多種化学物質過敏症(MCS)の治療2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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4.MCSの原因
 MCSの原因としては、①突発的な先行事件、②トリガー(発症のきっかけ)、③メディエータ(憎悪因子、仲介因子)の3つがあります。
1)突発的先行事件
 まず、突発的先行事件とは、溶剤、ペンキ、殺虫剤、厚生物質、重金属等といった化学物質に過度に暴露するという事件に突発的に遭遇したとき、それが誘因となって、MCSを発症してしまうということです。
2)トリガー
 次に、患者の火のついた状態(慢性大腸炎や消化不良など)を継続的に引き起こす原因となっているものが、寄生虫、病原性バクテリア、酵母菌、カビ菌、食物抗原、毒物摂取などです。

これがトリガーになっています。
 腸の機能が損なわれることで、解毒のための酵素の働きが落ちてしまったり、腸管の神経細胞にストレスを与えたりしてしまっているため、このようなダメージを治療する必要があります。
 一方、MCSの患者の場合、溶剤、プラスチック、香水、医薬品など、化学組成の異なる化学物質に曝露されると、継続的な曝露か偶発的な少量曝露かにかかわらず、MCS発症のトリガーになるおそれがあります。したがって、これらの原因を突き止め、取り除く必要があります。
3)メディエータ
 メディエータとは、病状の発現に寄与する媒介因子や代謝産物のことです。

これもまた、トリガー同様、それ自体が病気の原因となるわけではありません。

メディエータには、生化学物質(サイトカイン、プロスタノイド等)、イオン(水素イオン等)といった物質の他に、社会的因子、心理学的因子、文化的因子といった多種多様なものが考えられます。
 MCSの患者は、個々人がそれぞれに、上記のような3つの異なる発症の原因を持っています。

脳と体に火をつける慢性的な炎症を抱えているような状態なのです。
5.治療:DNA概念(ルノー氏提唱)
 私は、MCSの治療法を3つの柱にまとめて、それを「DNA概念」と名付けました。
 その3つとは、①解毒療法(Detoxification)、②栄養療法(Nutritional-Therapie)、③ストレス対処マネジメント(Anti-Stress-Management)です。
 この治療の目的は、解毒能力を向上させるとともに、身体と脳内の炎症を鎮静化させ、心身ともに安定させることにあります。
 具体的には、クリーンな環境に身を置いて解毒をすること、ビタミン、ミネラル、微量元素、アミノ酸といったサプリメントを摂取すること、サウナを利用した理学療法やマッサージ、スポーツ等を通じてストレスを取り除くことなどを行います。

個々人にあった治療を行っていくため、環境医学・機能医学に基づいた個人指導も実施しています。
 また、MCS、食物アレルギー、注意欠陥多動性障害、自閉症、炎症性腸疾患などを治療する解毒プログラム(Hepar-Tox)を開発し、天然キレート剤であるαリポ酸やグルタチオンにより解毒を行っています。
 MCSの診断方法のひとつとして、オーガニクス総合分析というものも行っています。MCSの発症者は、化学物質と闘うために、体内の必要な酵素などを使い果たしています。

酵素不足の状態では、食事で摂った栄養を体が利用できる物質へ変化させることなどができなくなり、変化途中の物質(中間代謝生成物)の形で尿と一緒に排泄されます。

そこで、尿中の中間代謝物の種類を調べれば、その人はどの酵素などが不足しているのかがわかり、それらを補うために摂るべきサプリメントの種類も分かるというものです。

6.環境建築物
 MCSの患者は、安全な環境で治療を受けることが必要です。

そこで、1985年に、MCSなどの診療を行うドイツ初の環境医学センターである「環境病研究所(IFU)」をバード・エムシュタールという所に設立し、1989年には当時最新の環境建築の知見(エコ塗料、電磁波シールド、安全な家具など)を結集した研究所の建物を造りました。
 MCS発症者の治療のためには安全な環境の建物が必要であることから、IFUの建物は化学物質や電磁波について対策を行っています。

また、ヴォルフハーゲンの古いホテルをエコホテルに改装するための投資者を募集しています。
7.最後に
 環境汚染は、グローバル化する世界において深刻化しつつあります。私達は、子どもたち、つまり次世代の脳と免疫システムをもてあそんでいるのです。機能性医学と環境医学こそ21世紀の医学です。
            (報告: 広報委員会 SA)