2:汗の季節に消臭・芳香商品で「香害加害者」にならない方法 | 化学物質過敏症 runのブログ

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だがAESは、別の顔も持っている。化学物質の有毒性などの程度をランクづけし、シンボルマークなどで示す「GHS」分類では「危険」に分類される物質なのだ(注1)。

 具体的には、皮膚刺激・強い眼刺激・飲み込んで気道に侵入すると生命を危険にする恐れ・水生生物への毒性などの有害性がある。

 シンボルマークは(弱い急性毒性などがあることを示す)「!」「健康有害性あり」「環境有害性あり」の3つを付けることになっている。

「環境への放出を避けること」という注意書きもついている。

 AESはこのような性質をもつから、政府は「人の健康を損なう恐れ、または動植物の生息・生育に支障を及ぼす恐れがある」と判定し、「PRTR法の第一種指定化学物質」に指定している(注2)。

注1 GHSは、Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)の頭文字。

国連が加盟国に2008年までに制度化するよう勧告し、2~3年おきに改訂している。日本は09年に導入し、化学品を売買するとき付ける「安全性データシート」やごく一部の消費者製品に表示されている。
注2 PRTR法(特定化学物質排出把握管理促進法=化管法)は、環境汚染物質がどこからどれくらい環境中に排出されるかを把握することによって、事業者の自主的な管理を促進するため制定された。

家庭からの排出量も推計で公表される。
実はAESは、台所用や洗濯用の洗浄剤だけでなく、ボディソープ・シャンプー・化粧品などにも使われている。

ただし、それらに使われるときは、同じメーカーの商品でも「ラウレス硫酸ナトリウム」や「パルス硫酸ナトリウム」といった別の名称で表示される。

 なぜこんなことが起きるのか。

 台所用・洗濯用の合成洗剤の表示は消費者庁所管だが、シャンプーや化粧品は厚生労働省の所管で、こちらでは成分名を短縮したり、変更したりすることができるからだ。

 こうして食器を洗うのと同じ成分を柔肌や頭髪・頭皮にこすりつけている事実が、見えにくくなってしまう。

 ウルトラアタックNeoで分量が2番目に多い「AE」は、「非イオン系」の合成界面活性剤だ。

 GHS分類では、毒性が弱い「警告」のランクで、「眼刺激」と「水生生物に毒性」という有害性がある(シンボルマークはない)。政府はPRTR法の第一種指定化学物質に指定している。

 以上の成分が洗濯や洗髪の後、衣類や頭髪・頭皮に残留し、周りの人の体内に取り込まれると「香害」を引き起こす可能性がある。

除菌スプレーの成分表示は抽象的その正体を調べると

話を消臭除菌スプレーに進めよう。

「ファブリーズ ダブル除菌」(P&Gジャパン)を例にとると、成分とその働きは次のように記載されている。

 ▽トウモロコシ由来の消臭成分=トウモロコシ生まれの有効成分で、ニオイのもとの分子を取り込み、消臭します。
 ▽除菌成分(有機系)=Quat(クウォット)。特定の除菌成分の総称です。

このタイプの除菌成分の安全性は広く認められており、化粧品や薬用石鹸などに使われています。有機酸。(略)
 ▽香料=布からさわやかな香りを感じる。
 ▽水=(略)

 この記載をウルトラアタックNeoと比べると、具体的な化学物質名がなく、抽象的な説明にとどまっている(注3)。

 なぜこんなに違うのか。

 それは合成洗剤が家庭用品品質表示法の指定製品で、詳しい表示が義務づけられているのに対し、消臭除菌スプレーは指定されておらず、表示の仕方はメーカーに任されているからだ。
ファブリーズの成分のうち「トウモロコシ由来の消臭成分」の正体は、シクロデキストリンというでん粉の一種だ(注4)。

このでん粉は空洞が多い構造をしており、悪臭のもとの分子がそこへ取り込まれる。