・Q2 農薬とはなんですか?
A :
農薬とは、農作物を病虫害や雑草から守るために使われる化学物質をいいます。
その性質からいって、生物を殺したり繁殖を抑制したりする効果をもつものなので、「殺生物剤」ともいわれます。
目的からいって、殺虫剤、殺菌剤、除草剤の三つに分けられます。
農薬という名称は、用途による分け方なので、同じ成分でも、農業目的以外で使われると、農薬の定義からはずされてしまいます。化学的性質からいうと、生物を殺すのが目的なので、多かれ少なかれ、人間にも有害です。
家庭でも同じ成分のものがたくさん使われているにもかかわらず、法的にも十分な規制がおこなわれず、危険性も広く知られていません。
農薬は成分によって、次のような区分けがされています。
◇殺虫剤
カーバメート系、トリクロルピリジン系、ピレスロイド系、有機塩素系(殺菌、除草も)、有機リン系、
◇殺菌剤(病害対策)
抗生物質、ジオカーバメート系、有機水銀系、有機スズ系
◇除草剤
ジフェニルエーテル系、トリアジン系、フェノキシ系
この中でもとくに有害といわれる有機水銀系は使われなくなり、有機塩素系は使用量が減っていますが、かわりに有機リンやピレスロイド系が多くなっています。
さらに殺虫剤としてネオニコチノイド系というものが使われて、これはミツバチが少なくなったことの原因と疑われています。
農薬ときくと、皆さんはなにを思い浮かべますか? 輸入食品が汚染されていたという事件でしょうか。
しかし、農薬は食べ物を通してだけ私たちの暮らしに入り込むわけではありません。
まず、日本は農地の単位面積当たり、世界一農薬をたくさん使っている国であることはご存知でしょうか。
日本は狭い国なので、農地の隣に住宅があるところも多くなっています。
そういう住宅は、農地の農薬散布の影響をもろに受けます。
空散といってヘリコプターを使って農薬をまいているところでは、登校途中の児童がそれを浴びるという事件もおきています。
公園や校庭、公共施設の樹木にも農薬がまかれます。家庭園芸でも農薬が使われます。
また、家庭で使われる殺虫剤も農薬と同じ成分のもので、それは家庭だけでなく、ビルや電車の車両の中などに定期的にまかれています。
このように、私たちの暮らしそのものが農薬まみれであるとも言えます。
食べ物でも、国内では、収穫時に農薬の残留量が少なくなるように配慮はされていますが、輸入食物は、遠路運ぶための農薬が収穫後にかけられています。
農薬=殺生物剤は程度の差こそあれ、人にとっても毒です。
大量にとらない限り危険性が低いものから、ごく微量でも影響が出るものまで様々です。
人間にとっては危険が少ない場合でも、殺す対象の「害虫」や「病原菌」以外の環境中のほかの生物にとっても有害である場合がほとんどです。
そのために、私たちも暮らしの中でもできる限り使わない努力をしていく必要があります。