【読書感想文】"私たち"になれない私が読む「私たちの精神疾患」 | 今日も、犬とベッドシェア

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最近、こんな本が出版されたらしい…「こころの元気」とかいう精神障害者向けの月刊誌を発行してる団体が構想4年…「当事者の声だけを集めた初めての書籍!!」という本が

 

 

 

実は当事者が書いた本というのは既に存在します、なんなら昭和30年代の精神病院の実情が書かれた手記もあるんだけど…

 

縁あって、この本が私の手元に巡ってきたので私も読んでみました。

 

精神疾患と一口に言っても、不安障害やパニック障害のような神経症圏からうつ病、いわゆる「精神病」として分類される統合失調症や双極性障害…あとはパーソナリティ障害とか、認知症や高次脳機能障害も広義の意味では精神疾患になるんでしょうけど、この本に出てくる「私たち」は症状から察するにおそらく統合失調症が多いのだろう。

 

あくまでも「だろう」なのは著者(複数いる)があくまでも「精神疾患」というワードを用いており、具体的な病名には一切触れていないから。

 

ある程度の感想は元の持ち主から聞いていたけど、その人いわく

 

「チェーン店の居酒屋で出てくる食べたくないのにお金を取られるお通し」

 

というものすごく抽象的な物…要約すると「ページ数の割に内容が上澄み液レベルの薄さ」との事らしい。

 

そんなにひどい本なのかとちょっと期待しつつ読み始める…もう、冒頭から素人の文章だなと感じさせられる。

 

全編を通して

・精神障害者によくある強い被害者意識

・あらゆる物に対する独自すぎる解釈

・ご都合主義

・書籍なのにちょっと話し言葉っぽい

・ピアの仲間の言うことは絶対的

 

ただ、ちょっと意外だなと思ったのはこの本に出てくる著者も発症前は精神疾患や精神障害者に対する偏見があったという事

 

しかし…それ以外の内容は本人にご都合主義というか、薄っぺらいというか、全てが感覚的・思い付きで書いてるんだろうなと感じさせる、好意的に捉えるなら認知機能障害があって本が読みにくい、読めても内容が頭に入らない人達でも読みやすいように配慮したのか?と考えるのもちょっとキツイくらいに薄い。

 

実はこれ、読みながら書いてます…そうでもしないと内容が頭の中に残らないのです。

 

そんな、薄っぺらい内容でも全体的に感じ取れるのは「"私たち"と医療者、支援者間に勝手ヒエラルキーや対立構造を作って、私たちを無条件で理解しろ、受け入れろ」という主張…くらいですかね?

 

頻繁に「管理されてる」というワードが出てくるんですが、それはあくまでも"私たち"の意識がそうさせているだけでは?と私は思います。

 

私の場合、相手が例え年老いたおじいちゃんやおばぁちゃんの主治医だったとしてもあくまでもそこそこ対等な立場で関わってきたところがあるので(んじゃなきゃ、毎週喧嘩なんかしない)余計違和感があるのかもしれない。

 

それでも、やっぱり私の1.5倍以上は年上の人達だから人生経験の量では勝ちようが無い…それは仕方ない。

 

また、この本には「リカバリー」というワードも頻繁に登場する。

 

これもあくまでも推測に過ぎないけど両者における「解釈の違い」が、この対立構造を生み出し、"私たち"の語彙の少なさや表現力の問題から余計齟齬を増幅していると思われる。

 

そして、この本が薄っぺらいと思われる最大の要因は

 

「全ての文章が感覚的、感情的に書かれている」

 

事ではないだろうか?何人で執筆したのかわからないけど、同じ章の中で内容が飛躍する、数行間で内容がコロコロ変わる、同じ表現や内容の繰り返しが多々見受けられる。

 

また、やたら"私たち"とアピールする割には他力本願的な思考パターンも目立ちます。

 

問題を提起するのに、それに対する取り組みとして上げられるのはだいたい「本来は偉い人達がやらなきゃいけない事なのに、自分達がどうにかしなきゃダメ」という諦めのような行動。

 

今はオンライン署名やSNSもある時代なんだから、この本の著者とされてる団体が率先して現況を変えて行きます‼くらいの意気込みを見せて欲しかった…これじゃ、ピアと称したお互いに傷を舐めあってるだけにしか見えない。

 

そして、あくまでも主観的な「経験」から構成されている為内容の信憑性や客観性に欠けたところが見受けられます。

 

あくまでも主観的な経験のみで構成、仲間内のメンバーに謎の過大な信頼をする…なんか、似非スピリチュアル界隈みたい。

 

とここまで、約3/4くらい読んだけど…本当に内容が自分にはしっくり来ない、そもそも内容が薄すぎて頭の中に残らない。

 

この本をおすすめ出来る人は

・精神科入院歴がある

・薬物療法がメインとなる精神疾患の診断が付いてる

・頭で理解するより感覚的な物の方がわかりやすい

・共感を重視するタイプ

 

くらいですかね?

 

全体的に理想論と綺麗事でまとめられていて本当にうす~い内容でした。

 

この本、ハガキが挟まってたんですが…今時「読者カード」なんて珍しいなと思ったら、まさかの「布教用のハガキ」でした。

 

しかし、今のところAmazonレビューや読書メーター等への感想の書き込みは0件

 

著者の団体の公式サイトには感想が投稿されてるものの、googleスプレッドシートを使ってるようで結構見づらい。

 

タイトルでも書いたように「私たちになれない」と書きましたが、巻末の著者紹介欄…当事者とされている人たちは案の定殆どが統合失調症でたまにうつ病とかでした。

 

章ごとに内容や主張がコロコロと変わっていたのも、それぞれ違う人が書いていたから…これはある種のネタバレですね。

 

とにかく最後まで読んでみて感じたことは…

 

「やっぱり、私を含めた神経症圏の当事者は”私たち”には含まれていないのだと思った」

 

余談ですが…この本、元の持ち主から「読み終わったらTomokoさんの好きなようにしていい」と言われているので、メルカリ出品して供養したいと思います。