「ポリティカル・コレクトネス」って聞いたことありますか?
ざっくりいうと「差別とか偏見を助長するような表現をなくしましょうね」という意味なんですが、ネットユーザーの9割くらいはそもそも何の略称なのかも知らずに、なんとかの一つ覚えみたいに「ポリコレ」と連発してるワードの一つです。
最近だとエンタメ界でもこの流れ出てきてるよね…賛否両論あるので、私の意見はここでは控えさせて頂きますがとかく炎上しやすいことであるのは確かで、特にディズニーは何かと叩かれがち。
でも、気づいてる人は気づいてると思うけど…実はサンリオも近年は多様性を結構主張してるんですよ。
特にピューロランドのショーやパレードでは過去に限定上演されていたものも含めると、結構「多様性」や「相互尊重」の大切さを訴える内容の物が多いのですが、ディズニー作品や他の作品に比べて炎上したり賛否両論を巻き起こさない印象があります。
理由はいくつかありそうですが、そもそもサンリオは創業の時から「みんななかよく」を理念に掲げています…そしてそこに所属するキャラクターは現在約450以上とも言われています(キャラクター大賞にエントリーしてるのはほんの一部にすぎない)。
このキャラクター達、公式サイトを見ていただければわかりますが生まれた年代もデザインや雰囲気も見事にみんなバラバラ。
人に限らず、動物、食べ物、無機物、想像上の生き物、天体…など種族も様々。
公式設定で性別を割り振られていることが多いのですが、古いキャラだとキティさんの古くからの友人
タイニーチャムは
「男のコだけどキティの真似をしてリボンを付けている」という一瞬「えっ!?」と思われてもおかしくないようなことがシレッと書かれている…ちなみにタイニーチャム、ピューロランドではいつもワンピースを着用して登場する。
そして、言わずと知れた…私の推しでもあるシナモロールも、公式設定も性自認も「男のコ」だし一人称も「ボク」だったりするんですが…よく頭にリボンを付けられがちです、時には耳をリボンで束ねてみたり(あれ、痛くないのかな?)。
極めつけはシナモンという存在を認知している程度で知ってる人に
「シナモンって公式設定、男なんだよ」
って蘊蓄?を披露するとものすごい驚かれる。
でも、大抵「そうなんだ~」という反応で終わる。
去年行われたシナモン20周年限定ショーでも「みんなが自由に自分らしく」と言っているあたり、シナモン本人も性別はあまり意識することなく「自分に正直に、自分らしく」を大事にしてるところや別にシナモンが男か女かってのはガチファンもあまり気にしてないのでそこまで好きじゃない人にはもっとどうでも良いことなのかもしれない。
もっと古いキャラだと
パティ&ジミー
に至っては「それまでの男女に対するステレオタイプを払拭するためにそれぞれの性格を充てた」という誕生秘話が存在するようで…ちなみにこれ、1970年代の頃の話。
ジェンダーバイアスとかポリティカル・コレクトネスという言葉が生まれる前から特にそういう事を意識せずとも自由で多様な設定を持つキャラが存在していたわけです。
それに加えて、キャラデザインも一切の統一感は皆無なものの、それぞれのキャラがある程度主張しているので一同に会した、いわゆる「集合絵」になっても、何の違和感も感じさせないのだ。
ひとつひとつは確かにバラバラなんですが、それでも全体的にはまとまっている…という不思議な現象が起こる。
話をピューロのショーに戻すと、今も上演されている演目の中で「自分達は個性を宝物として大切にしている」「時にはケンカしちゃうこともあるけど…みんな同じじゃつまんない」というセリフが出てくるのですが、これはある種の相互尊重であると私は思う。
意識してみると「みんなの事を認めて尊重するのは大事…でも、自分らしさを大事にするのも同じくらいに大事」
という主張が結構多いんですが、それを必要以上に前面に押し出したりあからさまな表現をしていないところが「ポリコレ」と叩かれにくい理由なのかな?と思います。
一方、アメリカ辺りの作品…特にディズニー界隈は映画館で上映される長編作品だろうが配信限定作品だろうが何かしら新作発表すると二言目には「ポリコレ」だと叩かれがち。
具体例をあげるとキリが無いので割愛するけど、世界的に炎上したのは今年の夏前に公開された「実写版 リトルマーメイド」は数年前にキャストが発表された時点で世界中からボロクソに叩かれた。
実際に上映されたら主演女優の歌唱力が評価されて、製作発表当初に比べたらそこまで叩かれなくはなったけど…日本ではネットの世界にしか居場所が無い、いわゆるキモヲタとか言われてるような人達はまだ必死に叩いてる模様。
あと、これは日本ではあまり話題にならなかったけど…フランスのディズニーランド・パリの周年に合わせて発表された「パンツスーツ姿のミニーマウス」も海外では炎上した。
一方、キティさんは衣装のバリエーションも多くパンツ姿もよくお披露目している。
実は過去にコラボ企画でまさかの「全裸」を披露したこともあるけど…
炎上どころか、好意的な反応が多い。
冒頭で書いたシナモロールの女装(?)とか、タイニーチャムも当たり前のように受け入れられている。
そもそも、何故サンリオと似たような事をやっているのにディズニーは叩かれるのか?
