シックハウス症候群感受性候補遺伝子の機能解明と疾患モデル2012 年度 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・2012 年度 実施状況報告書(基金分)

研究概要

シックハウス症候群の患者群と健常者群の遺伝子型相関解析の結果、患者群のneuropathy target esterase(NTE:PNPLA6遺伝子にコードされる)の酵素活性が高く、また患者群に特徴的な遺伝子型が存在することを明らかにした。

環境要因の代表とされる有機リンに高感受性のニワトリと発生工学面で優れた遺伝子操作マウスを用いてシックハウス症候群発症のメカニズムを追求し、遺伝子と環境の相互作用に着眼した、新しい環境医学研究を開拓することを目的とする。
1.ヒトPNPLA6遺伝子の多型解析(坂部、木村)―現在ほぼ200名程度の血液DNA があるが、公刊論文を発表した。

2.NTE(PNPLA6遺伝子産物)酵素活性変動に関する比較検討(木村、梶原)複数の生物種あるいは臓器での活性を測定した。ヒトでの日周期変動や環境条件による変動については未検討。

3.ヒト・マウス・ニワトリPNPLA6(pnpla6)遺伝子の解析(木村、大塚、梶原)ヒトから微生物まで極めて保存性の高いNTE遺伝子の構造についてのin silico解析を行い立体構造の予測を進行中。

4.ニワトリを利用した有機リン投与とpnpla6遺伝子発現の関連解析(大塚、梶原、木村)ふ化後のNTE発現量や有機リン(DDVP)に対する活性低下は未解析だが、有機リン投与胚のNTE活性の低下動態とほぼ全例(107/109例)での脳での出血を見いだしている。

5.マウスを利用したpnpla6遺伝子の機能解析(大塚、梶原、木村)発現を保証できる効率的な独自改良(Ohtsuka, M. et al. 論文参照)の過剰発現系で遺伝子操作マウスを作成出来た。

6.細胞レベルでのNTE遺伝子およびDDVPの血管造成における機能解析(梶原、増田)培養細胞もしくは遺伝子操作動物由来の細胞を用いて過剰発現時あるいは低発現時の細胞の動態については未解析。 
 

現在までの達成度 (区分)

現在までの達成度 (区分)

おおむね順調に進展している

理由

ニワトリやヒトでの解析に比べ、トランスジェニックマウスについては、まさに挑戦的な方法で作成することができたことは非常に順調といえる。

さらに新規な方法も開発出来た。

また、ヒトでの解析も論文にすることができたので(1)か(2)の自己評価になるが、他の生物種での検討を後回しにするので(2)とした。
 

今後の研究の推進方策

得られたトランスジェニックマウスは世界初のものであり、他の計画に先んじて詳細な解析に集中したい。

また環境要因の検定系としての利用価値も出てくると思われるので、ニワトリやヒトでの研究計画を少し先に延ばす。