したがって、化学物質による情報伝達因子産生や記憶機能のかく乱は、恒常性機構の維持にも大きく影響することが考えられる。
しかしながら、これまでなされてきた神経―免疫―内分泌系への化学物質による曝露の影響評価では、環境中の濃度よりはるかに高い濃度域での毒性が研究されている。化学物質の曝露による体内への蓄積あるいは代謝産物が、化学物質の毒性の発現をとうして健康影響を誘導すると考えられてきた。
だが、最近の居住環境による健康影響を評価するときに室内濃度レベルで報告されている揮発性の化学物質による健康不良の誘導は、これまで明らかになっている毒性発現の機構では説明できない反応がおきている可能性がある。
低濃度域での揮発性化学物質の曝露による神経―免疫軸を中心とした機能への影響については、国際的にも報告が非常に少ない。
そこで、われわれは、低濃度域における化学物質の影響は、におい情報、刺激情報として認識され、体内で情報として蓄積されていく過程、あるいはその情報の蓄積が神経系、免疫系で何らかの影響を誘導し、遺伝素因と関連して恒常性の維持機構の破綻、
あるいはかく乱として現れることを仮定した。
記憶機能への影響についての研究は、神経、免疫に共通で生命維持機能としての役割の解明だけでなく、現実に問題となっている認知症や化学物質過敏症での集中力、記憶力の低下の解明に繋がる。
また、アレルギー反応の増悪において重要な記憶産物であるIgE抗体の産生は抗体クラススイッチの機構のかく乱がかかわっている可能性があり、それら機構にかかわる情報伝達分子への影響解明は鋭敏な指標の探索になりえると考えられた。
本研究では、神経―免疫―内分泌系の機能のなかで情報の蓄積される記憶機構に焦点をあてしたがって、化学物質による情報伝達因子産生や記憶機能のかく乱は、恒常性機構の維持にも大きく影響することが考えられる。
しかしながら、これまでなされてきた神経―免疫―内分泌系への化学物質による曝露の影響評価では、環境中の濃度よりはるかに高い濃度域での毒性が研究されている。
化学物質の曝露による体内への蓄積あるいは代謝産物が、化学物質の毒性の発現をとうして健康影響を誘導すると考えられてきた。
だが、最近の居住環境による健康影響を評価するときに室内濃度レベルで報告されている揮発性の化学物質による健康不良の誘導は、これまで明らかになっている毒性発現の機構では説明できない反応がおきている可能性がある。
低濃度域での揮発性化学物質の曝露による神経―免疫軸を中心とした機能への影響については、国際的にも報告が非常に少ない。
そこで、われわれは、低濃度域における化学物質の影響は、におい情報、刺激情報として認識され、体内で情報として蓄積されていく過程、あるいはその情報の蓄積が神経系、免疫系で何らかの影響を誘導し、遺伝素因と関連して恒常性の維持機構の破綻
あるいはかく乱として現れることを仮定した。
記憶機能への影響についての研究は、神経、免疫に共通で生命維持機能としての役割解明だけでなく、現実に問題となっている認知症や化学物質過敏症での集中力、記憶力の低下の解明に繋がる。
また、アレルギー反応の増悪において重要な記憶産物であるIgE抗体の産生は抗体クラススイッチの機構のかく乱がかかわっている可能性があり、それら機構にかかわる情報伝達分子への影響解明は鋭敏な指標の探索になりえると考えられた。
本研究では、神経―免疫―内分泌系の機能のなかで情報の蓄積される記憶機構に焦点をあて、比較的低濃度の揮発性有機化合物に着目し、
1)嗅覚系を介した脳・神経系における情報伝達の過程、および海馬を中心とした記憶にかかわる領域での解析、
2)呼吸器系を介した免疫系リンパ性器官への情報伝達、最終的な記憶産物としての抗体産生までの情報伝達経路における解析
、3)化学物質曝露後の脳内動態と環境中揮発性化学物質濃度の実態把握を加味して神経
―免疫系における記憶機能のかく乱作用を考察し、その健康リスク評価に役立つ指標の探索、及び手法の開発を目的とした。、比較的低濃度の揮発性有機化合物に着目し、
1)嗅覚系を介した脳・神経系における情報伝達の過程、および海馬を中心とした記憶にかかわる領域での解析、
2)呼吸器系を介した免疫系リンパ性器官への情報伝達、最終的な記憶産物としての抗体産生までの情報伝達経路における解析、
3)化学物質曝露後の脳内動態と環境中揮発性化学物質濃度の実態把握を加味して神経―免疫系における記憶機能のかく乱作用を考察し、その健康リスク評価に役立つ指標の探索、及び手法の開発を目的とした。