43:電波ばく露による生物学的影響に関する評価試験及び調査 | 化学物質過敏症 runのブログ

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Ⅲ 試験方法

本研究においては、質問票による調査と被験者に対する実験

研究を行なう。

質問票による調査は、携帯電話と日常生活に関するもので、携帯電話の使用と身体的・心理的愁訴の関連を調べると共に、実験的研究における「感受群」、「対照群」を選抜するための前段階とする。
1. 質問票による調査
1.1 調査方法
調査票を用いた調査は、民間調査会社にその実施を依頼する。

調査会社では住民基本台帳ベースで無作為に抽出した調査対象者のデータベースをもっており、本研究においては、パイロット調査として、首都圏(一都三県)在住の20~60歳の女性、480人を対象に調査を行い、その回収率、回答の傾向を分析し大規模調査の基礎資料とする。
なお、民間調査会社は、経済産業省の「民間部門における電子計算機処理に係る個人情報の保護に関するガイドライン」を遵守する機関に付与されるPマーク(プライバシーマーク)並びにISO9001(品質マネジメント規格)を取得している。

1.2 調査票
調査票における質問項目には、属性に関する項目の他に、携帯電話の使用状況に関する質問、Rubinらの研究[7]で頻度の高い症状に関する質問、携帯電話を使用中止していた場合はその理由、基地局の電磁波に関する質問、健康状態に関する質問を行った。

しばしば起こる症状としては、体のだるさ、肩こり、めまい、不眠、皮膚症状、筋肉痛、吐き気などをあげ、症状の程度についてはよくある場合を4点、全くない場合を0点としてその間を1、2、3点に分けて集計することとした。

また、今後の研究調査の協力可否についての項目を付し、実験研究の協力への意思を確認することとした。なお、調査票の質問項目において、「妊娠中」と回答した者については、実験研究の対象者から除外した。

2. 試験研究
2.1 被験者
研究対象は、20歳~60歳の女性ボランティアとする。

上記のパイロット調査から携帯電話の使用と愁訴の関連の高い者から「感受群」を、それ以外の者から「対照群」を選抜し、被験者候補の紹介をNRC社から受けることとする。

被験者に対しては、事前に実験の内容の説明を行い、同意書(添付の参考資料)を得た場合のみ実験を行なう。
被験者人数は最終的には各群20名、計40名を目標とする(大規模調査とあわせた人数とする)。
なお、本研究の事前スクリーニング(性格検査と面接)は国立保健医療科学院にて、また実験は同院人工気候室内の電波暗室(シールドルーム)で行なうものとする。

図1にばく露装置の概略図、図2にシールドルームの内部の写真を示す。
2.2 感受性試験のためのばく露システム
2.2.1 電磁界ばく露システム
実験では独立行政法人情報通信研究機構で開発したばく露システムを用いる。

本ばく露システムは、人体に電磁界照射実験を行なうためのものである。そのため、照射量の精密な制御および安全設計が必要とされる。

照射は専用のシールドルーム内で行い、信号の制御は別室で行なう。

信号発生器(アンリツ社製MG3700A)より2GHz帯のW-CDMA方式の基地局からの電波を模擬した信号を発生し、増幅器(MILMEGA社製AS0825-65)を介して所望の電力をシールドルーム内に設置したダブルリッジドガイドホーンアンテナ(Schwarzbeck社製BBHA9120B)に入力する。

アンテナ入力電力は電力計(アンリツ社製ML2488A)でモニターされる。

また、シールドルーム内に設置する電磁界プローブ(ETS・LINDGREN社製HI-6005)により電界強度を計測する。

パーソナルコンピュータ(PC)では、設定した所望の入射電界強度に応じてアンテナ入力電力を制御するとともに、照射信号の設定値や電力計、電界プローブの出力を表示および記録する。
本システムでは、実験の安全な遂行のため、専用のソフトウェア上で予め設定した上限値を超える場合には警告およびばく露の自動的な終了等の安全装置を備えている。
被験者はアンテナから3mの位置で電界強度約10V/mに曝される。
予備実験を行なった際のアンテナ入力電力とアンテナから3mの位置での電界強度の時間推移をそれぞれ図3、図4に示す。

30分のばく露時間の間、電界強度10V/mのばく露が安定して行われていることが確認できる。