【写真1】入賞者の6名(左より第6位杉田文さん、第3位山口莉奈さん、第1位茂木拓真さん、第2位坂本和奏さん、第5位松島淳さん)
【写真2】入賞者・審査員・スタッフ、表彰式後の記念撮影
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皆さんこんばんは。
昨日5/5(土)13時より東京中央区・日本橋公会堂(通称:日本橋劇場)で開催された第49回クラシカルギターコンクールを観戦してきましたのでレポします。
当日、会場からFacebookで結果速報をお届けしましたが、内容を整理し写真を追加してまとめレポートととして再掲載します。先ずは、本選結果から。
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【第49回クラシカルギターコンクール結果】(敬称略)
第1位 茂木拓真(神奈川)自由曲:ソナタ(ブローウェル)
第2位 坂本和奏(北海道)自由曲:ゴヤの24のカプリチョスより12(テデスコ)、夕べのハーモニー(メルツ)
第3位 山口莉奈(兵庫)自由曲:ソナタ「ボッケリーニ讃」より1、2、4(テデスコ)
第4位 佐々木巌(神奈川)自由曲:ソルの主題による変奏曲(リョベート)、ハンガリー幻想曲(メルツ)
第5位 松島淳(京都)自由曲:ソナタ・ジョコーサ(ロドリーゴ)、練習曲第1番(レゴンディ)
第6位 杉田文(東京)自由曲:ソナタ「ボッケリーニ讃」より1、2、4(テデスコ)
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2次予選の課題曲はダウランドのファンタジアP.1。そして本選の課題曲はコストのリゾンの泉。他に12~17分の自由曲。
この日の2次予選には1次テープ審査を突破した26名が選出されていたが、当日5名の欠席者が出て実際には21名で競われた。
このコンクールについては、改めて説明の必要も無いほど歴史と伝統のあるコンクールであり、国内最高峰の東京国際ギターコンクールに次ぐハイレベルなコンクールの一つである。スペインギター音楽コンクールと並んでプロギタリストへの登竜門的な位置づけのコンクールである。
今回の審査員は、小笠原宣夫、毛塚功一、足立恵美子、井上仁一郎、菊池道介、志田英利子、高久敏春、橋爪晋平、前田司、宮下祥子、壺井一歩(以上敬称略)の11名。壺井氏は本選のみのゲスト審査員。
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2次予選の審査結果については、私が個人的に評価していたものとほとんど全く同じ結果でしたので、審査結果については私は納得がいきました。
ちなみに私が2次予選を全員聴いた結果の評価は、評価の高い順に書くと下記の通りでした。評価はS、A+、A、A-、B+、B、B-、C+、C、C-の10段階評価。Sは間違いなく本選に行けると評価した人。A-以上は本選に行ける可能性があると評価した人。
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【私が評価した2次予選結果】
1位 茂木拓真(S)
2位 松島淳(S)
3位 佐々木巌(S)
4位 山口莉奈(A+)
5位 杉田文(A+)
6位 坂本和奏(A)
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惜しくも本選には行けなかったが、2次予選の演奏で私の評価が高かったのは下記の方々。
宇田奈津美(A)、二上育也(A)、木村崇雅(A)、奥垣内健(A-)、北代岳大(A-)。
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また藤原盛企さんは途中までS評価でしたが、終盤に痛恨の弾き直しで最終的にB評価となってしまいましたが、実力的には上位通過で本選に行ける可能性があったと感じました。やり直しがきかない一発勝負のコンクールの怖さを感じた瞬間でした。私も気を付けないと(笑)。
予選名簿にあった木村眞一郎さんは、開演前のアナウンスで棄権と発表されましたが、もし出場していれば優勝争いに絡んで来たと思われますので、棄権されたのは残念でした。
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今年の出場者の全体的なレベルは、昨年に比べて高いと感じました。
本選に進出した6名の演奏者について簡単に私の感じたことを書いておきます。あくまで私の個人的な感想ですが各出演者に対する私のアドバイス(愛情)と受け取って頂ければ幸いです。
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第1位 茂木拓真(神奈川)自由曲:ソナタ(ブローウェル)
