17:電波ばく露による生物学的影響に関する評価試験及び調査 | 化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 電磁波過敏症 シックスクール問題を中心としたブログです

Ⅲ 試験方法
1. 実験動物
実験動物は12-13週齢の雌のSprague-Dawley(SD)ラット64匹を用いた。実験の約4週前に卵巣切除処理を行い、処理から実験までに十分な回復期間をとった。
ばく露装置に装着し電磁波ばく露する「ばく露群」(16匹)、ばく露装置には装着するが電磁波ばく露を行わない「偽ばく露群」(16匹)、電磁波ばく露もばく露装置への装着も行わない「ケージ群」(16匹)、17-β-エストラジオールを投与する「E2群」(16匹)の4群に分けた。

「偽ばく露群」「ケージ群」は陰性コントロールとして、「E2群」は陽性コントロールとして用いた。温度22±2℃、湿度40±5%の条件で給水給餌装置を有するケージ内で4匹ずつ飼育を行った。
2. 血清エストロゲン値、子宮重量測定
3日連続のばく露翌日に麻酔下に心臓採血および子宮の摘出を行った(図4、5)。
血液は血清分離を行い測定が始まるまで-80℃で保存した。

摘出した子宮は付着した脂肪組織を全て除去した上で重量を測定した。
血清エストラジオール濃度の測定はSRL incに委託しラジオイムノアッセイを用いて測定した(参考資料1-5)。


図4 卵巣切除後ラットの子宮
図5 付着した組織を切除した後の卵巣切除後ラットの子宮ラットの双角子宮 ラットの双角子宮 子宮に付着した脂肪組織は全て切除した後に重量を測定した。
1

2

3. ラット脳電磁波ばく露装置
ばく露装置はBurkhardtらの報告[4]に基づき、改良修正を加えて作製したもので、基本的にはImaida らの実験[5,6]、Tsurita らの実験[7]、Yamaguchiらの実験[8]、Hataらの実験[9]に用いられたものと同じ型式である。

(平成12-16年度研究と同様)電波の外部への漏えいを防ぐため、シールドルーム内(図6)でばく露実験を行った。
3.1. 構造
今回、我々は12-13週齢の雌ラットを用い、平成12、13年度の実験の際に用いた体重制限を加えた30週齢以上のラットの実験の際と同じ直径60mmのアクリルの筒を用いて実験を行った。

このアクリルの筒を8個用意し、それぞれにラットを固定した。

筒の先端は先細りになり、その先端からラットが鼻先をだせるようになっている。

また、ラットの位置を固定するために、筒の後方には仕切り板がある(図7)。それら8個のアクリル筒を、ラットの頭部が中心に向くように放射状にカルーセルの上に配置した。

そのカルーセルを90×90×70 cmの小型電波暗室内(図8)にモノポールアンテナを中心に設置した(図9)。

ラットの体温上昇を防止し、かつ固定によるラットのストレスを低減させるためにばく露装置の上部に取り付けたファンにより新鮮な空気を送風ダクトを通じてラットに送風した(図10)。

この装置を、シールドルーム内にばく露実験用および偽ばく露実験用に計2台準備した。

図1 実験室内シールドルーム


1

図2 アクリルの筒

2

図3 電磁波ばく露箱



図4 送風ダクト、モノポールアンテナ、カルーセル
図5 ばく露装置内のラット

1

2

3.2. 電磁波周波数
1439MHz TDMA PDC方式(実際の携帯電話通信で使用されている周波数、Frameperiod 20 msec、duty比33%)を用いた。
3.3. ドシメトリ電磁波ばく露によるドシメトリはnumericalラットモデル(図11)を用いたFDTD法にて計算されており(図12)、これにより頭部・全身それぞれのSARを求めた。
図6 numerical ラットモデル
0.001 0.01 0.1 1.0 [W/kg]
図7 ラットモデルを用いたドシメトリ解析