・2006年の実験後、ファブリーズに使われている抗菌剤(QUAT)を突き止めて、マウスに経口投与した。
新生仔は1.25mg/kg以上の連続経口投与で死亡率が増加(メス28匹中10匹死亡36%、オスは2.5mg/kg以上で38%死亡)した。
生後21日目には、雄雌ともに肝臓重量の低下、乳酸量の低下と血糖上昇、萎縮性の肝機能障害が示唆された。
また、雌の新生仔の卵巣実重量の低下から性成熟の遅れが示唆された。
成獣の場合は、2.5mg/kgで尿酸値の低下、血糖値の上昇がみられた。
東京都健康安全研究センター研究年報 第61号 別刷 2010
http://www.tokyo-eiken.go.jp/assets/issue/journal/2010/pdf/01-45.pdf
海外で指摘された流産率の上昇
この記事は、雑誌「NATURE」に掲載されたもので、いくつかの実験をしている中で偶然起こった問題ということで4級アンモニウム塩の問題について書かれています。
また、同じように4級アンモニウム塩を使用して、マウスの生殖異常を確認した研究者と共同研究を行い、流産率の増加や精子異常などが起こることまで突き止めています。
究施設の消毒剤で、マウスの出産率が低下した話
この話は、家や会社、病院などで広く一般的に使われている2つの化合物によって、マウスの出産率が低下したお話です。
これは、本当に偶然の出来事が重なった結果です。
私は、マウスの生殖について研究をしています。
最初にこの異常に気づいたのは、実験用マウスを別の施設に移動したときです。
新しい施設では、殺菌効果のあるvirexという製品を使用していました。
新しい施設でマウスの交配を行ったところ、メスの10%しか妊娠をせず、しかも妊娠後期には多くの胎児が死亡しました。
また、発達異常(生育が早すぎる、遅すぎる)もありました。
マウスでこのような事態が起こることは滅多にありません。
※注釈:マウスが実験に使われる理由は、繁殖が容易で個体差が少なく、実験データがとりやすいことが大きな理由です。
通常マウスの出産率は60%程度。
このような先天性欠損は、私の研究生活過去13年間の事例でみたことがない量でしたが、新しい施設で実験を始めたところ、わずか数か月でたくさん確認できました。
この原因を特定するために様々な可能性を考えた結果、実験用マウスを入れている箱が汚染されている可能性を突き止めました。
箱を洗浄するために使用しているvirex製消毒液には、4級アンモニウム塩が含まれていました。
この4級アンモニウム塩は環境に蓄積する性質があり、簡単に取り除くことができず、使用を中止したあと何か月もかかってやっと取り除くことができました。
消毒液は、二酸化塩素のclidox製品をかわりに使用しました。
他の実験者で同じような問題が起こっていないかを調べましたが、私たちが使用している箱の企画と異なるもので条件も異なるため、参考になりませんでした。