4:ひどい化学物質過敏症は被害者の人生を困難にする | 化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 電磁波過敏症 シックスクール問題を中心としたブログです

同センターは現在、化学的に過敏な人々に遺伝子の活性化が見られるかどうかどうかを調べるために、脳中の感作に関わる遺伝子を調査する研究を計画している。

”2010年に、我々は解毒に関わる遺伝子をテストしたが失敗し、解毒遺伝子とパスウェイの異形は以前に考えられていたより重要度が低いという結論を得た”と、同センターのディレクターであるシン・スコブジャーグ・ヤコブセンは述べている。

”我々は、一貫した免疫学的な異常も、嗅覚の異常も見出さなかった”。

 したがって、それ以外のことが脳に起きている。ミラーと同様にデンマークの研究者らは、脳の感作はおそらくある種の興奮(kindling)プロセスが根本にあるのではないかと疑っている。

 驚くべきことに2010年にエルバーリングは、電気ショック療法(ECT)が重度の化学物質物質不耐性の軽減のために実際に実施されたというひとつの症例を報告した。

電気ショック療法(ECT)は、重度のうつ病や難治の疼痛症候群に効果的であることが証明されているが、その影響は脳そのものであり、それは反応閾値をリセットするように見える。

   化学的に非常に不耐性になったので2年間病気で休んでいた45歳の男性患者は家を離れており、彼の子どもたちと家の外では会うことができたが、家の中では会うことがことができなかった。

彼は隔離されていたので、”恐れていた絶望がひどい心理的挫折をもたらすであろう”と彼は感じていたと、エルバーリングは言う。

 病気になる前は、この患者は産業用塗料会社で塗料の在庫管理者として働いていた。

”電気ショック療法(ECT)前の彼の自己申告による化学物質過敏症状のひどさの程度は100点のうち95点であった”と、エルバーリングは言う。

”その後、3回のECT治療の後、彼のひどさの程度は100点から30点に低下し、彼は徐々に通常の生活に戻った”。

彼は家族や友達と楽しみ、買い物をし、一緒に過ごすことができるようになった。

彼は標準的な維持療法(2週間に1度のECT治療) を4か月間受け他結果、穏やかな過敏性が残るだけとなった。

 ”それは、ETC療法が、この化学的に不耐性な患者の脳の回復プロセスを再編成する引き金となったようである” とエルバーリングは言う。

この事例は極端であるが、将来の研究に情報を与える脳によるメカニズムを示している。

 化学的に不耐性な人々はまた、組織を通る血流を追跡する SPECT scans (Single Photon Emission Computed Tomography 単一光子放射断層撮影) による脳の画像で機能障害を見ることができる。

この研究は、バルセロナにあるヘブロン大学で行われたが、そこでは研究者らは10人の化学的に不耐性の患者を2年間にわたり追跡した。

患者の症状は、慢性であり、以前には悩ませられることのなかった低い曝露レベルで反応が生じていた。

 研究を行うために、ヘブロン大学の科学者らは、SPECT スキャンで不耐性患者を評価した。

それから一週間後、これらの患者の各人は、ひとりの健康な人とともにチャンバーに入った。

時系変化とともにそれぞれの二人の組は、塗料、香水、ガソリン、及びしばしば香水や薬品を製造するために使用されるアルデヒド物質からの通常のヒュームの暴露を受けた。 

曝露後、化学的に不耐性の患者には、特に臭気プロセスに関わる物質の場合、特定の脳の領域の血流に顕著な増大が見られた。

 一方ミラーは、TILT の被害を受けた湾岸戦争退役軍人の脳の中央動脈を流れる血流が減少していることを見つけていた。

湾岸戦争症候群を訴える8人の男性退役軍人と健康な8人の退役軍人が彼女の研究に参加した。

退役軍人らはコンピュータの前に座り、清浄な空気又は気づかないいほど微量のアセトンの曝露を受けながら、日常的な短時間の記憶作業を与えられた。

ミラーとそのチームは被験者にアセトンを含む空気であるかどうかを告げた。

空気中のアセトン含有は健康な被験者には何ら影響を与えなかったが、湾岸戦争の退役軍人らについては、話が違った。

空気がアセトンを微量に含む時には、中大脳動脈を流れる血流は著しく遅かった。

 ”私は、この研究が完了するまではTILTが本当であるとは思っていなかった”と、この研究の設計と実施を支援したテキサス大学のミラーの同僚である生理学者のレオニド・ブネギンは述べている。

