ガチャ…
鍵の開く音と同時に、八頭の巨大ドーベルマンは一斉に此方に注目した。
(大丈夫。。大丈夫。。)
脂汗をかきながらもトンケは自分に言い聞かせ、そっとドアを開けた。
幸い襲っては来ない。
トンケは檻の中へ入ると、リールを取り出した。
『ヨーシヨシヨシヨシ…こ、こっちおいで…』
すぐに一匹が近付いてきてリールを取りつけることが出来た。
すると次々と順番にやって来て意外と簡単にリールを取り付け終った。
『な~んだ。意外と簡単だったな~。みんな散歩を楽しみにしてたんだな。』
トンケは安心して八頭を散歩に連れ出した。
八頭は行儀良く、キレイに並びトンケと一緒に歩いていた。
すっかり安心し気を許していたトンケは調子に乗って
『よ~ぅし!少し走るぞぉ~!』
と言い小走りを始めた。
それに続きドーベルマンたちも小走りになった。
『イイゾ。イイゾ~』
走るスピードを少し早くした。
ゴ~~~ン。ゴ~~~ン。
何処からか朝5時の寺の鐘がなり始めた。
その瞬間!!!
ワオーンワオーンワオーンワオーン
ギャオギャオ
ギャンギャンギャンギャン ワオーンワオー
いきなり八頭が八頭とも興奮し吼え始め、猛スピードで走り始めたのである。
「うわー!」
トンケは引っ張る力に敵わず、思わず手を離してしまった。
八頭はそのまま四方八方に散り散りになり、分からなくなってしまった。
(大変だ!鬼夜子さんに何て言われるか…どうしよう…)
トンケはトボトボと屋敷へと戻っていた。
門の前に黒い影。
時、既に遅し。
鬼夜子は何と屋敷の屋根の上から散歩の一部始終を見ていたのだ。
「あ、あ、あ、あの、、ごめ「じゃかましい!!馬鹿かキサマ!!だから4時ってゆっただろうが!!」
びったーん!!
ビンタをまともにくらったトンケは気を失ってしまった。
鬼夜子はそんなトンケを無視し、小屋から馬を出し、それにまたがった。
「ハイヤー!!!」
そして手綱をしばきながら、早朝の住宅街へと消えていった。