2 施設管理
学校施設の維持管理において,病害虫を駆除するために,農薬,消毒剤,殺虫剤などの薬剤等を使用することは最小限にとどめ,薬剤を使用する際には,次の事項に留意する。
(1)施設の衛生管理
感染症又は食中毒の疾患予防のため,給食施設等における衛生管理として消毒や衛生害虫の駆除が必要となる場合がある。
しかし,消毒薬や衛生害虫の殺虫剤等に敏感に反応してしまう児童生徒等がいることから,消毒薬や殺虫剤等を使用する場合は,必要に応じ学校薬剤師の指導助言を受け,できる限り当該児童生徒等に影響を与えないよう使用時期等についても配慮する。
(2)樹木の消毒
平成19 年1 月31日付(18消安第11607号)農林水産省消費・安全局長及び(環水大土発第070131001 号)環境省水・大気環境局長通知(参考資料P29,通知1)の趣旨を踏まえ,定期的な薬剤散布をすることはせず,剪定や捕殺等により対応することを基本とする。
なお,どうしても薬剤散布が必要な場合は,最小限とし,その際は次のとおりとする。
(ア)薬剤の散布は,害虫の緊急発生時を除き,原則として学校休業日に行う。
(イ)薬剤散布をする場合,児童生徒,保護者,近隣住民等への周知を行う。
(保護者,近隣等への周知から薬剤散布までは,概ね1週間以上の期間を設ける。)
(ウ)薬剤散布後は業者により囲いを施すが,散布場所には近づかないよう指導を徹底する。
※ 樹木等の病害虫防除に関する手引の活用
平成17年8月に,「人の健康や環境へのリスクを低減した樹木等の病害虫防除の手引き」として,社団法人緑の安全推進協会が冊子を作成している。
(主な内容)
① 極力,農薬散布以外の方法をとるが,やむを得ず使用する場合は,注意事項を定め周知する。
② 樹木が病気や害虫の被害を受けないようにするために,樹勢を強め,樹木を健全に育て,防除の必要性を低減する。そのために,樹種の選定,蜜植の回避,落ち葉や枯れ葉や枯れ枝の除去等を心がける。
③ 防除計画,防除方法を検討する。
《農薬とは》
農薬取締法において,「農作物(樹木及び農林産物を含む。以下「農作物」という。)を害する菌,線虫,ダニ,昆虫,ねずみその他の動植物又はウイルス(以下,「病害虫」と総称する。)
の防除に用いられる殺菌剤,殺虫剤その他の薬剤(その薬剤を原料又は材料とした資材で当該防除に用いられるもののうち政令で定めるものを含む。)及び農作物等の生理機能の増進又は抑制に用いられる植物成長調整剤,発芽抑制剤その他の薬剤をいう。」とされ,また農作物等の病害虫を防除するための「天敵」も農薬とされる。
農薬の使用される対象は,用途別に次のように分類される。
殺虫剤 農作物を加害する害虫を防除する薬剤
殺菌剤 農作物を加害する病気を防除する薬剤
殺虫・殺菌剤 農作物の害虫,病気を同時に防除する薬剤
除草剤 雑草を防除する薬剤
殺そ剤 農作物を加害するノネズミを防除する薬剤
植物成長調整剤 農作物の育成を促進したり,抑制する薬剤
誘引剤 主として害虫をにおいなどで誘き寄せる薬剤
展着剤 ほかの農薬と混合して用い,その農薬の付着性を高める薬剤
天敵 農作物を加害する害虫の天敵
微生物剤 微生物を用いて農作物を加害する害虫・病気等を防除する剤
Point
教委・害虫駆除の業務委託契約を行う際には,必要事項を仕様書に定め,使用する薬剤や,使用方法についても十分検討を行う。
・薬剤散布にあたっては,飛散防止のため,天候や時間帯等にも配慮する。
学校・日常点検の中で,学校敷地内の樹木の害虫発生を確認する。
・発生を確認したら,児童生徒が近づかないように指導する。
・学校での対応が困難な場合は,教育委員会へ発生状況を連絡する。
・薬剤を散布する場合は,児童生徒,保護者,近隣住民等へ周知を行う。
(参考資料P40,41 別紙様式1・2参照)