3:学校で「香害」に晒される子供たち、授業は校庭の片隅で | 化学物質過敏症 runのブログ

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授業参観日のあと登校不能に
引きこもりが1年4ヵ月
 南関東のある市の市立小6年の貴(=たかし、仮名、12歳)くんは、香害が原因で学校に行けなくなった。

 化学物質に敏感な体質で、両親も軽いMCS症状があり、無垢材と漆喰で新築した自然住宅で、幼稚園年長組のころから暮らしている。

 異変が起きたのは小2のときだった。

 給食当番が着る給食着のニオイが気になるようになり、給食着がくさくて給食が食べられないこともあった。

給食着は当番の子が週末に持ち帰って洗濯し、翌週の当番に引継ぐのだが、香りが長続きする高残香型柔軟剤を使う家庭が少なくないのだ。

 そのころから、帰宅した貴くんの衣服に、柔軟剤臭がべったり残るようになった。

小5になると、体がいつもだるく、朝、なかなか起きられないようになった。

帰宅すると、すぐに横たわってしまう。

 そんな体調で迎えた4月下旬の授業参観日。

教室内は子どもたちと参観する父母たちでいっぱいになり、柔軟剤のニオイが立ち込めた。

 母の真帆さん(仮名)は活性炭マスクをして参加していたが、頭がくらくらし、壁を支えにやっと立っているほどだった。

 貴くんはその日を境に登校できなくなった。
教育委員会の勧めもあり、9月には自宅から車で10分ほどの小規模校に転校したが、間もなく、音楽室で学習中に手足がマヒして動けなくなり、父が迎えに行く騒ぎになった。

 以来、その小規模校にもまったく行っていない。

 嗅覚過敏が進み、ほとんどのものに反応するようになった。

自宅の周辺は柔軟剤などのニオイがいつも漂っていて、外出もできない。

反応の出ないパジャマを一日中着て自室に閉じこもり、パソコンに向き合う日々がもう1年4ヵ月も続いている。

 国立病院機構高知病院で2005年からMCSの診察を続ける小倉英郎医師(現在は非常勤)はこう話す。

「統計はとっていないが、MCSを発症する子どもたちが増えている印象がある。保育園や学校に通うようになり、香りつきの合成洗剤や柔軟剤を使う家庭の子どもたちと接触したことがきっかけになる場合が多い。高知県には(南国市の岡豊小学校など)MCS児童のための特別支援学級を設けたところもあるが、全国ではまだ、不十分な対応しかしていない学校が多いと聞いている」