6: 有機燐:クロルピリホス | 化学物質過敏症 runのブログ

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・免疫系への影響
 
最近の研究はクロルピリホス被曝後に人で免疫異常が起こることを突きとめた。
 
 ・ クロルピリホス被曝後1年から5年後の患者で、抗生物質に対するアレルギーと感受性の通常より高い頻度が認められ、ある種のリンパ球(T細胞減少とCD26細胞増加)の異常が見られた。CD26細胞は自己免疫疾患に関連する[1]。
 
 ・ クロルピリホス被曝後に、遅発性神経毒性と多くの殺虫剤に対する過敏性発現をつくむ多くの慢性疾患を患った医師の話から、免疫系障害とクロルピリホスとの関係が広く知られた。

医師は、オオアリを駆除するためにベンジオカーブとクロルピリホスで処理した休暇用の部屋で被ばくした。
 
 ・ 別の良く知られた例には、クロルピリホスを含むノミ駆除スプレーに職場と家庭で被ばくした女性の例がある。

女性には多剤化学物質過敏性が現れ、種々の命を脅かす症状に苦しんでいる[1]。

この病気は、特定の被ばく事故が、多くの化学物質に対する過敏性の引き金を引く(多剤化学物質過敏症とかMCSと呼ばれる)。

この病気は医学界で激しい論争の的になっている。

患者の洞察によると、クロルピリホスは多くの症例の原因である[1]。
 
 ・ クロルピリホスの解毒メカニズムが正常に働かない場合、個人の免疫系がクロルピリホス被ばくによって特に影響を受ける可能性がある[1]。
 
 ・ クロルピリホスオクソンの解毒に関与する酵素には幾つかの形があることが知られている。低活性の酵素を持つ人は、クロルピリホス解毒の速度が、早い人より13倍も遅いことが知られている。このことは免疫障害のみでなく、あらゆる種類の毒性に関連がある[1]。
 
 ・ 血漿パラオクソナーゼは血漿の高密度リポプロテン中にあるエステラーゼで、クロルピリホスのような有機燐殺虫剤の解毒に関与する。

また、低密度リポプロテン中にある酸化脂質を破壊することにより冠状動脈を保護する。

この酵素の機能を解明するためにパラオクソナーゼノックアウトマウスを作った。このマウスはクロルピリホスオクソンの影響に極度に敏感で、クロルピリホス自体に対して更に敏感である[12]。
 
 
その他の毒物学的問題
 
 ・ 視覚系に対する影響
 
 ・ 2年間クロルピリホスを投与した研究で、ラットの網膜に変性が現れた[1]。
 
 ・ ラットにクロルピリホスを注射した研究でも眼に影響が見られている。

網膜の電化活動は、クロルピリホス被ばく後2日まで投与量に依存した異常が見られている[1]。
 
 ・ 2年間のクロルピリホス慢性被ばくは、被ばくしないラットより体重増加が少なかった[1]。
 
 
相互作用
 
 ・ ビタミンCはクロルピリホスやダイアジノンの急性毒性を増強する[3]。
 
 ・ クロルピリホスの溶媒はクロルピリホスの毒性を強める[3]。
 
 ・ 湾岸戦争の従軍兵は、帰還してから様々な症状を訴えている。兵士は戦場で、昆虫忌避剤デートや殺虫剤クロルピリホス ・神経ガスの予防薬臭化ピリドスチグミンなどに被ばくした。1996年、デューク大学のアボウドーニアらは、これらの薬剤の単一被ばくと複合被ばくの影響について報告している[8]。
 これらの物質を組み合わせてニワトリに投与すると、単一の物質を投与するより強い神経毒性が生じた。更に、3つの物質を同時に投与すると更に毒性は強くなった。

この場合脳のコリンエステラーゼの強い阻害が起こった。

個々の物質や、ピリドスチグミンとデートとの組み合わせでは、脳の神経毒性標的エステラーゼNTE(遅発性神経毒性を見よ)の阻害は起こらないが、クロルピリホスとピリドスチグミンとの、あるいはデートとの組み合わせで、また3物質同時投与で阻害が生じた[8]。