・1.香粧品用香料に係わる規制
2006年現在、香粧品用香料に関しては、欧州におけるEU化粧品指令で一部規制されている以外は、香粧品香料とその素材そのものに対して国レベルで規制する法は存在しない。
各企業独自の自主的な規制のみ存在する。
1.1.国際的な規制・組織
公的機関による法規制は行われていないが、香料業界では安全性に関する意識は高く、香料の安全性確保のために自主的に国際的な基準を設けている。
香料原料の安全性を調査し、評価を行うのに必要なデータを提出する研究所であるRIFMと、その結果を受けて統一使用基準を作る組織であるIFRAがある。
以下にその概要と主な活動を示す。
RIFM(Research Institute for Fragrance Materials)
・1966年米国ニュージャージーで設立された非営利の研究機関で、世界約80社が参加
・香料物質の安全性情報の収集と不足テストの実施
・標準試験法、評価法に関する検討や情報の配布及び学会・政府機関との連携
・独立した専門家集団(REXPAN)による香料素材のリスク評価
・試験/評価結果を"Food and Chemical Toxicology"に発表
IFRA(International Fragrance Association)
・1973年ジュネーブで設立(現在はブリュッセル)された組織で、15ヶ国の香料団体が加盟
・RIFMにおけるリスク評価の結果を受け、IFRA Code of Practice の策定と実施(リスク管理)
・関連法律・規制の収集と、これら情報の会員、関係機関への周知・普及
香料素材ごとに作成されたIFRAスタンダードは、IFRAの”Code of Practice”により統括管理され業界規範とされており、年に1回修正されている。使用禁止、使用制限、規格制限が存在し、2006年からは罰則も設けられるようになった。
日本でもこのIFRA規制が遵守されている。
サイエンスの追求(RIFM)とリスク管理、広報活動(IFRA)のグローバルな共同体制を通じて、その目的の遂行に邁進する。
出典:本標準技術集のために作成
参考:「2005年のIFRA活動について」、香料 No.230 2006年、鈴木潤、浅越亨、松尾弘幸著、日本香料協会発行、58頁
第2回化粧品産業技術展パネル、2005年6月15日~17日、日本香料工業会作成
「食品香料の国際法規との関わり」、高砂香料時報 No. 146 2003年、佐藤朗好著、高砂香料工業株式会社発行、6‐9頁