4. 動物管理
4.1 飼育条件
適切な生物学的防御がなされた環境の飼育室で動物を飼育した。
飼 育 室 : 第12飼育室(検疫・馴化期間は第11あるいは第12飼育室)
温 度 : 実測値;19~22.5℃(設定範囲;22±3℃)
相対湿度: 実測値;54~61%(設定範囲;55±10%)
照明時間: 12時間(7:00~19:00)
換気回数: 15回以上/時間
飼 育: 1匹/ケージ(検疫および馴化期間も1匹/ケージ)
ケージ交換頻度: 1または2回/週
給水瓶交換頻度: 2または3回/週
4.2 収容ケージおよび床敷
動物は床敷を入れたプラスチック製ケージ(トキワ科学器械㈱:W260×L412×H195mm)で飼育した。
プラスチック製ケージは常圧蒸気殺菌して使用した。床敷として用いたベータチップ(Northeastern Products Co., NY, USA)は高圧蒸気滅菌して使用した。ステンレス製ケージ蓋は高圧蒸気滅菌して使用した。
床敷中の環境汚染物質については、オリエンタル酵母工業㈱より分析値を入手した。
分析値は㈱DIMS医科学研究所(以下、「当研究所」という。)で定めている基準に適合していた。
4.3 飼料および給餌方法
低線量照射(6kGy)オリエンタル酵母工業㈱製MF固形飼料(使用原末Lot No.041202)を使用した。
固形飼料はケージトップに設置したステンレス製給餌器に入れ、自由に摂取させた。
飼料中の環境汚染物質については、オリエンタル酵母工業㈱より使用ロットの分析値を入手した。分析値は当研究所で定められている基準に適合していた。
4.4 飲料水および給水方法
一宮市上水道水を、透明な給水瓶を用いて動物に自由に摂取させた。給水瓶および給水栓はソフト酸化水で消毒したものを用いた。
飲料水の水質は㈱環境科学研究所(名古屋市北区若鶴町169)で分析を行い、当研究所で定めている水質基準に適合していることを定期的(年2回)に確認した。
4.5 個体識別法
検疫並びに馴化期間中は、ケージラベルに試験番号、仮ケージ番号、仮動物番号および動物管理責任者名を明記した。
群分け後は、ケージラベルに試験番号、ケージ番号、照射レベル、群番号、動物番号、実験期間(飼育期間)とその開始および終了年月日、試験責任者名を明記し、更に群毎に異なった色のカラーテープをそれに貼付した。
さらに動物の被毛には群毎の色をつけ、個体識別のため各群の動物番号の若い順に黒マジックで1から5の番号を尾につけた(マジックインキ法)。
5. 群構成
妊娠ラットの入手ロット毎に、それぞれの群分け時に体重の軽い動物または検疫・馴化期間中の体重の増加が少ない動物を2匹除外し、コンピューターによる体重を基にした乱塊法により次表の如く4群に群分けし、群分け時の体重が各群間に統計学的な有意差のないことを確認した。
なお、群分けは照射開始日の前日に行った。
各群の妊娠ラットの動物数および動物番号は次表の通りであった。
6. 試験方法
6.1 実験期間: 14日間(各ロットの照射開始から帝王切開まで)
6.2 実験計画
妊娠動物を、妊娠7日から17日の間午前中に1回、保定器(3号あるいは4号)に入れ、電磁波ばく露箱(2、4、7番)にセットし、暗条件下で1日1.5時間照射した。
なお、セットするばく露箱番号が群毎に偏らないように、ばく露箱は毎日変更して使用した(例:2番のばく露箱に第2群をセットした翌日は、4番にセットした)。
また、無処置対照群として保定器に入れない群も設けた。
なお、保定器に慣れさせる目的で全匹、入荷直後から実験開始日までケージ内に保定器(4号)を入れて飼育した。
妊娠動物については妊娠期間中(妊娠7~20日)毎日体重を測定し、妊娠20日にエーテル麻酔下にて帝王切開を行った。
帝王切開時に妊娠黄体数、着床痕数、生存胎児数、胚・胎児死亡数を調べた。生存胎児は性別判定、胎盤重量測定、胎児重量測定および外表観察を実施した。
さらに、内臓検査あるいは骨格検査を実施した。
6.3 電磁波照射レベル
長期局所ばく露実験制御ソフトウエア(NTTアドバンステクノロジ㈱ワイヤレスシステム事業部作成)の指示に基づき、照射を行った。
ばく露は脳平均SARが0.67および2.0 W/kgとなるように設定した。
そのために必要なアンテナ入力電力は数値解析により計算し設定(低ばく露0.1675W、高ばく露0.5025W)した。
6.4 電磁波ばく露量設定の理由
平成9年度郵政省電気通信技術審議会の答申で勧告されている局所吸収指針値(携帯電話等の人体近傍で使用する電磁波利用機器に適用)で一般人に対するばく露許容量(任意の組織10g当たりの局所SARが2W/kgを越えてはならない)に基づいて設定した。
6.5 動物の保定方法
ラットの体重に対応させた保定器(3号あるいは4号)を用い、頭部をアンテナ側に向けて保定した。