3:電波ばく露による生物学的影響に関する評価試験及び調査 | 化学物質過敏症 runのブログ

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1. 長期局所ばく露評価試験
(2GHz帯 W-CDMA方式)
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Ⅰ 要 旨
携帯電話等で用いられる電磁波(2GHz帯高周波電磁波)の脳腫瘍発生に対する影響を検討する目的で、ラットを用いた長期頭部ばく露実験を実施した。妊娠動物(妊娠18日)にN-ethyl-N-nitrosourea(ENU)を尾静脈内に投与し、経胎盤的に脳腫瘍誘発のイニシエーション(発がん起始)処置を行った後、自然分娩によって作出した5週齢の児動物、1群雌雄各50匹、計300匹を用いた。

照射は児動物の頭部へ周波数2GHz(1.95GHz)、W-CDMA方式で脳平均SAR=0(偽ばく露群)、0.67および2.0W/kgの3種類の照射レベルで、1日1.5時間、週5回の頻度で104週間ばく露を行い、中枢神経系腫瘍の発生頻度を病理組織学的に検索した。

対照となる偽ばく露群のほかに、ばく露箱内への拘束を実施しない対照群(非ばく露群)として、ENU投与およびENUを投与しなかった(溶媒投与)妊娠動物からの児動物(1群雌雄各50匹、計200匹)も同時に飼育観察した。

雌のグループは第1から5群、雄は第6から10群とした。
ばく露各群の死亡動物数は雌雄とも偽ばく露群(第3、8群)とばく露群(第4、5、9、10群)で同程度であり、電磁波ばく露量の違いと生存率には関係が見られなかった。
非ばく露各群の死亡動物数は雌雄とも無処置群(第1、6群)と比較してENU投与群(第2、7群)で高値を示し、ENU投与群で明らかな生存率の低下を認めた。
体重変化では、偽ばく露群を含むばく露群(第3、4、5群、第8、9、10群)と非ばく露群(第1、6群:無処置対照群、第2、7群:ENU投与群)とを比較すると前者は明らかに低値を示していた。摂餌量では雌雄ともにばく露開始後の早期の段階より、非ばく露群と比較して、ばく露群で低値傾向を示した。

これらの体重および摂餌量の変化は、ばく露箱での拘束による影響と考えられた。

体重および摂餌量ともに電磁波照射期間中に変化を認めたが、いずれもばく露量に関連した変化ではなかった。
血液中のホルモン濃度測定では、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、コルチコステロン(corticosterone)およびメラトニン(melatonin)のいずれにおいても、ばく露量に関連した変動は見られなかった。
肉眼的病理学検査では、神経系組織・器官を含む種々の組織・器官に様々な変化・病変を認めたが、いずれにおいてもばく露量に関連した変動を認めなかった。
各種器官重量にはばく露量に関連した変動は認められなかった。
病理組織学的検査の結果、ばく露群の中枢神経(脳および脊髄)に腫瘍病変を認めた。

脳および脊髄における腫瘍発生頻度あるいは腫瘍タイプにおいて、電磁波のばく露量と関連し、統計学的に有意な差を示したものはなかった(雌の脳腫瘍のうち、星状膠細胞腫において高ばく露群に増加傾向が認められたが、統計学的有意差はなかった)。

その他の中枢神経系以外での腫瘍性病変では、雄の高ばく露群で顆粒性大リンパ白血病および皮膚/皮下の線維腫の発生減少が認められた。非腫瘍性病変では、雌において加齢性病変と考えられる乳汁分泌亢進が減少したが、それらの意義については明らかではなかった。

その他、種々の腫瘍性病変を観察したが、いずれも対照群と同程度の発生頻度であり、ばく露量に関連した変動は見られなかった。

また発生腫瘍(良性および悪性)数および担腫瘍動物数においても同様であった。
以上、N-ethyl-N-nitrosourea(ENU)により経胎盤的イニシエーションにより誘発されたラット中枢神経系腫瘍発生に対し、電磁波(2GHz帯高周波電磁波)の頭部局所的長期間(104週間)ばく露は、明らかな影響を与えないことが明らかとなった。


Ⅱ 研究目的
携帯電話等の電磁波ばく露により脳腫瘍の発生が増加するのではないかと懸念されている。

動物を用いた本研究は、N-ethyl-N-nitrosourea(ENU)の経胎盤的イニシエーションにより誘発されるラット中枢神経系腫瘍発生に対する2GHz帯高周波電磁波による頭部局所的長期間電磁波ばく露の影響を明らかにすることを目的として行った。


runより:パートの区切りの良い所で掲載しているので記事本文の長さはかなり差が出ます。

早めに言っておきますがこの報告書は電磁波の健康影響には懐疑的です、しかし色々おかしいと思う点があるので皆さんにも考えてもらって声を挙げてほしいと考えています。