2.不均一温度場を考慮した細胞影響評価
2.1 はじめに
前年度の研究において、パルス波を用いたばく露実験を行い、平均電力が同じであれば熱ショックたんぱくの発現はピーク電力に依存しないことがわかったが、さらに多角的に検討するために、詳細な熱解析を行い実験を行った。電磁界ばく露により細胞位置の温度上昇が生じるが、その温度場は細胞位置によって異なり一様ではない。
そのような不均一な温度場において、熱ショックたんぱくの発現を定量的に解析した。
2.2 ばく露装置の仕様
この実験に使用したばく露装置は円形導波管ばく露装置である。
円形導波管ばく露装置は、導波管内に培養容器を設置する構造のため、電波の外部漏洩が小さいという特長がある。
また、円筒導波管のTM01モードを用いた装置であるため、金属終端面上に培養容器を置くことができ、熱伝達が良いことがあげられる。
ここで円筒導波管のTM01モードとは円筒導波管内で電界と磁界が図2.1に示すような分布を持つ[6]。
図2.1のような導波管内のモードを用いることにより、細胞培養容器内の細胞用培地における電磁界分布の制御が可能になり,定量的な曝露評価を行う場合に有利である。
数値解析の結果によれば、ばく露装置への入射電力1Wあたりの培地底面での最大SARが24.1W/kg、培地底面における平均SARが17.9W/kgである。
また、培地の注入量を変化させ、培地の高さを変えることにより(この実験では培地の高さを7mmとして行った)、細胞位置(本実験では付着細胞を使用しているので培地底面となる。)でのSAR分布が変化し、目的に応じた条件でのばく露を行うことが可能である。
本研究で使用した培地の高さ7mmの条件では、細胞の存在する培地底面におけるSAR分布の相対偏差が約25%であり、Kusterらの主張する相対偏差30%以内が望ましいとするばく露装置の要求を満たし[7]、比較的均一性の高いばく露を行うことが可能である。
ここでは温度制御機構を配置せずにばく露実験を行い、昨年度の研究結果を詳細な熱解析を行うことにより多角的に検討した。
ばく露実験の装置の構成は図2.4に示す。
runより:図表が多くて大変です(;´・ω・)
一部英文の表は割愛しています、訳わからんですし(^▽^;)