それは、ディズニーがバリバリの差別主義&強烈なジェンダーバイアスを余すことなく主張していたにも関わらず、ある日突然手のひらを返したように多様性だの言い出したから。
ディズニーの差別描写は主に人種差別が多いのだけど、実はYouTubeには「忘れがちなディズニー映画の人種差別シーンランキング」という動画がアップされてる。
当然ながら、日本人も差別の対象に含まれています…ぶっちゃけ、白人以外はみんな差別対象です。
映画作品「南部の唄」はあまりにもえげつない人種差別描写が問題視され、作品そのものが永久にお蔵入りされた話は結構有名…アメリカの方はこの作品をモチーフにしたアトラクションが別の作品に大改装される事が決定、日本のやつも大幅改変されるのでは?と噂されているらしい(舞浜は久しく行ってないのであくまでも聞いた話)。
ジェンダーバイアスについては…セル画時代のいわゆる「プリンセス(特に日本でグッズ化されてる作品)」が出てくる作品が顕著で
・女の子や女性は一人では何も出来ない(だいたい動物の相棒がいる)、男が来るのを待ってるだけ
・結婚することが何よりも最良の幸せ
・常に女性らしくあれ
という無言の圧力が強い…そして、これに感化されちゃう女性が多いことも恐怖を覚える。
私は年代的に子供の頃はディズニー作品はほとんど触れずに育ってきた&性格的に「プリンセス」に憧れを抱くようなタイプではないので、仮に子供がいて「プリンセスになりたぁい♡」とか言われたら…きっと身の毛がよだつくらいに受け入れられないだろう。
そして、子供に対してフェミニズムの重要性について教育するだろう。
ジェンダーバイアスについてはある日突然手のひら返しというよりは少しずつ変わって来た気がする…CG作品のラプンツェルあたりから「自分で考え、行動する」という今までとは違うタイプのプリンセスが登場した。
ラプンツェルはまだ最終的に結婚して終わりだったが、その後公開されたアナと雪の女王はディズニー史上初の「最後に結婚しないプリンセス」になった(厳密にはプリンセス作品じゃないらしいけど)。
個人的にはこれくらいまでは「ちょっと良い流れじゃないの?」なんて思っていた時期もありましたが…なぜかディズニー界隈って世界中に考え方が古臭い保守的なのが多いみたいで、一部の大きなお友達は「最後に王子様と結ばれて終わる作品が観たい」とか「異性愛以外持ち込むな」とか世界の流れとは逆行する意見が目立つ。
個人的にはこういう化石のような思想も理解し難いのだけれど、確かに人種差別にしろジェンダーバイアスにしろあからさまな配慮がねじこまれ「私たち、ちゃんと配慮してまぁす~!!」みたいな表現が目立つようになってきた気がする。
確かに差別はダメだけど、あからさまに「配慮してます」みたいのも違和感しか無いんだよね…だから余計反感買うわけで。
他の海外アニメ界隈よくわからないけど、機関車トーマスも版権だったか制作会社が変わっただかで登場キャラクターの男女比調整のためだけに今までいた主要キャラがリストラされたり、近年は何の脈略もなくいきなり自閉症のキャラがねじ込まれたりと…私が知ってる森本レオがナレーションをやっていた人形アニメとは全くの別物になってしまったとか?
ん~なんでこういう事するかね?男女比調整したいなら「メンバー追加」とかで良かった気がするんだけど。
つまり、ディズニーに限らず海外(特にアメリカ辺り)のエンタメ作品って、つい最近まで差別やジェンダーバイアスの描写がバリバリだったのに…ある日突然何かに目覚めたように「あからさまな配慮」を新作だけでなく、既存の作品にも大幅な改変を加えることをまるで当然のようにやるから嫌われるんだと思う。
考え方を変えるのは悪いことではないし、今まで自分達がしてきたことを認め、それを反省してはいるんだろうけど…それ以上にパフォーマンスが目立つからダメなのだ。
どうしても「上辺だけの多様性」に感じられてしまう。
自閉症キャラをねじ込んた事については…色々思うことがあるのでそのうち別記事書きます。