8: グリホサート(ラウンドアップ) | 化学物質過敏症 runのブログ

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・抗生物質耐性菌の増加
http://mbio.asm.org/content/6/2/e00009-15.full.pdf
抗菌剤、特に抗生物質が現代の医療に果たす役割は大きい。

しかし、抗菌剤が効果を発揮しえない耐性菌の発達は大きな問題になっている。例えば、世界保健機構は昨年次のように述べている。
「60 年間より長い間、抗菌剤の使用が適切であろうとなかろうと、感染が共同体もしくは病院で起ころうと、抗菌剤は感染症を治療する万能薬と見なされてきている。
すでに 1945 年のノーベル賞受賞スピーチで、ペニシリンを発見したアレクサンダー・フレミングはこれら注目すべき医薬品に細菌が耐性を持つだろうと警告した。耐性の発達は微生物の正常な進化過程であるが、抗菌薬の広汎な使用が及ぼした選択圧により加速されている。感染予防とコントロール方法を守らないと、耐性をもつ系統が増殖し、広がる」 (World Health Organization 2014)。
耐性菌が現れても、様々な抗生物質を開発することにより、人類は問題を切り抜けてきたが、耐性菌がない新しい抗生物質の開発は限界に近づいている。

耐性菌が発生を促進する原因として抗生物質などを多用することが指摘され、医療現場の多くでは慎重な利用が行われつつある。
抗生物質以外にも耐性菌出現を加速させる要因として、Kurenbach et al. (2015)はグリホサートなどの除草剤使用をあげている。
サリチル酸が多剤耐性を誘導すると、Cohen et al. (1993)は大腸菌を用いた研究で報告した。Kurenbach et al. (2015)はジカンバや 2,4-D の構造がサリチル酸に似ていることから、大腸菌やネズミサルモネラ菌で薬剤耐性を引き起こすか否かを調べた。

グリホサートはおそらく対象として用いたものと思われる。
Kurenbach et al. (2015)らはこれらの除草剤の市販製剤と抗生物質(β-ラクタム系のアンピシリンやニューキノロン系のシプロフロキサシン、クロラムフェにコール、アミノグルコシド系のカナマイシン、テトラサイクリン)にネズチフス菌や大腸菌を同時に被ばくさせた。
この研究で、除草剤を同時に加えると,抗生物質感受性が経変化することがわかった。
除草剤に対する反応は種によって異なる。

ネズミチフス菌が死なない濃度のジカンバと2,4-D に曝されると、アンピシリンやクロラムフェニコール、シプロフロキサシン、テトラサイクリンに対する耐性を高め、カナマイシンに対する感受性を強くした。

ラウンドアップにさらすと、カナマイシンやシプロフロキサシンに対する耐性を高めたが、アンピシリンやクロラムフェニコール、テトラサイクリンに対する耐性あるいは感受性に影響を及ぼさなかった。

大腸菌の反応はやや異なっていた。
ダイカンバがあるとクロラムフェニコールに対する大腸菌の耐性が増加し、グリホサートがあるとカナマイシンに対する耐性が増加するのは、排出ポンプが関与しているためで あった。

なおこの排出ポンプは農薬や香料の人工ムスクによって機能を阻害され、細胞の恒常性維持を障害する可能性が指摘されているく(Luckenbach et al. 2006)。
グリホサートは遺伝子組換え作物などに大量に使用されている。

また、Kurenbach et al.(2015)が調べたこれ以外の除草剤、2,4-D(アリルオキシアルカノエート)やジカンバに耐性がある遺伝子組換え作物も知られている。
例えば、食品安全委員会(2015)のホームページを見ると、遺伝子組換え食品等の評価品目名には 228 件が記載されており、グリホサート耐性作物は 75 件、2,4- D(アリルオキシアルカノエート)耐性作物は 10 件、ジカンバ耐性作物は 5 件の評価が終了している。

評価が済んだグリホサート耐性作物にはトウモロコシやダイズ、ワタ、ピマワタ、西洋ナタネなどが、2,4-D(アリルオキシアルカノエート)耐性作物にはトウモロコシやダイズが、ジカンバ耐性作物にはワタやダイズがある。

2,4-D と記載せずアルルオキシアルカノエート系除草剤と聞き慣れない記載をしているのは、枯葉剤のイメージを嫌ったためという想像ができる。
ダイズやトウモロコシ、ナタネは多くを輸入に頼っており、これらが除草剤で汚染されているおそれがあり、現実に一部は検出されている。

消費者は十分な警戒を要するだろう。