一方、スウェーデン、デンマーク、フィンランドの住居において行われた研究では、MMquestionnaire
またはその類似の調査票を用いており、有症率は 10~30%のようです。これらの研究で
は、「症状は建物を離れると良くなる」という条件を付けていない場合が多いことから、先述した日
本の研究よりも高い有症率が報告されていると言えます。
同じくスウェーデンで行われた研究で、「建物を離れると良くなる」という条件を付けている場合の有症率は 3~6%と報告されており、これは日本の研究と同程度であると言えます。
また、シックビルディング症候群の眼、鼻、喉、皮膚、一般症状のいずれにおいても女性の有症率の方が高く、女性であること、アトピー性皮膚炎の既往歴があることがリスク要因となることが報告されています。
住居の特長に関しては、ダンプネスがあることが眼、鼻、喉、皮膚、一般症状の全ての症状のリスク要因となり、機械換気が眼や鼻症状のリスクを下げること、一方で複射電熱器や薪ストーブの使用がリスク要因となることが報告されています。
スウェーデン、ストックホルムの集合住宅 609 棟、14,235 軒の 18 歳以上の住人を対象とした調査があります。
これらの住宅は、1931〜1960 年に建てられた集合住宅が 25%と最も多く、古い集合住宅に関する調査であることが特徴です。
MM 調査票が用いられ、1 週間に少なくても 1 回の症状がある割合は、眼症状 8%、鼻症状 13%、喉症状 9%、皮膚症状 8%でした。
また、「その症状は建物を離れると改善するか」と特定の建物内での症状に限定した場合は眼症状 4%、鼻症状 6%、喉症状 5%、皮膚症状 4%と報告されています。シックビルディング症候群の有症率の変化については、1992 年から 2002年の 10 年間で粘膜症状の有症率の減少が認められたものの、皮膚や一般症状には変化はありません
でした。