なるほど。でもそう考えてみますと、今回はたまたま影響を受けやすい小児白血病が調べられましたが、電磁波はほかの病気のリスクも高めているかもしれない、ということですよね。
携帯電話を右耳にあてたら、脳の右側に腫瘍が発生する!?
「ほかの病気といえば、最近は携帯電話と脳腫瘍の因果関係が取りざたされています。」
携帯電話!今は子ども達の間で当たり前のように利用されていますから、送電線よりももっと身近なリスクですね。
「そう、耳に直接あてて使うものですから、頭部にダイレクトに影響を与えてしまいます。それを頻繁に受けた場合、どんな影響があるのか、今いろいろなところで調査研究されているんです。
初期に出た研究で衝撃を与えたのは、スウェーデンのハーデル博士が翌年発表した1999年の報告です。腫瘍の部位がわかっている脳腫瘍患者を調べたところ、常時携帯電話を使っている側にはそうでない側の2.4倍も腫瘍が増加していることがわかったのです。ただし、統計的に有意な数値ではなかったのですが。」
それは怖いですね……!
携帯を使う頻度もあると思いますが、年齢的に影響を受けやすい時期のリスクもあるんでしょうか?
子どもの脳は大人と比べて未発達といいますが
「その可能性は否定できません。最近(2003年)発表されたスウエーデンのサルフォード博士らの研究ですが、携帯電話を使ってこんな動物実験が行われました。
人間のティーンエージャーに相当する生後12週~26週のラットを3グループに分け、それぞれ異なる強度の携帯電話の電磁波に2時間ずつさらした。その結果、50日後にネズミ脳細胞の相当部分が死んでいるという事実を顕微鏡を通じて確認したのです(★注)。」
★注/小正確に述べると、「電磁界が脳の血液関門からのアルブミン(タンパク質)漏出とニューロン損傷とに有意に影響することを確認した」ということになる。
市民科学研究室では原著論文の翻訳をしましたので、関心のある方はお問い合わせください。