5:花王化学物質過敏症裁判判決文 | 化学物質過敏症 runのブログ

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(2)争点2(被告の安全配慮義務違反の有無)について
  (原告の主張)
 ア 安全配慮義務の内容
  本件検査分析業務は,人体に有害な化学物質を用いて行う危険な業務であることから,使用者である被告には,雇用契約上の安全配慮義務として,労働安全衛生法(以下「安衛法」という。),同施行令(平成26年8月20日号外政令第288号(同年1L月1日施行)による改正前のものをいい,以下,「安衛令」という。),同規則(以下「安衛則」という。)及び有機溶剤中毒予防規則(平成26年8月2 5 日号外厚生労働省令第101号(同年11月1目施行)による改正前のものをいい,以下,「有機則」という。)をはじめとした各法令を遵守する義務があった。

具体的には,

①作業場所に有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備,局所排気装置又はプッシュプル型換気装置(以下「局所排気装置等」という。)を備える義務(安衛法2 2条,23条,有機則5条。

下「局所排気装置等設置義務」という。),

②効果的な保護具を支給する義務(安衛則593条,594 条,有機則32条,33条。以下「保護具支給義務」という。)

③作業場 において6か月に1回,作業環境を測定し結果を記録する義務(安衛法6 5条,安衛令21条10号,有機則28条。以下「作業環境測定義務」という。),

④作業場所の換気のために窓その他の開ロ部の直接外気に向か って開放することができる部分の面積が,常時床面積の20分の1以上にする義務(安衛則601条。以下「外気面積確保義務」という。),

⑤有機溶剤の蒸気の発散を防ぐために冷房や通風等による適当な温度管理を行う義務(安衛則606条。以下「温度管理義務」という。),

⑥有権溶剤による健康被害の発生を未然に防止するための安全衛生教育を行う義務(安衛法59条,安衛則35条。以下「安全衛生教育義務」という。),
⑦有機溶剤の屋内での貯蔵に際して,有機溶剤がこぼれ,漏えいし,しみ出し,又は発散するおそれのない蓋又は栓をした堅固な容器を用いる義務(有機則35条。以下「貯蔵管理義務」という。)及び

⑧原告から体調不良及びその原因が職場環境にあるとの指摘を受けた時点からは,・配置転換を行うなど適切に従業員の健康管理をする義務(以下「健康管理義務」)の各義務を,被告は負っていた。