次の日から鬼夜子とトンケの生活が始まった。

次の日、午前4時。

グッスリ寝ていたトンケに激しい痛みと衝撃が襲った。

一気に目が醒めたトンケの目に、大きく手を振りかざして鬼のような形相をしている鬼夜子が映った。


そしてまた次の瞬間、トンケの頬は鬼夜子の大きな手でビンタを受けていた。


『いつまでトロトロ寝とるんかぁぁあ!!早く起きろ!!!』
そしてもう一度手を振りかざした。

『起きます!起きます起きます!!』

トンケは急いで布団から這い出て立ち上がった。


『朝4時は犬の散歩!早く行け。屋敷の裏に犬はおる。』


そう言って鬼夜子はトンケに鍵とリールの束を渡した。


(え?鍵?犬って犬小屋にいるんじゃないの?リールも何でこんなにたくさん?)

疑問を抱きながらも何も聞くことが出来ず、トンケは裏庭に向かった。


そこでトンケは恐ろしい光景を目にした。
今年6月、トンケは結婚した。

ちょうどその1ヶ月前の5月。

川土手で眼鏡を落とし、探しているときに足を滑らせ川に転落。

溺れていたトンケに縄を投げ、助けたのが嫁・鬼夜子との出会いである。

その時、鬼夜子は意識を失ったトンケを肩に担ぎ屋敷に連れ帰った。

焚き火の側で目を醒ましたトンケは、危機一髪の所を救ってくれた鬼夜子に涙を流して礼を言い、その足で市役所から婚姻届けを調達し求婚した。

そこであっさり鬼夜子は了承し、入籍に至ったのだ。



これまでの人生、社会から隠れるように生きてきたトンケは威風堂々とした鬼夜子に憧れを抱きこれからの結婚生活に希望と光を感じ胸をおどらせていた。


これが、凄まじい弟子入り生活の始まりとも知らずに。