『は!』

目の前に広がる光景に、トンケは息を飲んだ。


ガルルルルル…
むしゃむしゃむしゃ
ガルル…ガルルルルル…

大きな檻のなかに、鶏を食いちぎりながら奪い合っている、八頭のドーベルマンがいたのだ。


『絶対!無理です!』

トンケは走って屋敷に戻った。


『鬼夜子さん!無理です。あんなの殺されますよ!』



葉巻を吸いながら釜戸に薪を投げ込んでいた鬼夜子にトンケは息を切らしながら訴えた。


すっぱーー。

鬼夜子は葉巻の煙をゆっくり吐き出しながら振り向くと


ジュー!!


『ギャァァア!!あぢぢぢぢ!』


葉巻の先をトンケの額に押し付けた。


『散歩が終わったら廊下掃除。』


鬼夜子はそれだけ言い、また釜戸に薪をくべ始めた。

鬼夜子の言うことは絶対なのだ。


トンケは脅えながらも裏庭に向かった。

ガルルルルル…
ガルルルルル…

(餌を食べたばかりだから噛みついたりはしないだろう。大丈夫。)

檻の前に立ち、トンケはそう自分に言い聞かせた。

そして鍵をゆっくりあけた。