・Q3 重金属とはどういうものですか?
A :
重金属というのは、金属のうち、比重4~5を境として、それより重い金属を指します。
あまり厳密な区分ではなく、たとえば金などは鉄の二倍の比重がありますが、重金属とは呼びません。
なぜ重金属が問題かというと、重金属の多くが、人体に有害性を示すからです。
有害とされる重金属には、次のようなものがあります。
鉛、水銀、ヒ素、カドミウム、クロム、ニッケル、スズ、マンガン、セレン、ベリリウム、銅、亜鉛など
重金属は足尾鉱毒事件、水俣病、イタイイタイ病などの公害の原因物質となりました。
鉛は、ガソリンの添加剤、蓄電池の材料、水道管、塗料の顔料(色を出す物質)など、いろいろな用途に使われていました。
水銀も体温計、傷消毒薬、歯の充填剤など、身の回りで、たくさん使われていました。
これらは有害性がわかってからは、できる限り使わない方向になっています。
重金属は、顔料、プラスチックの添加剤などとして、塗料などいろいろなものに含まれています。
重金属は、体内に取り込まれやすく、いったん体内にはいると排出しにくく、脂肪などにたまっていきます。
元素なので分解することもできません。
自然界では、食物連鎖の中で、大きい生物の体に濃縮されてたまっていきます。
体内にあるだけなら問題は少ないかもしれませんが、有害性を示す重金属は、ほかの元素と反応しやすくて、体内で起こるいろいろな活動の邪魔をしたり、余計な反応をひき起こしたりします。
反対に、金、白金、チタンなどのようなほかの物質と反応しにくい金属は、歯の治療や、手術で金具を埋め込んだりするときの材料として使われます。
また、人体の活動に必要な必須微量金属というものがあります。
カルシウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、鉄、マンガン、銅、セレン、モリブデン、コバルト
これを見ると一部が有害重金属と重なっています。
一定量は必要だけれど、それを越えると有害性が出てくるとも考えられますが、詳しいことはまだよく分かっていません。
塗料や絵の具などは、重金属が使われていないものを選ぶようにしましょう。
鉛、水銀などは、あまり使われなくなりましたが、昔塗られた塗料の膜が劣化したときや、プラスチックが燃やされた時に、環境中に排出される恐れがあり、注意が必要です。