3:ディート(ジエチルトルアミド)昆虫忌避剤     | 化学物質過敏症 runのブログ

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・眼の刺激
 
・ ディートは眼に中程度の刺激を与える。[31]
 
 
接触蕁麻疹
 
・ ディートは、免疫過敏性のメカニズムを通じて、接触蕁麻疹を引き起こすことが報告されている。[13]
 
 
皮膚の透過性亢進
 
・ ジメチルトルアミドは人間や動物の皮膚で、他の物質の透過性を高めることが示されている。[14,15,16] このことは環境汚染物質を皮膚から取り込むことを促進する懸念がある。
 
 
生殖毒性
 
・ 繁殖毒性や発達毒性、催奇性はないとされている。[17,18]
 
・ ハムスターで、亜慢性投与後、精巣と精巣上体重量が減少し、精細管の変性と精巣上体管内に細胞の破片が見られた。[31]
 
 
胎児への影響
 
 
・ 妊娠期間を通じてマラリア予防薬クロロキンの予防的使用の他に、ディートを毎日使っていた母親から、精神遅滞、感覚運動協調障害、頭顔面奇形が生まれた例が報告されている。[19]
 
・ 妊娠中に多量(100, 1000 mg/kg)のディートをラットの皮膚に投与すると、胚の死亡が増加し、子ラットの体重減少が見られた。生まれたネズミで発達の遅れと、誕生後の死亡率が高い。この物質は胎盤関門を容易に通過するという。[20]
 
 
循環器に対する影響
 
・ ディートを大量に投与した場合、血圧低下作用を示す。[21]
 
 
生化学的影響
 
・ ジエチルトルアミドはアンモニアから尿素の合成と乳酸からブドウ糖の合成を阻害する。[22]
 
 
代謝
 
・ 皮膚投与後にジエチルトルアミドの分布をオートラジオグラフ法によってマウスで調べた。

投与後初期には高濃度に涙腺や肝臓、胆汁、腸内容物、腎臓、尿、鼻粘膜に見られた。

マウスの尿中への排出は投与直後最も高かったが、人間のボランティアでは数時間後にのみ現れた。マウスでは少ないが、有意な排泄が1か月後も続いていた。[23]
 
 
他の化学物質との相互作用(湾岸戦争症候群に関連して)
 
ペルシャ湾岸戦争後、帰還兵に原因不明の、疲労や記憶低下・関節痛を訴えた。

その人数は数千人から数万人といわれている。

一時は劣化ウラン弾が原因とされたが、現在は化学物質の複合的影響にも注意が集まっている。

その中でもそれ自体では深刻な影響を与えないとされてきたディートの作用に関心が向けられている。
 
・ ディートや臭化ピリドスチグミンの単独投与では脳のコリンエステラーゼ活性を低下させないが、同時に投与すると脳のコリンエステラーゼ活性を低下させる。 [24]
 
・ 雌雄のラットに神経ガス防護剤である臭化ピリドスチグミンあるいはペルメトリン、ディートを7日間くり返し投与した後、行動の試験をした。

単一の薬物を投与した後に影響は現れなかった。

雄で臭化ピリドスチグミンとディートを投与すると運動が有意に遅くなった。

雄でディートとペルメトリンを投与すると運動が有意に速くなった。

雌で臭化ピリドスチグミンとディートを投与すると、運動が有意に遅くなった。

雌で臭化ピリドスチグミンとペルメトリンを投与すると中心にいる時間が有意にのびた。

三剤を同時に投与すると有意な影響は現れない。

これらはニワトリと昆虫での行動研究と比較するとある種の類似性を持つ。

この持続する影響は人間の湾岸戦争症候群に匹敵する動物モデルである。[25]
 
・ 湾岸戦争では75万人の従軍兵の中で約3万人が原因不明の神経症状を訴えている。

このような症状が現れたのは従軍兵を守るために使用した複数の薬剤被ばくの影響と考えられる。

ニワトリにディートや臭化ピリドスチグミン、ペルメトリンを、個々にあるいは組み合わせて投与した。一種類の化学物質を投与したより、2種類を組み合わせて投与すると影響が大きく現れる。

3種の物質を同時に投与すると、さらに影響が強められる。

また、血漿中エステラーゼ活性が低いことはある種の化学物質混合物により神経障害を受ける素因であろう。[26]
 
・ ディートが他の化学物質の影響を強めることは、同様にクロルピリホスとディート、臭化ピリドスチグミンの間でも知られている。[27]
 
・ このようなディートと他の薬剤の複合的影響は、湾岸戦争症候群患者の疫学的研究でも知られている。[28]
 
 
ディートをどのように扱うべきか?
 
上に述べたように、ディートが安全な化学物質とされていても、健康障害が発生する可能性がある。

上記の影響が個人の体質によるのか、あるいはより一般的な影響なのかの解明は今後の研究課題であろう。

しかし、事故あるいは障害が発生しうることを考えると、蚊やダニ・風土病対策として使用する場合、安全を確保するためには予防的対策が必要であろう。

また、アウトドアを楽しむ場合や林間学校で使用する場合は、むやみに使わせないで、指導者や教師は事故が起こらないような使用法を指示しなければならない。
 
米国の防疫センター (CDC) [29] や米環境保護庁(EPA)[30]では障害の予防のために使用法を指示している。