・最強最悪の環境ホルモンが健康食品に ―豊胸サプリで月経不順・不正出血などが続発
事務局・ジャーナリスト 植田武智
豊胸効果をうたうサプリメントで、女性の月経不順や不正出血などが続発していると、国民生活センターが7月13日に注意喚起を行ないました。
サプリメントの成分を調べたとこと、天然型の女性ホルモンと同等の強さの成分(植物性エストロゲン)が入っていました。
タイ原産の若返りの民間薬
7月13日に国民生活センターが、「美容を目的とした『プエラリア・ミリフィカ』を含む健康食品―若い女性に危害が多発! 安易な摂取は控えましょう」という注意勧告を公表。
同日に厚労省と消費者庁も注意勧告と被害情報収集を発表しました。
化学物質になじみのある国民会議の読者の方でも、「プエラリア・ミリフィカ」という名前を聞いたことない人が多いでしょう。
筆者も正直知りませんでした。
この成分、実はインターネットの美容系情報サイトでは超人気で、「美容・バストアップを強力サポート」「バストアップ・アンチエイジング」などの効果をうたい宣伝されています。
では「プエラリア・ミリフィカ」とはいったい何なのでしょう。
タイを原産とするマメ科の植物で、根が肥大化した「塊根」という部分に女性ホルモン作用のある成分(植物性エストロゲン)を多く含んでいます。
タイでは伝統的に若返りの民間薬として使われてきたそうです。
生理不順・不正出血など年間100件近くの危害報告
女性ホルモン作用があるということは、豊胸効果も確かにあるのでしょうが、体内のホルモンバランスが崩れることでさまざまな副作用が出る可能性も考えられます。
国民生活センターの集計では、総数209件の危害情報が寄せられていて、特に2015年~2016年に集中し年間100件近く寄せられています。
そのほとんどは女性で、51% は10歳~20歳代の若い人たちです(図)。
危害情報の内容は、吐き気・頭痛・倦怠感などの一般的な症状に加え、生理不順・不正出血という女性ホルモンと関連する症状も多数あります。
紹介されている危害事例を見ると、バストアップ効果を期待する若い女性からの相談が多いのが特徴です。
「女性らしい体型になるという健康食品を定期購入し、初回分を飲んでいると大量の不正出血が起こった。この健康食品が原因とは思わずに飲み続けていたが、病院に行くと、子宮内膜が厚くなっているとのことで、健康食品との因果関係は分からないが飲まないよう言われた」(30歳代女性)
「服用を継続したところ、生理が止まってしまいサプリメントの服用をやめたら体調は回復した」(30歳代女性)
「バストUPとスリム UP を同時にかなえるというサプリを定期購入したところ、全部飲み終わらないうちにバストに発疹が出てきた。医者の治療を受けたが、ホルモンが増え乳腺症が起きているので飲用を止めるよう指示された」(20歳代女性)