-3:(魂の中小企業)貧乏、難病、ど根性 | 化学物質過敏症 runのブログ

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大量に化学物質を体内に取り入れてしまった。

腎臓に化学物質がいっぱいになって、濾過(ろか)するところがなくなる

なので、入ってきた化学物質で血液がどろどろになってしまう。血液が心臓に回らなくなるから、心臓がばくばくする。

血流が止まってしまうので死にいたることも。


 道路を歩いていても、車の排ガスを吸い込むと、心臓ばくばく、死んでしまうかもしれない。


 歯医者に行っても、口に麻酔でもしようものなら、ショックで死んでしまうかもしれない。

 

そんな難病である。

 医師は、化学物質を排除した生活をしてください、という。

 「どんな弱い薬でも危険ですから、使わないでください」

 「そもそも、歯医者には行かないでください。消毒液のにおいが漂っています。吸ったら危ないです」

 「お風呂の水も、浄化してから使ってください。水道水には塩素などがはいっています。毛穴から入ってしまいます」

 「飲む水も浄化してください。石油系のシャンプーもつかわないでください」

 「歯磨き粉も危険です。歯は塩でみがいてください」

 すべてを無添加のものに変えろ、というのである。

 そんな生活、できるのだろうか?

 お客さんが香水をつけて来ると、心臓がばくばくする。

いいにおいのする服を着てきたお客さんが来ると、心臓がばくばくする。

呼吸することが怖くなってきた。


店の中では、空気清浄器がフル回転。

 いつも来ていたお客さんのことを忘れてしまったことがあった。

給料などの計算は、するたびに違う答えになる。

思考力がおかしくなってくる。家に帰ろうとして、道に迷ってしまったことも。


 病気は治らないかもしれない、とも聞いた。

苦しんで自殺してしまう人もいる、と聞いた。


 本間さん、大丈夫ですか?

 「トラベラーさん。わたしは大丈夫です。負けません、へこたれるもんか」

 家にあった家具、衣類、赤ちゃんのころからの写真……。

化学物質がついているだろう、ありとあらゆるものを捨てた。

 家を売った。

本当は取り壊したかった。

けれど、近所に迷惑がかかるので、取り壊しにかかる経費600万円を値引きして。


 財産のほぼすべてを、なくした。

思い出の記録も、失った。

 本間さん、大丈夫ですか?

 「わたしは負けません、へこたれるもんか」

 本間は、子どものときに、貧乏でバカにされた。

ここで、強くなることを学んだ。へこたれないことを学んだ。

本間は、それは強い女性になっていたのである。

 ありとあらゆる民間療法をためした。病気、克服!

     ◇

 時間旅行も、まもなく終わりです。

 店でつかっている化粧品、リンス、シャンプーなどを、すべて無添加のものに変えた。

 自分だけ無添加、お客さんは石油系、というのは、経営者として、いや人間として許されることじゃない。

そう本間は考えたのである。


 あれ、本間さん、悩みごとですか?

 「トラベラーさん。じつは、取り寄せた無添加のシャンプー、身体には安心なのですが、汚れが落ちないんです。とくに、毛穴にたまった脂がとれないんです」

 本間は、アメリカからも取り寄せてみた。

ダメだった。

抜け毛は、毛穴にたまった皮脂が原因。

これは致命傷である。

 「あっ、そうだ!」

 どうしました、本間さん。

 「トラベラーさん。満足なシャンプーがないなら、自分でつくっちゃえばいいんですよね」

 知り合いの業者と共同開発に2年、自然な材料でつくった満足のいくシャンプーを開発した。

トニックやオイルも。もちろん、無添加である。

 ボリューム、抜け毛、ハリ、コシ、ツヤ。

さまざまな髪の毛の悩みを解決する「アップヘアー発毛システム」シリーズとして販売もしている。

 2008年秋のリーマン・ショックからしばらくして、いま店を構える8階建てのビルを買った。

 痩身や美顔の客は減ったけれど、発毛・育毛のお客は減らなかった。

髪の毛の悩みを解決するのは、ぜいたくではない。

 業界紙の記者が取材にきた。エステがつぶれている、という。

「エステ業界、そのものが危機です」という。

 それを聞いて、本間は、立ち上がろうと思った。

 「トラベラーさん。自分の店がよければいい、という考えはやめます。エステの店に、うちの発毛育毛メニューを提供し、業界を守ります」

 

時間旅行は終了です。

現在の本間さんに会いに行きましょう。