8.治療法:DNA 概念(ルノー提唱)
私は治療法をまとめ「DNA概念(コンセプト)」と名づけた。DNAとは、
①Dwtoxification 解毒療法
②Nutritional-Therapie 栄養療法
③Anti-Stress-Management ストレス対処 マネジメント
の頭文字をつなげた略語だ。
治療の柱は、以下の通り。
①クリーンな環境と解毒
②正常分子(Orthmolecular)サプリメント(ビタミン、ミネラル、微量元素、アミノ酸)
③ストレス対処プログラム(サウナを利用した理学療法、マッサージ、スポーツ等)
④個別指導(環境医学・機能医学の基礎を個人指導する)
生化学的に個人的に違うので、個人に合わせて指導しなければならない。
しかし、こ こは非常に時間がかかるところだ。
治療の目標は、以下の通り。
①解毒能力の向上
②炎症の沈静化(体と脳内の火を鎮める)
③身体面及びメンタル面の安定
私はコソボの鉛中毒の子どもたちを治療した。非常に悲劇的なことだが、今、ヨー ロッパで200人が鉛などの有毒金属が貯蔵されているすぐ隣に住んでいる。
多くの子どもたちが亡くなっている。
私たちは、グルタチオンの静脈注射によって 解毒治療を行い、4週間後には、尿中の中間代謝産物がかなり減った。
これを真っ白にすることを目指して、その後も数ヶ月治療した。
また、ストレスはたいへん大きな問題である。こストレスは以下のことから生じる。
①「闘うか逃るか」思考=恐怖、不安、悩みを生む
②うつ感情、敗北感、無力感
③痛み症候群
④感染症、炎症
⑤低血糖症(低血糖状態)
⑥不十分・質の悪い睡眠
⑦光周期が乱される
⑧有害物質への曝露
MCSの患者も継続的にストレスに曝されている。
どこへ行っていいかわからない、 会議に参加しても香水でだめになって途中で出るなど、とにかくいつもストレスに曝されている。抗ストレスプログラムも非常に重要だ。
(1)グルタチオン やαリポ酸等を使用した解毒治療
グルタチオンやαリポ酸は、体内で生成される天然キレートである。
αリポ酸、あるいはグルタチオンを注射などで注入すると、図のように金属を取り込む。
金属そのものがなくなるのではなくて、キレート剤の中に取り込まれるのだ。
丸印の硫黄の部分が活性部位になって、ここで重金属を解毒する。
αリポ酸は肝臓で生成さ れる。
グルタチオンも同様に硫黄の部分を持っている強力な抗酸化物質(トリペプチド)で ある。
システイン、グリシン、グルタミンから作られる。
体が十分に栄養を吸収できないと、十分にアミノ酸が得られず、グルタミンが十分に作られないので、 解毒能力が下がって体調が悪化する。
グルタチオンは過酸化物を還元する。
グルタチオンは脳における最も重要な抗酸化物 質の一つで、フリーラジカルのダメージから脳を守る。
私たちは、以下の物質を静脈注射で投与するといった治療を日々行っている。
①他の薬剤が混ざらない還元型グルタチオン600mg(i.v.)週1回を4度
②大量のビタミンC投与(アスコルビン酸ナトリウム7.5g)+マグネシウムアスパ ルテート/カルシウムEAP/亜鉛/交互に投与
③セレニウム-ナトリウム100μg、ビタミンB群(葉酸を含む)
④αリポ酸300~600mg
⑤Lカルニチン1000mg
コンパクト解毒プログラムという1週間の解毒プログラムもある。
また、経口剤を 6~10週間服用して結果を 見ることもある。
経口薬投与の場合は、以下について1日1回投与する。服用量は検査結果に応じて変 更する。
①αリポ酸100~300mg
②スルフォラファン15~30mg<ブロッコリー抽出物>
③セレン<セレノメチオニン>、亜鉛、モリブデンを含むマルチミネラル
④マルチビタミン(メチルコバラミンとP-5-Pを含む複合ビタミン)
⑤ビタミンC1g(吸収がゆっくりなタイプ)
⑥ビタミンE(ガンマ-トコフェロール300mg含む)
⑦アミノ酸(グリシン、アルギニンなど含む)
(2)心肺運動連続肺活量測定
解毒治療が奏功しているかについての評価法として、尿検査だけではなく、心肺運動 をさせて肺活量を測定する。
心拍数は、運動をすると上がっていく(上のライン)。体内酸素濃度も測る。
血中に 毒素があると酸素の有効利用がブロックされ、酸素有効利用率が上がらない(下のライン)。
治療後4週間で、グラフのような正常値になった。
4週間で酸素の使用量が30%も 増加したのは非常に劇的だ。
通常では、スポーツマンなどでもこのくらい改善するのに1年くらいかかる。
結論としては、グルタチオン、ビタミンB12(メチルB12)、ビタミンD3αリポ酸は、皆さんに とって重要なので、定期的に摂っていただく。
また、メラトニンは大脳にとっても非常に良い。