多種化学物質過敏症(MCS)の治療 | 化学物質過敏症 runのブログ

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多種化学物質過敏症(MCS)の治療
環境研究所(IFU)医師
クラウス・デートリッヒ・ルノー氏
1.多種化学物質過敏症(MCS)とは何か?
 MCS患者は、日常生活で普通に使われている多くの有害化学物質に、ごく微量で反応してしまいます。

化粧品、洗剤、建物内の汚染物質、香水、食物中の添加物等、有害化学物質はいたるところで使われています。

MCS患者は、頭痛、めまい、胃腸障害、筋肉痛、かゆみ・むくみ、関節痛、胃けいれん、慢性的な体調不良といった症状に悩まされます。まさに体に火がついているような状態なのです。
 主流医学のMCSに対する理解はいまだに遅れています。

多くの医師は、MCSを心因性の精神的な病気だと思っています。
2.機能性医学とは
 機能性医学とは、病気中心の医学から離れて、患者中心の医学へと転換しようというものです。

症状は氷山の一角にすぎません。

症状だけを診るのではなく、患者の生活環境にも注目する必要があるのです。現在の病気が発症する前に、患者がどういう健康状態だったか、どういう生活をしていたかを知ろうとすることが必要なのです。
そのような観点に立った診断として、私は、①ホモシステイン、高感度CRP、インターロイキン6、ビタミンD3を含む血球数測定、②髪、血液、尿中の有害物質の測定、③オーガニクス総合分析、④ポルフィリン・テスト(重金属による毒性影響の判定)、⑤フタル酸塩(類)の検査、⑥新技術であるIgG4抗体とグルテン感受性テストを使った食物アレルギー検査、⑦検便、⑧MRTといった検査を行っています。
3.特異的順応症候群(SAS)
 環境医学者であるセロン・ランドルフ教授(内科医、精神科医)は、化学物質過敏症には発症前に長期にわたる順応期があるということを発見し、「特異的順応症候群(The Specifi c AdaptationSyndrome:SAS)」という概念を構築しました(図参照)。
図 特異的順応症候群(SAS)

 SASは、①警告期、②順応期、③疲労期の3つのステージに分けられます。

第一期の警告期は、ストレス因子となるアレルゲンを摂取した時に、一時的に気分が落ち込むのですが、それは短期間で終わります。

次に、ストレス因子を継続的に摂取していくと、第二期の順応期に入ります。

この期間のほとんどは、気分は高揚していて、自覚症状はありません。この期間は数カ月から数年にわたります。

その後もさらにストレス因子の摂取が続くと、移行期を経て第三期の疲労期に入ります。

ここではじめて病気だという自覚症状が出てくるのです。

この順応という反応は個人個人で異なっているため、特異的順応症候群と名付けられています。