技巧、音楽性共に高いものを持っていて優勝に相応しい演奏であった。タッチも良くギター本来の柔らかく美しい音を持っていることも魅力。音量も申し分なし。本選では緊張の為かポカミスが散見され最後の決めるところも少し外してしまったのは惜しかったが、ミスを感じさせない全体的には素晴らしい演奏でした。ミスを減らして安定感を高めれば更に良くなると思います。2次予選でも私はトップ評価していましたので、納得の優勝でした。今回の2次予選の課題曲は3弦が特殊調弦の曲だったようで、ほとんどの方が調弦に苦労して和音が不安定になっている中で、茂木さんは調弦も安定していました。茂木さんは今回のクラシカルギターコンクール優勝で、スペインギター音楽コンクールと合わせ日本を代表する2大コンクールを制覇した数少ないギタリストとなった。今後は東京国際ギターコンクールや海外の国際コンクールなど更に上を目指して欲しいものです。洗足学園音楽大学クラシックギターコース在籍中との事。
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第2位 坂本和奏(北海道)自由曲:ゴヤの24のカプリチョスより12(テデスコ)、夕べのハーモニー(メルツ)
坂本さんの演奏を一言でいうと、女性らしからぬダイナミックな演奏をする方です。まだ高校2年生との事ですが、自分なりの音楽表現を持っていると感じました。音色も良く、低音と高音のバランスも良く、音楽の基本をしっかりと学んでいる事を感じる素晴らしい演奏でした。坂本さんは2015年の第1回オールジャパンギターコンクールの優勝者で、私も会場で聴いてレポートも書いていました。また昨年のGLC学生ギターコンクールの優勝者で全体の最優秀賞であるGLC賞も受賞している実力者です。昨年のクラシカルで尾崎さんが優勝したあたりから私が感じていた、現在の中学3年から高校2年までの世代は近年まれに見るハイレベルな奏者がそろっていて、私は個人的に「黄金世代」と呼んでいます。今思えば坂本さんはまさにその黄金世代に含まれる方ですね。このまま順調に成長して欲しい逸材です。
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第3位 山口莉奈(兵庫)自由曲:ソナタ「ボッケリーニ讃」より1、2、4(テデスコ)
山口さんは昨年に続いて2度目の3位入賞です。毎回本選の上位入賞するという事からも安定感のある演奏という事が伺えます。この日の演奏は、音色がクリアーで歯切れが良く、音量もあり会場いっぱいにギターを響かせていました。ご自分の音楽世界をしっかりと持っている演奏で、このように弾きたいという意思が明確に伝わってきました。自信溢れるステージ態度と相まってギターの枠にとらわれないようなスケールの大きな演奏をする方です。テクニックも十分に持っていますので今後色々なコンクールで活躍する事が期待できます。
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第4位 佐々木巌(神奈川)自由曲:ソルの主題による変奏曲(リョベート)、ハンガリー幻想曲(メルツ)
今回の出場者の中でも1~2位を争う高い技巧の持ち主。この日も技巧を前面に打ち出した2曲を自由曲で弾いて、その実力を十分に発揮していた。ただ、音色が全体的に硬く、音楽表現が少し単調になってしまったのは惜しかった。特に曲が終わる時の表現が淡白で、曲が終わる雰囲気感が乏しく、いつの間にか終わってしまった、と言う感じになってしまっており、せっかくの技巧を生かして盛り上げた曲の良さを生かし切っていない感じがしたのはもったいなかった。今回自由曲で弾いたような派手な曲は、最後はリタルダンドをたっぷりとかけ、大向こうを唸らせるドヤ顔で終わるくらいでちょうど良いと思う。ギター本来の柔らかく美しい音色の追及や、表現力の多彩を追及すると一気に才能が開花すると思われる。ギターを弾きこなすという基本能力が高いので、今後の更なる成長に期待したい。
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第5位 松島淳(京都)自由曲:ソナタ・ジョコーサ(ロドリーゴ)、練習曲第1番(レゴンディ)
柔らかく美しい音で、低音から高音までバランス良くギターを鳴らし、音楽表現の幅も広くダイナミックな演奏は好感が持てた。第3位の山口さんの演奏でも感じた事だが、関西方面の方々は総じて良い意味で自己主張の強い演奏をする方が多いと感じました。このような個性は音楽の表現力の幅を広げる意味では必要な事だと思います。今後は丁寧さや確実性を高め安定感のある演奏を心がけると、更に上位に行けると思います。今後に期待できる演奏者です。
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第6位 杉田文(東京)自由曲:ソナタ「ボッケリーニ讃」より1、2、4(テデスコ)
