3:ひどい化学物質過敏症は被害者の人生を困難にする | 化学物質過敏症 runのブログ

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急進的な道 (13/11/21)

ある化学物質に暴露すると、ある人々は、通常の洗剤、香水、又はここに示されるその他の化学物質に耐えることができなくなるかもしれない。
 ミラーは、低用量暴露についての考えが初めからあって、彼女の仕事を始めたわけではない。長いブロンド髪で幅広のブルーの目をもつ彼女は、1979年に新たな産業医として、ピッツバーグにある全米鉄鋼労働組合に雇われた。

この組合は120万人の組合員を持ち、そのほとんどが男性であった。”私は製鋼所、製錬所、鉱山を訪れるのが好きだった”と彼女は思い出す。

”私は、コークス炉に行き、溶鉱炉の中で鉄鋼が作られるのを見、鋳物工場で溶融金属を鋳型に注いで部品が作られるのを観察することが魅惑的であった”。

 ミラーは時には、数十年間労働者達が働いているのと同じ環境の中で、数時間後に頭痛がすることがあったが、その時には彼女はこれらの頭痛について深く考えることはなかった。

彼女は、労働安全衛生局(OSHA)により定められた基準を会社に確実に守らせることだけを仕事とした。

 しかし、その後、米・国立労働安全衛生研究所(NIOSH)は、ある女性鉄鋼労働者たちの心理学的及び管理的問題について調べるよう彼女に要請した。

その女性たちは二つの異なる工場で電子機器の部品に半田付け作業をしていた。彼女たちは、ヒューム排気がない部屋で働いており、頭痛、疲労、そして集中力がなくなることを訴えた。

 その年の NIOSH シンポジウムで発表した報告書の中でミラーは、半田作業によるヒューム中の有毒物質が彼女たちが訴えることの原因かもしれないと示唆した。

”私はその会議で唯一の非精神病医であった”と彼女は思い出す。”そして私が話を終えるまでに、私の考えを攻撃するために専門家たちがマイクに並んだ”。

 もう一人異端者がいた。

物議を醸すシカゴのアレルギー学者セロン・ランドルフ(Theron Randolph)であり、彼は最初に私に支援を差し伸べた。

ランドルフは、1950年頃、仕事をなげうち、典型的なアレルギーとは大いに異なる広範な過敏性を持つ人々をテストし治療をすることを始めたが、 そのことは、血中に存在する免疫グロブリン(抗体)と呼ばれる免疫細胞が増える様子を通じて診断された。

ランドルフは、彼の患者は従来の手法では測定できない食物と化学物質に対する過敏で苦しんでいることを確信した。

彼はミラーを毎週のスタッフ・ミーティングに招へいし、そこで症例が討議された。

   ランドルフが一人の患者から病歴を聞いていたのをミラーは思い出す。

それは数時間かかった。

彼は、”あなたが本当に良くなったと感じた最後の時のことを教えてください。次にそれ以前のことを話してください”と言って診察を始めた。

彼は患者が話したと通りにその病歴をタイプに打ち込んだ。

ミラーはある詳細を次のように思い出す。”彼女はシカゴの列車の駅で気分が悪くなった。

彼女はフォームラバー・マットレスの上で吐き気を感じた”。

 ランドルフは、彼のシカゴ事務所の近くに特別に建設した施設に患者を数週間”入院”させた。入院中に彼らはフィルターを通った空気を吸い、化学処理されていない木綿の寝具の上で眠り、浄化水を飲み、数日間絶食した。

彼らの症状は、関節炎から頭痛、疲労まで、しばしば消え去った。

 次に彼は、患者にブラインド・テスト(盲検)を実施した。

患者に有機リンゴと農薬散布リンゴ与え、あるいはガラス瓶に入れた印刷紙の臭いを彼らに嗅がせた。

扁桃痛又は間接痛のような症状は、個々の患者が反応するどの様な物質に対しても再発した。患者が診療所を出るときに、”これらの原因物質を回避すること”というのが、お決まりの処方箋であった。

 ”多くの患者は、薬物治療を止めてよくなることができた。これらの人々は、通常では症状が出ないはずの微量の物質に反応した。それは私が知っている医学のことごとくのパラダイムを壊した”とミラー説明する。

”私は医学校に行き、大学施設内の研究者として働き、当時は医学界または科学界の中で実質的にはだれも信じる人がいなかったこの素晴らしい仕事のために科学的信用を確立しようと決心した”。

