を離れて遠方への出張となると、すぐ飛んで行けないのが気が気でない
それでも携帯電話は常に手元におき、いつでも連絡が受けられるようにしていた
幸い2日間とも連絡が入ることはなく、ホッとして地元に戻ってきた
するとその瞬間携帯が鳴った。Kさん(患者さん)の次女さんからだ
「〇○です。おじいちゃんがなんとなく呼吸が荒い気がするんです。
今日排便もあって・・亡くなる前に便が出ることがあるって言ってましたよね」
「意識は?ありますか?」
「はい、返事もして、おむつも替えさせてくれました」
「わかりました。先日枕をはずしてバスタオルに替えましたがそのままですか?
それで良いです。Kさんが呼吸しやすいように、あとはご本人の楽な体位をとれる
ようにしてあげて下さい。お水を欲したら少しずつあげて下さいね」
終わりが目前に迫っている気がした
自宅に到着し、訪問用の白衣にすぐ着替える
と、また携帯が鳴る
「おじいちゃんの様子が・・・意識がなくなったような ・・ 呼吸はしてますけど・・」
おそらく血圧がかなり下がっているだろう
「すぐに伺いますから」
即座に車に乗り込む
Kさんの家まであと5分のところで、運転中に携帯が再び鳴る
「おじいちゃんが ・ ・ ・ 息が止まったみたいです ・ ・ 」
「わかりました。あと5分程で着きますからね」
ドクターに連絡を取りながら車を飛ばす
家に着くと、玄関前から次女さんが駆け寄ってくる
涙を流して。 Kさんがすっと息をひきとったことを話してくださる。
彼女に頷いてから、玄関を入る
Kさんを囲んでご家族が揃っている。20人近くか?大勢だ
その中で Kさんは安らかな表情で眠っているようだ
ご家族に注目される中、Kさんのベッドサイドへ行き、
聴診し、心臓が止まっていることを確認する
ペンライトを右眼、左眼、と当てて、対光反射がないことを確認する
「やっぱり止まってる?まだ動いてた?」
首を横に振ると 「そうだよね。万が一と思って訊いてみた」 と次女さんが微笑む
亡くなる前のこの数日間の様子をいろいろと話してくれた
「最後までオムツを替えるのは抵抗してたけれど、今日だけは素直にさせて
くれたんだよね~ それで「ありがとう」って言ってくれたし
おもしろかったよね~ 夜中にコソコソお酒飲んだり たばこ吸ったり、
もう参ったよ 家が大好きだったんだよね 最期まで家にいられて良かったよ」
「本当ですよね。よくご家族もガンバって看ました。よくやりました」
心から敬服した。初めは不安でいっぱいだったご家族が、Kさんを想って
同じ方向を向き、協力して看取りまでやり遂げてしまった
『もう悔いはない』 ご家族の表情がそれを物語っていた
ドクターが到着するまで、ご家族と一緒にKさんのお身体を拭き着替えをした
ほのぼのとした雰囲気の中、唇に薄く紅をさしたり、髪を整えたりと、たくさんいる
お孫さん達にも出番をつくりながら 最期のエンゼルケア(死後の処置)を行った
理想的な在宅ホスピスの形を体験させていただいた
注)写真は河野實さんの記事から引用です


















