2.10 標本サイズについて
本研究においては、最終的には感受群として20名を対象とし、それぞれ同数の対照群を対象にすることとする。その根拠としては、次の点が挙げられる。
① 先行研究として考えられるオランダのTNO研究では、ばく露条件において各群24名の被験者で行なった実験であること。
② 感受群として、多くの人数が集まることが予想できないこと。
③ 1人の被験者の実験の実施について延べ3日かかることを考慮すると、感受群、対照群合わせて40人程度の実験が物理的に限界であること。
以上の①~③を勘案し、本研究においては、各群の対象者を20名とする。
しかしながら、調査票によるパイロット調査の状況等をTNO-Studyの結果とすりあわせ何らかの関連性が示唆されるような場合、統計的条件を十分に満足させるため、標本計画の見直しを行なうこととする。
2.11 被験者の保護と情報の取り扱い
2.11.1 個人情報の保護
本研究において、第1段階である調査票を用いた断面調査では、調査主体である調査会社が個人情報の保護についての措置をとり、本研究班は調査会社と個人情報保護に関する契約を結び、その監督責任を負う。
研究班では、郵送調査によって選抜された候補者の個人情報を取り扱う。
なお、この調査会社は、経済産業省の「民間部門における電子計算機処理に係る個人情報の保護に関するガイドライン」を遵守する機関に付与されるPマーク(プライバシーマーク)並びにISO9001(品質マネジメント規格)を取得している事業所である。
第2段階の実験的研究では、被験者となる者の個人情報については主任研究者が指名した個人情報取扱者によって厳重に管理・保管を行なう。
個人情報取扱者は個人情報の機密保持についての誓約書を主任研究者に提出するものとする。個人情報取扱者については、個人情報の入ったPCを取り扱う際には指紋認証機能を用いて、第三者による操作を不能にする措置を講じる。個人情報の厳重な管理・保管の責任のすべては主任研究者が負う。
2.11.2 個人の実験データの保護
主任研究者および個人情報取扱者は、被験者に対して整理番号を付与する。
研究者が取得した実験データについては全て整理番号のみで管理され、個人情報は実験データには含めない。ま
た、実験データを保存するPCはパスワード機能によりデータへのアクセスを制限すると共に、印刷されたデータ等も含めて、施錠できる収納庫に保管するものとする。
個人情報に関しては、本研究の結果が査読のある学術論文として出版された時点で抹消する。
しかしながら匿名化されたデータについては有効な活用を行なうため、主任研究者の責任において保存・管理を行なう。
2.11.3 安全上の配慮
被験者に対して行なう電磁界ばく露については、総務省電波防護指針の基準値に照らし合わせても十分に小さい値であるので、身体的影響はないと考えられる。
-また与える騒音レベルは「環境基本法第16条第1項の規定に基づく、騒音に係る環境上の条件について生活環境を保全し、人の健康の保護に資する上で維持されることが望ましい基準(環境基準)」を満たすレベルのものである。しかしながら、電磁界感受群について、身体的・精神的に予期しない異常な反応がある可能性も考慮し、実験はいつでも緊急停止可能なシステムを構築する。
また、被験者の申し出があれば、当該被験者に対してそれ以降の実験を行わない。
また実験中に何らかの異常を申し出た場合には医師が対応できる体制で研究を行なうこととする。