”それは、脳機能と低レベル化学物質曝露との間の決定的な関係を示す初めての徹底した研究である”。

正当性の論争

 もちろん懐疑派もいる。

全ての人々がこの新しいモデルが正当であると納得しているわけではない。

2008年にイタリアのパドバ大学の心理学者ゲズアルド・ズッコによるひとりのイタリア人の事例研究は、化学的に不耐性な人は、”治療を必要とする衰弱性心理的障害”を持っていると結論付けた。

1992年に自動車事故にあった後、この36歳の患者は化学物質過敏がひどく、時には吐いたりめまいがすると訴えた。

 実験室で彼女は、”空の刺激”(臭気が全くない)、かつては彼女が好きであった臭気(ココナッツ、バナナ)、そして症状が出ると彼女が言う臭気(テレビン油、塗料)への曝露受けた。

彼女が報告した症状は、その臭気の安全性について彼女が与えられていた情報に直接的に関連していた。

もし彼女が空の刺激又は好きな臭気が実際に有害であると告げられると、彼女は悪い反応を示し、もし彼女がそれは彼女が好きであるとした臭気であると告げられると彼女は悪い反応は示さなかった。

”テストを通じて顕著な一貫性がある”とズッコは言う。

そして”第一に、患者は、その病気は元来、生物学的なものであると本当に信じていることは注目に値する”。

このことは、TILT 患者は自分立ちは身体的疾病で苦しんでいると自身にレッテルを張っているので、TILT 患者の中では非常に一般的な態度である。

 調査の後、その患者は、症状は心理的なものであるというズッコの結論を受け入れた。

認識精神療法は、”彼女がほとんどの症状になんとか対処することを可能にし、彼女は改善されていることを私に知らせるために、クリスマスカードを数年間送ってきた”と彼は言う。

 しかし、ズッコでさえ、全ての症例が心理的なものであるとは主張しない。

ある人は、”生物学的あるいは有機的起源をもつかもしれない”と、彼は言う。

”この研究の重要な点は、その違いを見分けることができるということである”。

 ミラーは、異なる見解を持つ。TILT は、より過敏でより興奮しやすい大脳辺縁系から出現すると彼女は言う。

ぜんそく、うつ、パニック障害は病気で苦しむ人の家族の中にも伝わる傾向がある。刺激をコントロールするための逃避行動であり得る内気もまた、もっと一般的に広まっている。

 言い換えれば、脳の基礎的生物学から出現する個性の形成は、個人を TILT のリスクにさらし、その病気に敏感になりやすくするもうひとつの要因であリ得ると彼女は言う。

 いつの日にか、あなたは相談のために医師のオフィスにいき、あなたの病歴についての一束の書類と一緒に、あなたは異なる一式の質問 QEESI を与えられることを希望する。

あなたは1から10までの程度を示す数字のどれかを選ぶ。

ディーゼルの排気ガス又は塗料シンナーを吸った後気分が悪くなるか? 

通常ではない食物への願望があるか? 

家でガスストーブ又は繊維柔軟剤を使用しているか? 

薬物治療(薬品)に奇妙に過敏に見えるか? 

めまい、発疹、集中困難、頭痛、躁鬱などのような説明のつかない病に悩まされているか? 

あなたは、あなたのQEESIスコアを与えられるであろう。

そしてもし、あなたが TILTのリスクがあるように見える5人のうちの1人なら、あなたは生活様式と食事を変えることを勧められるであろう。

 あなたは、ミラーがある会議で研究の成果を発表した後にミラーが話しかけた心理学者のようである。

 ”その女性は QEESI を試みて、TILT の大きなリスクがあることを見つけた。

彼女は、家中のカーペットを新しい合成カーペットにする注文をしたばかりであった。そして彼女は私に言った。’私は病気ではなく、私は病気になりたくない。私はカーペットの注文をキャンセルし、その代わりに陶器製のタイルにしようとしている。”