94;科学的根拠に基づくシックハウス症候群に関する相談マニュアル(改訂版) | 化学物質過敏症 runのブログ

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・8.5.2. 室内の空気環境
冬季の寒さ対策には当然のこととして、寒冷の北国と温暖な南国では大きな違いがあります。

北海道では家全体を暖める全体暖房で、窓も二重窓が多く、三重窓の場合もみられます。

これに対して本州、東北地方ではこたつやストーブなどの局所暖房が多く、窓も一重窓が一般的です。

しかし、近年は、省エネルギー対策として、冬季の寒さ対策、改修において、窓の二重サッシやペアガラス、床や壁の断熱などが多く行われています。
福島市内の仮設住宅の環境調査において、冬季に使用されている暖房用の機器としては、こたつやエアコンの使用が多く、なかでも電気こたつと電気カーペットの併用が多くみられました。

石油ファンヒーター(煙突なし)や小型石油ストーブの使用もみられ、寝室の暖房については、就寝前の短時間のエアコン使用が多くみられました。

エアコンの設定温度については、各戸の設定温度はまちまちで、温度幅は 14~30℃と広いのですが、25℃の設定温度が多くみられました。
この調査において、住まいの温熱的快適性に関する満足度については、暖房をしていない場合には「かなり不満」が約 15%、「やや不満」が30%、「どちらともいえない」40%で、不快側が多くみられました。

暖房をしている場合には「満足」が 45%、「どちらともいえない」40%で、多くが満足側でした。広さや住みやすさなど総合的な室内の快適性については、快適側、不快側が各々約 30%を示し、「どちらともいえない」が40%でした。
図 8.5.3 は一事例として気温の低い 1 月の M 家の居間の1日の経時変化です。

早朝に室温は10℃と低く、日中は15~20℃を示し夜間には次第に低下していました。湿度(相対湿度)は日中には30%台の低いレベルで変動がみられ、夜間には40%台でした。

これらの変化は、暖房の使用による影響と考えられます。
空気汚染の指標とした室内の二酸化炭素の測定において、事例として図 8.5.4.に、T 家の台所での二酸化炭素の24時間の測定結果を示しました。

一般的な場合の二酸化炭素の許容濃度は、1000ppm(0.1%)です。

この事例では、二酸化炭素濃度は夕刻、夜間の多くは 1000ppm 以下でしたが、朝方に上昇し2500ppm 超の場合もみられ、炊事におけるガスコンロや換気扇の使用の有無などによる影響と考えらます。
東北地方では、一般的に窓はサッシなどにより気密性が高く、冬季には寒さ対策から窓や戸を閉め切りとして、換気には配慮されずに、石油ストーブやプロパンガス機器などの使用により二酸化炭素濃度が高く、室内の空気汚染が生じているものと考えられます。
換気の目的は、室内の汚れた空気を新鮮な空気に置き換え、室内の空気を清浄に保つことです。

換気の悪い狭い部屋に多数の人間が滞在していると、呼吸に伴い二酸化炭素が多くなり空気は汚染されます。
燃焼器具の使用の際に不完全燃焼が生ずると、一酸化炭素などの有害ガスの排出がみられます。
室内空気の汚染度は、日常的には二酸化炭素濃度などを基準として判定されます。

19 世紀後半にドイツの衛生学者のペッテンコーヘル教授が、室内の二酸化炭素の許容濃度を 0.1%(1000ppm)とし,現在もこの値が用いられています。
室内の換気回数とは、その部屋の空気量が1時間に入れ換わる回数で、1時間の換気量をその部屋の容積(気積)で割り求められます。

必要換気回数の場合も同様で、部屋の空気を清浄に保つのに必要な換気回数です。
窓や戸口の隙間などから、自然に生じる換気は自然換気です。

これには室の内外の温度差や外部の風速による影響が大きく、一般に木造家屋では自然換気量が多いのですが、鉄筋コンクリート造りの建物では気密性が高く自然換気量が少ないことから、換気扇、排気装置による人工換気が必須となります。
人工換気の方式としては、台所の換気扇のように汚れた空気を室外に排除する排気式換気法(第三種換気)と、新鮮な空気を送り込む送気式換気法(第二種換気)、および両者を併用した送排気式換気法(第一種換気)があります。
ビルなどの大きい建物で行なわれている空気調和方式では、除塵した空気を適度の温・湿度に調整しダクトによって各室に送気し、空気清浄と暖房、または冷房が同時に行なわれます。

一般家庭では、台所や浴室での排気式換気法(第三種換気)です。

冬季の暖房時には暖められた空気は上方へ移動し外部に出てゆき、冷たい空気は部屋の下部から自然に入ってきます。