4:花王化学物質過敏症裁判判決文 | 化学物質過敏症 runのブログ

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(被告の主張)
ア 本件検査分析業務の内容について
  本件検査分析業務のうちノガスクロ検査業務は,一日当たり多くても十数回程度の回数しかなく,取扱いに際しての一連の簡単なルールを遵守していれば,有害化学物質の吸入や皮膚への付着のおそれが高いものではなかったレ他の本件検査分析業務についても,それぞれの試験方法の手順が文書により定められており,各手順に従うことで,有機溶剤に曝露することなく検査を実施できた。なお,前処理作業を含めた有機溶剤の取扱量は,多量ではなかった。

 

イ 作業環境について
  1 0 7号室では,1時間当たり換気能力1260・の換気扇が常時運転しており,常に換気が行われていた。

また,床面積の20分の1以上の窓があり,窓の開放は可能であった。

室温についても,1 0 7号室は公定試験(日本薬局方で定められた試験検査)を行っているため,25度を超えないよう室温管理が行われており,室温が30度を超えたことはなかった。
 また,110号室にはドラフトが2機設置されていたところ,1 0 7号室は110号室に隣接していたのであるから,有機溶剤を使用する作業者は,110号室まで行ってドラフトを使用することが容易に可能であった。
  110号室には,局所排気装置の一種であるドラフトが2機設置され,職員はこれを自由に使用することができた。

また,1時間当たり換気能力1260・の換気扇も常時運転しており,室内は常に換気が行われていた。
 液クロ装置から有機溶剤溶液を回収するガロン瓶は,アルミ箔で蓋がjされていたため,そこから有機溶剤が発散することはなかった。

また,万が一溢れた際を考慮して,当該ガロン瓶は塩化ビ土ル製の受皿の上に置いていたが,そもそも液クロ装置からの回収量は1分間に数ミリリットル程度であり,溢れることはなかった。

110号室に廃液用のポリタンク(18リットル)は設置されていたが,その口には蓋付きの漏斗が差し込まれており,職員が随時蓋を閉めていたためそこから有機溶剤が発散することはなかった。
ウ 原告の症状について
  原告は,平成6年から平成12年の定期健康診断の際,産業医に対し,有機溶剤中毒や化学物質過敏症であると申告しなかった。

その後,本件検査分析業務から外れて5年以上が経過した平成18年5月26日に診断書が提出されたが,同診断書においても,化学物質過敏症の疑いが強い旨の記載はあるものの,化学物質過敏症であるとは診断されていない(甲10)。

平成22年7月22日付けの診断書においても,確定診断の間。

  化学物質への曝露は避けることが望ましい旨の記載はあるが,化学物質の曝露は避けるべきとの意見は迷べられていない(甲11)。

また,被告は,原告に対し,安静加療の必要性等が記載された診断書があれば,私傷病特別休暇はすぐに認められると伝えたが,原告は,その旨の診断書を提出しなかった。

原告は,平成13年頃,以前からも家の掃除をすると尊麻疹が出た旨述べたり,化学物質過敏症を訴えているにもかかわらず新しい車を使っての通勤を申し出たりするなど,不自然な言動を多々行っていた。
 こめように,有機溶剤中毒や化学物質過敏症に罹患していたことと矛盾する言動を原告がしていたことに照らせば,原告が有機溶剤中毒及び化学物質過敏症に罹患したとの事実はない。
 エ 小括
   以上のように,そもそも原告は有機溶剤中毒及び化学物質過敏症に罹患したとはいえない。

また,本件検査分析業務め内容は,化学物質による曝露の危険が大きいものではなく,作業環境にも何ら問題がなかったのであるから,仮に原告に体調不良の症状が生じていても,業務との因果関係はない。