2:化学物質過敏症高リスク群と関連因子に関する研究 | 化学物質過敏症 runのブログ

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2.研究の目的
本研究では、化学物質過敏症の啓発と若い世代での発症を予防するため、県内高校生を調査対象とし、MCS 発症の影響要因とその予防法を検討することを目的とした。
3.研究の方法
(1) 研究対象
若い世代での発症予防という観点と、回答に信頼性がある点、発症要因の可能性のある地域性の検討のため、回答の信頼性が低いと考えられる小中学生や、居住地と生育地の異なる可能性が高い大学生ではなく、県内高校生を対象とした。
(2) 調査方法
群馬県総合教育センターWEB(http://www.center.gsn.ed.jp/school/gakko.htm
を参考に、群馬県内の高校に研究協力を郵送で依頼し、協力が得られた高校に調査票と具体的な実施方法を記載した依頼文を郵送した。

その後、各高校の教員により、高校生に研究の目的と調査方法が説明され、その場で配布・回収され、高校別に研究者に返送された。
調査票は15 分以内で回答できるように作成し、調査項目は以下のとおりとした。
[主な調査項目]
① 属性(性別、学年、居住地域など)
② アレルギー(花粉症、アトピー性皮膚炎、喘息、蕁麻疹、その他のアレルギーなど)
③ 住環境、周囲の環境、新築・改装経験の有無など
④ 生活習慣(Health Practice Index など)
⑤ MCS スクリーニング:QEESI**QEESI(Quick Environmental Exposure andSensitivity Inventory) :C.Miller 及びN.Ashford らの提唱による化学物質過敏症のスクリーニング調査票。

Q1 化学物質曝露による反応、Q2 その他の物質に対する反応、Q3 症状、Q4 マスキング、Q5日常生活の支障の程度、の5 項目の自己評価で点数化し(1、2、3、5 は0-100 点、4 のみ0-10 点)、化学物質過敏症の疑いを判定する。

QEESI は感度や特異度について多くの研究者により検討されており、また国内でもスクリーニング等に使用されている。

本研究では、北條のカットオフ値を用いるため、石川らによる日本語版のQ1、Q3、Q5 を使用した。
(3) データ収集期間
2013 年7 月~2013 年10 月
(4) データ分析方法
得られたデータを対象に統計ソフト(IBMSPSS Statistics21)を用いて、以下のとおり、統計学的検討を行った。有意確率は5%未満とした。
① QEESI の結果からMCS 高リスク群を抽出し、MCS 高リスク群と対照群別に、属性、生活習慣、居住環境などを検討するための単変量解析を行い、オッズ比と95%信頼区間を求めた。
② 次に多変量解析により各要因間の相対的な関連性を検討するために、MCS 高リスク群と対照群を従属変数とし、①の単変量解析でP 値が0.25~0.15 以下の項目を独立変数として、ロジスティック回帰分析を行った。
(5) 倫理的配慮
調査開始前に各高校教員から対象者に研究の説明・同意書が配布され、「研究への参加・協力は自由であること」、「調査票の提出をもって研究協力に同意したこととすること」、「調査は無記名で行われること」、「得られたデータは速やかに電子データ化し、鍵のかかる保管庫にて厳重管理し、調査結果がまとまり次第、破棄すること」等の説明がされた。

また、調査票は記入後、記入者自身が個々にテープ糊付き封筒に入れ、密封した後に回収袋に入れるよう、協力校に依頼した。
なお、本調査は群馬パース大学における倫理審査委員会の承認を得て行われた。