発生源で洗濯水を処理する
我々の研究は、排水系から銀を除去する最も効率的な方法は、それを洗濯機の中で処理することであることを示している。
ここでは銀濃度は比較的高く、銀は最初は処理された布から回収可能な化学的形態で放出される。
洗濯排水が排水処理施設に送られ、下水や他の発生源からの水と混合されると、銀濃度は著しく低下し、異なる化学的形態に変化することがあり得る。
ここでは化学が少しばかり役に立つ。
我々の回収方法は、イオン交換と呼ばれている広く使用されている化学プロセスを採用する。イオン交換では固体と液体はともにイオンをお互いに交換する。
例えば、家庭用せっけんは、マグネシウムやカルシムのようなイオンを高いレベル含む ”硬水”中ではよく泡立たない。
多くの家庭用の水フィルターは、水を”軟水”にするためにイオン交換を使用している。
このプロセスが機能するために、交換するイオンはプラス又はマイナスのどちらかでなければならない。
ナノ銀は最初は布地から銀イオンとして放出されるが、それはカチオン、すなわちプラス電荷をもつイオン(Ag+)である。
発生源であっても排水から銀を除去することは難しい。
洗剤液中での銀濃度は、除去プロセス妨げるカルシウムなどの他のカチオンに比べて比較的低い。
ある洗剤の組成は潜在的に銀と相互作用することがあり得るので、洗剤の化学的特性が状況をさらに複雑にする。
他の化学物質は拾わずに銀だけを回収するために、回収プロセスは銀と化学的親和性のある化学物質を使用しなくてはならない。
以前の研究で、我々は潜在的な解決策を述べた。
すなわち、銀と優先的に結合する硫黄ベースの化学物質に埋め込まれているイオン交換物質を使用することである。
我々の新たな研究で、我々は洗濯水をイオン交換樹脂カラムに通し、それぞれの主要な洗剤成分がどのように水の中で銀と相互作用し、水から銀を除去する樹脂の能力にどのように影響を及ぼしたかを分析した。
pH、温度及び非銀カチオン濃度のようなプロセス条件を操作することにより、我々は銀回収を最大化する最適条件を特定することができた。
我々は、 pH とカルシウムイオン(Ca2+)が重要因子であることを見つけた。
高いレベルの水素又はカルシウムイオンが洗剤成分に結合し、それらが銀イオンと相互作用することを阻み、したがってイオン交換樹脂は銀を溶液から除去することができる。
我々はまた、ある洗剤の成分、特に漂白剤と軟水化剤はイオン交換樹脂の機能効率を低くすることを発見した。
条件に依存して、我々は洗濯水中の銀の 20%から 99%を除去した。
我々の発見は、銀回収を改善する代替洗剤の研究に拍車をかけることができる。それらはまた、イオン交換樹脂技術は高レベルの洗剤を含む洗濯水から微量の銀を回収することができることを示している。
排水処理の将来
今日、排水は家庭や事業所のような多様な発生源から集まっており、集中化排水処理施設までの長距離を排水管で送られている。
しかし、これらの施設は多くの異なる排水系に対して一般的なひとつの処理施設を使用しているので、新たに特定された汚染物質が環境に入らないようにするためには不十分であることを示す証拠が増大している。
将来は、排水に含まれる物質のために特別に設計された特定の技術を用いて異なる種類の排水を処理することができる分散化排水処理システムになると信じている。
もし、コインランドリーからの廃水がレストランからの排水とは異なる汚染物質を含んでいるなら、どうして同じやり方で処理するのか?
我々のアプローチは、新たな環境問題に対応するために、あなたの洗濯機に特別の水処理カートリッジを取り付けるような単純なステップによる、効率的で効果的な方法である。