中国では2009年に自国内でのフィプロニルの製造・使用を禁止していますが、輸出された農産物からはフィプロニルが検出されることがあります。
そうした農作物が輸入されてしまう、国民の命を守ることに無防備な日本で、私たちの健康は大丈夫なのでしょうか。
2016年3月、日本経済新聞に「農薬がトンボに悪影響―国立環境研 水田で実験」という記事が掲載されました。
イネの栽培に使用されたフィプロニルによって、トンボの発生や生育に悪影響が出たとする研究結果が、国立環境研究所の五箇公一氏らによって発表されました。
その研究ではフィプロニルを使用した水田のヤゴ(トンボの幼虫)はほぼ全滅したという結果が出ています。
フィプロニルは、ネオニコチノイド農薬と同様に、根から吸われた薬剤を害虫が植物の汁から吸うことで殺虫効果が発揮される浸透性農薬の一種です。
日本では農薬の中でも“劇物”指定の農薬で、神経毒性があり痙攣や振戦を起こし、肝臓、腎臓、甲状腺にも影響を与えます。
本紙の特集でも以前報告しましたが、水系生物への影響は大きく、米国ではルイジアナ州ではフィプロニルで種子消毒されたイネが水系を汚染してミシシッピ川流域でザリガニが大量死しました。
農薬製造会社のバイエルは多額の損害賠償金を支払ったといわれています。
また、フィプロニルは、家庭用殺虫剤への使用も認められています。
ホームセンターなどで販売されているゴキブリ退治用の家庭用殺虫剤「ブラックキャップ」、ペットのノミ駆除薬「フロントラインプラス」などの有効成分はフィプロニルです。
一回でも使用したことがある人は、その抜群の効き目に驚いているはずです。
残留農薬基準の低さが示す極めて高い毒性
フィプロニルの毒性は極めて高く、PRTR 法で第一種指定物質に指定されています。
体重1kg あたりの 一日許 容 摂 取 量(ADI)は、0.00019 mg/kg/day で、日本で登録されている農薬の中で最低レベルの値です。
ちなみに2007年12月から08年1月にかけて起きた中国冷凍餃子中毒事件で問題となったメタミドホスですら、ADI はフィプロニルより3倍以上高い0.0006 mg/kg/day ですから、どれほど毒性が高いか分かるでしょう。
それでは、現在よく使用されているネオニコチノイド農薬の一成分であるイミダクロプリドと農薬残留基準を比較してみましょう。
コメ(玄米)は、フィプロニルが現 行の基準値は0.01ppm に対して、イミダクロプリドは1ppm。
小麦はフィプロニルが0.002ppm に対してイミダクロプリドが0.2ppmと両方ともフィプロニルの方が100分の1低い値です。
ということは、それほど毒性が高いということを意味します。
野菜では、小松菜はフィプロニルが0.002ppm に対してイミダクロプリドは5ppm です。
ここまで基準値を低く定めなくてはならない毒性が高い農薬を、どうして農作物に使用する必要があるのでしょうか。
日本で、コメ、野菜、果物などへのフィプロニル製剤の使用について、今後とも「基準値以内なら安全」だとしてよいのでしょうか。
その安全性を再検証する必要があると思います。
runより:ブラックキャップやコンバットの危険度はネオニコチノイドと同等なのですが一応無いと困る物なんですよね(´・ω・`*)
他の殺虫剤が使えないと言える化学物質過敏症ではゴキブリにだけは使わせてほしい気がします。
他はもちろんアウト。