多くの証拠

 20年が経過し、数百のピアレビューされた論文が発表された後、ミラーは遺伝的にぜい弱な人々は毒物誘発性耐性喪失症(TILT)に罹りやすいかもしれないことを示すひとつのモデルを示唆する魅惑的な多くの研究に驚いた。

ひとつの重要な見識がてんかんと慢性疼痛症候群の分野に注がれたが、両方とも脳の異常な活動に関連している。

慢性疼痛症候群のある場合には、急性、局部的損傷として始まったものが、広がって、反射性交感神経性萎縮症(RSD)として知られる一般化された痛みになる。

痛みの信号は、からだ全体に燃え上がるように見え、その症状は衰弱させるものであり、治療が困難である。

 同様に異常な脳活動と処理は、発作性疾患の分野でよく知られている。

側頭葉てんかん症候群は、大脳辺縁系燃え上がり(limbic kindling)と呼ばれる現象まで突き止められているが、そこでは、脳の大脳辺縁系構造を横断して反復的で間欠的な低強度の刺激が最終的には発作をもたらすのかもしれない。

 実際、ミラーは燃え上がり現象に似たプロセスが、 TILTで報告されている痛みと過敏性を駆り立てるかもしれないという仮説を立てた。

溶剤、農薬、又は漏えいしたオイルからの揮発性分子のような有毒物質は、鼻の内面に厚くちりばめられた数百万の鼻神経である嗅覚受容体を通じて脳に直接到達することができる。

我々の脳は、嗅覚受容体への反応に絶妙に刺激される。

当然のことながら、例え健康な人でも、実際には知覚閾値以下であり、意識しては知覚されない嗅覚刺激への短時間の曝露の間、脳波の活動に著しい変化を示す。

 ”嗅覚系に血流脳関門がないことは、化学物質が直接、大脳辺縁系にアクセスすることを可能とする”とミラーは言う。

”そして、嗅覚の通り道は、特に電気的及び化学的興奮に感受性が高いことがすでに知られている。さらに、ほとんどの化学的暴露は間欠的であり、それは興奮と感作を増強することが知られている”。

関越的な低用量暴露は、単回のより高い暴露と同様な毒性があリ得る。

ミラーはサルの研究を引用しているが、それは、有機リン系農薬の1週間に10回の非毒性用量と1回の毒性用量は、脳波図(EEG)により測定された脳波活動に同じ増大 をもたらした。

 ミラーは、有毒物質への曝露は、大脳辺縁系ネットワークを刺激するのに必要な閾値を永久的に低下させ、興奮のような現象を起こりやすくするという仮説を立てた。

”それは発作を誘発するという厳密な科学的センスでの実際の興奮ではない”が、しかしその感作は、機能の永久的な変化をもたらし、嗅覚神経を通じての化学物質への反応度を理論的に永久的に高めると彼女は言う。

 コペンハーゲン大学ゲントフテ病院のデンマーク化学物質過敏症研究センターの研究が彼女の見解を支持しているが、そこでは科学者らは化学物質不耐性の人々は中枢神経系でより大きな感作性を示すことを実証していた。

同センターの研究は、デンマーク人口の27%が化学物質対する何らかの注目に値する感受性を持っていることを発見した。

もっと少ない0.5%の人々は非常に感受性が高いので生活のスタイルを劇的に変更しなくてはならなない。

 もうひとつの研究で、同センターの研究者らは、同センターに助けを求めてやってきた人々の中から15人の化学物質不耐性の患者を選択していた。

彼らはまた、15人の健康な人々も対象とした。

それから、彼らは唐辛子の辛みをもたらす主成分であるカプサイシンを皮下注射し、先が尖っていない硬いナイロン単繊維で注射場所から6cm離れた場所から軽くたたき始め、徐々に注射場所に近づけた。

痛みに対する刺針感覚が変化したときに、それが記録された。

 カプサイシンは無臭であるだけでなく、それは特に中枢神経系によって調節される痛み反応を含んでいることが知られている。

”それは実に興味深いことであった”と、この研究の主著者である皮膚科専門医のジェスファー・エルバーリングはコメントしている。

”化学的に不耐性の人々は、報告された痛みのレベルが示すように、皮膚の痛みの領域が著しく大きい。中枢神経系で何か-感作と高められた反応に関する何らかのプロセスが起きている”。