14:科学的根拠に基づくシックハウス症候群に関する相談マニュアル(改訂新版) | 化学物質過敏症 runのブログ

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3.2.3. オフィスビルにおけるシックハウス症候群
日本の 47 都道府県の 315 オフィスとその従業員を対象として実施された調査では、United StateEnvironment and Protection Agency(USEPA)および MM040EA 調査票に基づく 19 症状項目のうち、いずれか一つ以上がいつもある従業員は 24.9%でした。

最も訴えが多い症状は「不安・過敏・緊張感」の 8.8%、次いで眼精疲労 8.0%、眼の乾燥や不快感 8.0%でした。
日本以外では、1990 年代から北欧を中心に盛んに実施されています。フィンランドで実施された調査では、鼻症状の有症率が 26~22%と最も高く、次いで一般症状が 22%でした。

スウェーデンの調査では、一般症状の有症率が 10~25%と最も高く、次いで目・鼻・喉の症状が 10~20%でした。

オフィスビルでは、換気システムの導入により換気率が上昇し、労働者のシックビルディング症候群の有症率が低下したという報告があります。また、換気率の低下がシックビルディング症候群の粘膜症状のリスク要因となることも報告され、換気の重要性が示唆されています。

その他、自然換気(窓開け)、機械排気(排気のみ)、機械換気(排気と吸気)、加湿機能のないエアコン(集中冷暖房)、加湿機能を有するエアコン、蒸気式加湿機能を有するエアコン、気化式加湿機能を有するエアコンなどの換気システムの種類によるシックビルディング症候群の有症率について検討がされ、加湿機能の有無に関わらず冷暖房設備を有する換気システムはシックビルディング症候群の眼や鼻の症状のリスク要因となるようです。

換気以外の要因としては、職場での受動喫煙を受ける頻度が多いほど、また、ビデオ表示端末装置(VDT: video display terminal)を用いる業務時間が長いほど皮膚、粘膜、一般症状のリスクが増加することが報告されています。

その他、VDT や受動喫煙のような労働環境のリスク要因に加えて、心理的ストレスや仕事のデマンド(要求度)・コントロール(自己裁量度)・サポート(上司や部下からの支援)の精神的労働環境とシックビルディング症状との関連も検討され、要求度の高い仕事と低いサポートの組み合わせがシックビルディング症状の眼症状のリスク要因となることや、緊張感が張詰めた仕事と低いサポートの組み合わせが喉症状のリスク要因となることも報告され、重要なリスク要因であることが示唆されています。
オフィスビルにおけるシックビルディング症候群については第 7 章 1 節でも詳しく述べていますので、参考にしてください。