《ジャンパー膝とは?》

膝蓋骨周囲に発生する“enthesopathy(付着部障害)”であり、スポーツ障害ではもっとも多く遭遇する疾患のひとつです。ジャンパー膝は膝蓋腱炎とも呼ばれ、ジャンプや着地、ダッシュやストップなど、スポーツ活動中に急激な動作を繰り返す事によって、膝蓋骨腱の実質部や膝蓋腱の膝蓋骨付着部に生じるover use障害1つであります。enthesopathyの病態は、炎症ではなく微小断裂であるといわれています。膝蓋腱炎のなかでも、膝蓋骨腱の膝蓋骨付着部深層でやや内側に病巣のあるタイプは難治性で、微小断裂後の変性であることが明らかになっています。膝蓋下脂肪体炎は、膝蓋腱深層と表裏をなしており、膝蓋骨腱炎に合併している事が多いです。



Blazinaらによると大腿四頭筋腱の膝蓋骨付着部、膝蓋腱の膝蓋骨付着部、膝蓋腱の脛骨粗面付着部の3タイプに分類されます。そのうちの膝蓋腱の膝蓋骨付着部の痛みが65%占めると言われています。

しかし、ジャンパー膝は定義が曖昧で、「膝蓋腱炎」や「膝蓋下脂肪体炎」も広義のジャンパーズ膝だと考えられています。「膝蓋腱炎」はよく知られた疾患名ですが、膝蓋下脂肪体炎という疾患・概念はまだ広く知られていません。つまり、「ジャンパー膝」という用語の定義が定まっていないのが現状であります。さらに膝前面の痛みとして、Anterior knee painという表現が用いられることもしばしばあります。

《発生頻度》

一般学生(13.8%)と比較しエリートレベルのバレーボール(40~50%)やバスケットボール選手(35~45%)など、ジャンプ動作を繰り返すスポーツ選手に好発すると理解されています。その他にもサッカーやラグビーなど多くのスポーツで発生します。特にバレーボール選手では発生頻度が高くFerrttiの報告では、407名中93(22.9%)に発生し男女差はないとのことです。

《症状》

 緩徐に進行することが多く、慢性的に経過するため、治療に難渋しスポーツへの復帰に長時間を要することが多いのが現状です。全力で走れないなどのパフォーマンス低下を訴える事が多いです。

典型的な症状はジャンプや着地動作、長時間走行した際などに生じる膝蓋腱部の疼痛であります。そのため、思い切って跳べない、深屈曲ができないなど発生時期は不明瞭で「徐々に痛くなってきた」と訴えることが多いです。初期はスポーツ活動の疼痛ですが、増悪するとスポーツパフォーマンスが低下し、日常生活においても歩行や階段昇降が困難になります。

臨床症状の程度によって、

 Phase1:運動後に疼痛が出現するレベル

 Phase2:運動中にも疼痛が認められるレベル

 Phase3:運動パフォーマンスに影響を及ぼすほどの疼痛があるレベル

3つのレベルに分類されます。

《ジャンパー膝の分類》

 上記で述べたBlazinaの分類や圧痛を用いて分類します。圧痛は、一般的に疼痛部位を限局するために用いられ、圧痛がある部位には、圧刺激に対する炎症や拘縮などが存在すると考えられます。特に圧痛は膝蓋腱の膝蓋骨付着部が最も多いです。

この膝蓋腱の膝蓋骨付着部をさらに

膝蓋腱表層(滑液包)

膝蓋下脂肪体

膝蓋腱深層

に部類します。



膝蓋腱表層(滑液包)

この部位には滑液包が存在します。腱表層が損傷していたり、滑液包が炎症していれば、膝屈曲位膝蓋腱は緊張し、圧痛が明確になります。大腿直筋短縮テストをすれば、膝蓋腱が緊張し、痛みのために踵が臀部に触れません。このような例に大腿直筋のストレッチングを実施した場合、痛いだけで症状を増悪させてしまう可能性があります



膝蓋下脂肪体

非常に高頻度に見られるタイプです。膝屈曲位で圧痛を調べても痛みはなく、膝伸展位で圧痛があります。健側と比較すると、わずかに膝伸展位可動域が低下して、強制伸展テスト(他動的に伸展)をすれば、鋭い痛みを訴えます。膝蓋下脂肪体は、膝屈曲位では顆間に位置していますが、膝が伸展すると、膝蓋腱下に前方に移動していきます。脛骨が外旋アライメントやハムストリングスや腓腹筋の短縮によって伸展可動域が低下し、膝蓋下脂肪体が十分に前方指導できないため拘縮していきます。病態は、膝蓋下脂肪体の繊維化・炎症・増殖によって、膝屈伸に伴う移動がスムーズに行えなくなっている状態です。



