化学物質過敏症高リスク群と関連因子に関する研究 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・科学研究費助成事業  研究成果報告書
平成 26 年 6 月 25 日現在
機関番号:
研究種目:
課題番号:
研究課題名(和文)
研究代表者
研究課題名(英文)
交付決定額(研究期間全体):(直接経費)
32309
挑戦的萌芽研究
2011~2013
化学物質過敏症高リスク群と関連因子に関する研究
Research on Group at High Risk of Multiple Chemical Sensitivity and Related Factors
研究者番号:80458471
鈴木 珠水(Suzuki, Tamami)
群馬パース大学・保健科学部・准教授
研究期間:
23660112
平成 26 年 6 月 25 日現在
2,900,000円 、(間接経費) 870,000円
研究成果の概要(和文):県内21校の高校生を対象に質問紙調査を行い、4,630名(有効回答率80.2%)から協力を得た。

QEESI(化学物質過敏症のスクリーニング検査)で「化学物質暴露による反応」≧40、「症状」≧20、「日常生活の支障の程度」≧10の3条件が揃った対象者は415名(8.9%)であった。

これを高リスク群とし、その他を対照群として化学物質過敏症の関連因子を検討したところ、「女性」、「アトピー性皮膚炎がある」、「金属アレルギーがある」、「手足の冷えがある」、「疲労を感じやすい」、「新築入居経験がある」、「異臭を感じている」、「自覚ストレスが多い」ことが化学物質過敏症の発症に関係すると考えられた。
研究分野:
科研費の分科・細目:
医歯薬学
キーワード: 化学物質過敏症 環境保健 ライフスタイル アレルギー 保健指導
地域・老年看護学
1.研究開始当初の背景
2009 年10 月1 日、化学物質過敏症(MultipleChemical Sensitivity、以下MCS とする)はICD10 対応電子カルテ用標準病名マスターに登録された。

しかし、MCS の発症メカニズムに関する医学的な統一見解は得られておらず、診断も非常に難しいことが指摘されている。

MCS は様々な症状を呈する疾患であるため、眼科や呼吸器科、精神科等、他領域の疾患として診断されることや、MCS 自体の存在が認められず、心因性であるとされることも多く、適切な診断に基づく治療が施されている対象者は多いとは言えない。
MCS のスクリーニング検査として国内外で用いられているQEESI (QuickEnvironmental Exposure and SensitivityInventory) についても、カットオフポイントやカットオフ値の設定は未だ研究途上である。
厚生労働省の調査では、35.9%が何らかのアレルギーを持っているとされ、しばしばMCS の概念と討議されるシックハウス症候群(Sick House Syndrome、以下SHS)の有病率は東京都の調査で14% であった。

米国では、化学物質に高感度を示す人はMeggs(1996)の調査で18.2%、Caress (2003)の調査で12.6%と高い数値を示している。
MCS は低濃度長期曝露が主原因であるため、予防が最善策である。そのため、MCSが広く認知され、早期に“気づき”、発見することが重要であるが、その一方、一度発症してしまえば、治療することが難しい疾患でもある。MCS の予防法は化学物質を“取り込まない”、“被曝しない”ことに尽きるが、化学物質に囲まれて生活している現代人にとって、その対策は容易ではなく、MCS 患者の増加が懸念される。

特に若年齢での発症は学業や仕事に大きく影響するため、若い世代での発症を予防することは喫緊の課題であるが、どのような人々が発症しやすいのか、といった発症に影響する要因の詳細は明らかにされていない。