ミスが少なく技巧が安定しており音楽表現も端正でそつなくまとめており、くせの少ない演奏は好感が持てました。ただ、癖や破綻は少ないスマートな演奏ではあるが、全体的にこじんまりと小さくまとまってしまった感じがあり、音量が小さく音色や音楽表現の幅も少なかったので、上記のように個性や押し出しの強い方々の中では存在感を発揮する事は難しいと感じました。特に低音の迫力を出す事と、表現の幅を広げる事に研究の余地があると思います。個性が強く表現力の高い演奏をする山口さんと自由曲が重複した事に加え、演奏順も山口さんの直前だったこともありコンクールとしては不利に作用したものと思われます。ギターを演奏する基本能力は高く安定しているので、表現の幅を広げる工夫をする事などで上位争いに絡める演奏者になると思います。今後の頑張りに期待したいと思います。
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昨年の観戦記にも書きましたが、このコンクールは基本的に若手を発掘する目的も大きいかと思いますが、年配者の愛好家もそれなりの熱意をもって挑戦しているので、今後も温かい目で見て欲しいと思います。
ちなみにライバル?であるスペインギター音楽コンクールは、昨年から年配の挑戦者に対し特別賞を授与しており、45歳以上で本選に進出できなかった出場者の中から良い演奏をした男女各1名を表彰しています。是非このクラシカルでも同様の賞の創設を期待したいと思います。きっと年配の方々のモチベーションアップになり、挑戦者が増えると思います。またプログラムには出場者の出身地を記載して欲しいと思いした。関係者の方々は今後考慮して頂ければ幸いです。
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2次予選の審査の合間に、昨年の優勝者、尾崎琴音さんの記念演奏があったが、見事な演奏で聴衆を魅了していました。非常に質の高い高度な演奏でしたが、音量、特に低音の迫力をもう少し出すと一段とレベルアップすると思いました。尾崎さんは現在中学3年生で、大谷恵梨香さん(中3)、川崎薫さん(中3)、柴田諒さん(中3)、横村福音さん(高1)、森田晴さん(高1)、赤井香琳さん(高1)、原田斗生さん(高2)、大蔵奏太朗さん(高2)などと並んで、私が勝手に命名した「黄金世代」の中心的な存在です。皆さんこのまま順調に成長して欲しい逸材がひしめき合っている、10年に一度あるかないかの黄金世代です。因みに私が思う前回の黄金世代は、現在25~26歳の藤元高輝さんや岡本拓也さん、飯野なみさん等がいた世代だと感じています。
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参考までに来年2019年第50回クラシカルギターコンクールの課題曲は下記の通りです。何れも版の指定はありません。
1次予選(テープ審査):ワルツOp.32-2(ソル)※リピート無し
2次予選:タレガ讃歌(ガロティンとソレアレス)(トゥリーナ)
本選:リュート組曲第2番BWV997よりフーガ(バッハ)※他に12分~17分の自由曲を演奏。
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このクラシカルギターコンクールも約半世紀の長い歴史があり、数多くの第一線で活躍するギタリストを輩出しておりますが、来年は区切りの50回目の記念の大会です。
出場者の皆さん、審査員の先生方、スタッフや観客の皆様、お疲れさまでした。
以上。
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【写真3】表彰式での入賞者の6名
【写真4】表彰式の様子
【写真5】優勝した茂木拓真さん
【写真6】第2位の坂本和奏さん
【写真7】第3位の山口莉奈さん
【写真8】第4位の佐々木巌さん
【写真9】第5位の松島淳さん
【写真10】審査員の先生方
【写真11】茂木拓真さんの優勝スピーチ
【写真12】審査講評
【写真13】優勝した茂木さん(左)、第6位杉田さん(中)と私
【写真14】第2位の坂本和奏さんと私
【写真15】第3位の山口莉奈さんと私
【写真16】第4位の佐々木巌さん(中)、佐々木さんの父親のみことさん(右)と私
【写真17】第5位の松島淳さん(左)と私
松島さんは京都出身の大学生ですが、松島さんによると私とツーショット記念写真を撮ると出世して活躍できるようになるとの噂が関西地方であるとの事。初めて聴きましたが、、、ほんまかいな(笑)。でも嬉しいお話です。松島さんも是非出世して欲しいものです(笑)。
【写真18】前年度優勝者の尾崎琴音さんと私
【写真19】大阪から参戦した宇田奈津美さんと私
【写真20】惜しくも予選突破ならなかった日大芸術学部の渡邊華さんと私
【写真21】2次予選会の演奏順序掲示板
【写真22】本選会の演奏順序掲示板
【写真23】来年2019年第50回クラシカルギターコンクールの課題曲
【写真24】会場の日本橋公会堂外観
【写真25】会場の日本橋公会堂の正面玄関
























