方 法
対 象 は2002年12月 か ら2003年11月 ま で に国 立 療 養 所 盛岡病 院 の 化 学 物 質 過 敏 症 外 来 を受 診 した 患 者 の う ち, 症状 発現 に あ た って 何 らか の化 学 物 質 曝 露 の エ ピソ ー ドがあ る者32名(男6名, 女26名)で, 平均 年 齢 は男27.8歳(3-52歳), 女46.8歳(23-74歳)で あ っ た.
初 診 時 に医 師 の診 察 前 にQEESIお よ び 居 住 環 境, 家 族 環 境, 病歴(既 往 歴, 現 病 歴), 職 歴 に 関 す る質 問 に原 則 と して自己 記 入 式 で 回 答 して も ら った が, 重 症 の た め筆 記 用 具や 印 刷 物 を触 れ る こ とが で きな い た め に, 自分 で記 入 でき な い者 につ い て は看 護 師 が記 入 を 手 伝 っ た.
同 日に血液検 査(血 液 一 般, 生 化学, 免疫 グ ロ ブ リン, ア レルギ ー検 査), 尿 検 査, 胸 部 レ ン トゲ ン撮 影, 心 電 図, 肺 機 能検 査 を実 施 し た. QEESIの 質 問 項 目 をTable1・ 表1に示 した.
統 計 学 的 処 理 はDr. SPSSH(Ver. 11.0)を 用 い て行 った. 2群 間 の比 較 はStudentのunpaired t test,相 関 の 有 意 性 につ い て はPearsonの 相 関 係 数 に て解 析した. いずれの統計 もPが0.05未 満 を有意 と した.
結 果
1) 患者背景(Table2)
32名 中で症状発現前 に職業 に就 いて いた者 は過半数 の19名(59%)で あ り, 歯科 医師, 歯科衛生士, 化学物質を扱 う研究員, 厨房関係, 文房具, 洋服, 玩具 の売 り場,教諭, 内装業 な ど多彩 であ ったが, 多 くは化学物質曝露の可能性 があ る職種 であ った.
化学物質曝露 のエ ピソードで は新築6名, 転居3名, 家の リフォーム1名, 火事被災後の改築3名, 大型 ショッピングセンター開業6名,計19名 が広義 の シックハ ウス症 候群, シ ック ビルデ ィング症候 群 と考 え られ る者 であ り, その他隣家 の殺虫剤,白蟻駆除 など有機 リン曝露, 研 究室での化学薬品曝露 や厨房で の苛性 ソー ダ曝露, 学校職場 での多様 な化学物質曝露 パ ソコ ンの頻 回の使用 や階下 での コン ビニ開業 など電磁波 との関連が疑 われ るもの もあ った.
喘息, ア レル ギー性鼻炎, 花粉症, ア トピー性皮膚 炎な どの ア レルギ ー歴が ある者 は23名(72%)に およんだ.
各症 例 のMCSの 診 断 はQEESIの 化 学物 質 不耐 性,マ ス キ ン グ, 症 状 の 各 ス コ ア に 基 づ い たMillerとPrihodaの 診 断 基 準(Table3)に よ って 行 った.
これに よ る とMCS患 者 の 確 率 が 非 常 に高 い(分 類A, B)が16名, 患 者 の可 能 性 が 高 い(分 類C)が2名, 患 者 の疑 い が あ る(分 類E, F)が3名, 患 者 で な い可 能 性 が高 い(分 類D, G, H)が13名 で あ り, 患 者 の 確 率 が非常 に高 い, 患 者 の 可 能 性 が 高 い, 患 者 の疑 い が あ るが併せ て19名(59%)で あ っ た.