2:ディート(ジエチルトルアミド)昆虫忌避剤   | 化学物質過敏症 runのブログ

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・神経系に対する影響
 
ディートは、稀ではあるが中枢神経障害を起こし、行動などに影響を与えることが知られている。いくつかの臨床例をあげる。
 
・ ディート被曝後に8才の少女でけいれんと急性行動変化が現れたことが報告されており、少女は抗けいれん薬による治療などを受け3日後に回復した。[4]
 
・ 弱い発達遅滞のある5才の少年がディートを含む昆虫忌避剤をデイキャンプで朝に使用した後、重度のけいれん発作を起こした。

少年は救急部でけいれんを続け、ジアゼパムで治療を受けた。

他でも発作と脳症が報告されているが、ほとんどは女性であった。

この場合は前駆症状がなく発作が現れた。

高濃度のジメチルトルアミドの使用は小児では避けるべきである。[5]
 
・ 自己治療のために毎日ディートを使用していた30才男性がいた。

使用後短時間、鎮静作用が見られ、支離滅裂になった。

攻撃性と精神病的な考えが入院を招き、病院で精神運動過剰活動や観念奔逸、誇大妄想などの異常が見られた。

ハロペリドールで治療を開始し、6日以内に臨床的改善が現れた。

ジエチルトルアミドとその代謝物は最終使用後2週間以上検出されている。[6]
 
・ 少量のディート(80 mg/kg)を子供が飲んだ事故がある。

症状は飲んだ2時間以内に昏睡とけいれんが現れた。

患者は後遺症なく回復した。

少量のディートでも重度の脳障害を起こすかも知れないのでこの化学物質の取り扱いには注意が必要であると警告した。[7]
 
 
動物での神経障害
 
・ ラットにディートを投与しても、行動への影響は、非常に多量経口投与後、探索行動増加を除いて見られなかった。[8]
 
・ ペットでもディート中毒が報告されており、被曝後短時間で起こり、振戦や運動失調、興奮が特徴である。[9]
 
 
血液脳関門への影響
 
中枢神経系はデリケートな組織であり、血液中の物質が脳に入るの選択的に制御する血液脳関門がある。

ディートは血液脳関門の透過性を低下させるという報告がある。
 
・ 湾岸戦争帰還兵の一部で起こった病気の原因としてディートとペルメトリンがあげられている。

このため、脳の透過性に対するペルメトリンとディートの影響をラットで経皮投与により調べた研究がある。

ディートのみで脳幹の血液脳関門透過性を低下させる。

ディートとペルメトリンを組み合わせて投与すると大脳皮質の血液脳関門の透過性を有意に低下させた。

血液精巣関門の透過性はディートのみ、及びペルメトリンの同時投与によって低下する。

同じ動物で、一連の行動試験を行ったところ、感覚運動成績が投与量と時間に依存して低下した。

連日のディートのみあるいはペルメトリンとの同時投与は脳透過性の低下を招き、行動を障害する。[10]
 
 
皮膚に対する影響
 
皮膚炎
 
ディートによる皮膚炎は、人間で良く知られている。2つの報告を紹介する。
 
・ ディートを使用していた10人の兵士が肘のくぼみが赤くなったために訪れた。

兵士は発赤が現れる2、3時間前に50%ディートを使っており、臨床症状は発症時には灼熱感と発赤、水疱であり、次いで一部の症例では潰瘍化と瘢痕化が続いた。

この一般的な忌避剤使用にも用心すべきであると警告している。[11]
 
・ ディートによって子供の全身に蕁麻疹が起こった例がある。[12]
 
・ ディートはウサギで弱い皮膚刺激を起こす。[31]
 
・ テンジクネズミで皮膚感作を起こさないが、人間でアレルギーが起こった、稀な症例がある。[31]