・世界を対象とした持続可能社会の見通し
世界に目を向けると、2015年に国連で開催された「持続可能な開発サミット」において、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択され、その中には2030年を対象に、貧困や飢餓の撲滅や気候変動対策など17のゴールからなる持続可能な開発目標(SDGs)が含まれています。SDGsの前身は、2000年の国連ミレニアムサミットで示された、2015年を対象に8つのゴールからなるミレニアム開発目標(MDGs)です。
MDGsでは途上国が対象でしたが、SDGsでは日本を含めた全ての国が対象となっています。
こうした指標による取り組みとともに、将来の環境の見通しやシナリオも様々な機関で示されています。気候変動問題に関するものですが、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2000年に報告した排出シナリオに関する特別報告書(SRES)では、2100年までの温室効果ガス排出シナリオが社会経済活動の状況とあわせて提示されました。国立環境研究所もその定量化には深く関わり、ここで示されたシナリオ群は、その後の環境を対象としたシナリオ研究の基礎となり、将来の生態系サービスを評価したミレニアム生態系評価(MA)などにも反映されています。
また、SRESは、IPCCの第5,6次評価報告書に向けて、放射強制力と呼ばれる地球を暖める能力をある水準に安定化させるような温室効果ガス排出シナリオを定量化した代表的濃度経路(RCPs)や、将来の社会経済の状況を示した共通社会経済シナリオ(SSPs)へと発展しています。
このほか、国連環境計画(UNEP)では世界環境見通し(GEO)を継続的に報告し、経済協力開発機構(OECD)でも環境見通しを公表してきましたが、国立環境研究所でもこうした活動に関わってきました。