膝蓋腱深層

このタイプは治療に難渋することが多いと言われています。膝伸展位において圧痛が増強、膝屈曲位で減弱・消失し、膝伸展位において膝蓋骨を上端より遠位方向へ押し下極を突出さて、えぐるように押すと明確な圧痛を認めます。バレーボールでは、右利きの選手には右膝に多く発生します。スパイクのジャンプにおいて、右利きの選手がレフト側よりスパイクを打つときは、大きな歩幅で右脚を踏み込み、左足をそろえて両脚でジャンプし、ジャンプの着地は左脚から着地することが多いです。右膝に多いということは、ジャンプの着地でなく、踏み込みが関係していることになります。スクワットすると膝屈曲60~80°程度で痛みがありますが、90°を超えて屈曲すると痛みが認められません。大腿直筋の柔軟性はあまり認めらないことが多いです









あまり知られてはいませんが、バスケットやバレーボールなどジャンプすることの多い競技の膝の痛みはジャンパー膝かもしれません。

次回はジャンパー膝のチェックポイントをご紹介させて頂きます!

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テニス肘を予防するためのストレッチ&トレーニング方法を紹介させて頂きます!


チェックポイントで問題のあったものを特に重点的に行うとより効果的です。


以前までの記事はご覧になってから御読み頂くと、より理解しやすい内容となっています

基礎知識①
http://ameblo.jp/csc-lab2015/entry-12162243998.html
基礎知識②
http://ameblo.jp/csc-lab2015/entry-12162255071.html
チェックポイント
http://ameblo.jp/csc-lab2015/entry-12162694175.html





◆手首の柔軟性が低下している方は特に行いましょう

前腕のストレッチ

30秒×4回




◆手首の柔軟性が低下している方は特に行いましょう

前腕筋の筋力強化 

20回×3セット

*重りを持つことで徐々に負荷量を上げましょう




◆手首の柔軟性が低下している方は特に行いましょう

前腕筋の筋力強化

20回×3セット



◆股関節の柔軟性が低下している方は特に行いましょう

股関節内旋のストレッチ

30秒×4セット




◆体幹の柔軟性が低下している方は特に行いましょう

胸~腰のストレッチ

30秒×4セット




◆肩甲骨の筋力が低下している方は特に行いましょう

肩甲骨の筋力強化

20回×3セット

*徐々に手に重りを持ち、負荷量を上げていく




◆片脚立ちが上手く保持できない方は特に行いましょう

股関節筋力(片脚立ち)の強化

20回×3セット




◆片脚立ちが上手く保持できない方は特に行いましょう

股関節から体幹の筋力(片脚立ち)強化

20秒×3セット

*①→②の順で負荷量が上がる




◆片脚立ちが上手く保持できない方は特に行いましょう

片脚立ちのバランス強化

20秒×3セット

*徐々に右の運動へ負荷量を上げていく


以上でテニス肘に対するご紹介を終了とさせて頂きます

普段からのケアを怠らずに行う事でテニス肘は予防できるものです

何かご不明な点に関してはこちらにご連絡下さい

⇓  ⇓  ⇓

csc.lab2015@gmail.com

以前までの記事はこちらからご覧下さい

基礎知識①
http://ameblo.jp/csc-lab2015/entry-12162243998.html
基礎知識②
http://ameblo.jp/csc-lab2015/entry-12162255071.html


◆テニス肘になりやすい人の特徴

 原因でご紹介したようにいくつかの身体的機能の低下によってフォームが乱れ、短橈側手根伸筋を筆頭に前腕伸筋群のoveruse(使いすぎ)が起こり、テニス肘となります。


身体的機能の低下部位としては、

①手関節の可動域

②体幹―股関節の回旋可動域

③股関節周囲筋

④肩甲帯―体幹筋力

⑤前腕―手関節筋力

が挙げられます


その他にも、ラケットは本来薬指と小指に力を入れて人差し指と中指はリラックスして握ります。しかし、初心者の場合人差し指と中指に力を入れてしまい、短橈側手根伸筋を主体とする筋の緊張が高まってしまう握りでoveruseを招いている場合もあります。


◆チェックポイント


手首の柔軟性①


手首の柔軟性②


股関節の柔軟性


体幹の柔軟性


肩甲骨の筋力




下半身の筋力


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